おおばんぶるまい【大盤振舞】
盛大にごちそうしたり、気前よく物を与えたりすること。▽「大盤」は、高貴の人の家などで食べ物を入れた器を載せる台の意。もとは「椀飯振舞おうばんぶるまい」と書き、「椀飯」は椀わんに盛った飯をすすめる意。また、王朝時代には宮中で供せられる膳ぜん、江戸時代ごろには民家で正月に親戚しんせきなどを招いて、宴会を催すことをいった。「大盤」はこの「椀飯」の字から転じて、慣用化したものとされる。
おんばひがさ【乳母日傘】
子供、特に幼児が必要以上に過保護に育てられること。乳母うばに抱かれ、日傘をさしかけられるなどして、ちやほやされながら大切に育てられる意から。▽「乳母おんば」は、「御乳母おうば」の音が転じたもの。うば・めのとのこと。「乳母日傘」は「おんばひからかさ」とも読む。
かいだいむそう【海内無双】
この世に並ぶものがないほどすぐれていること。▽「海内」は四海の内・この世・天下。「無双」は並ぶものがない、二つとないこと。
かいびゃくいらい【開闢以来】
天地が開け始めてからこの方ということ。
かしのへき【和氏之璧】
この世にめったにないほどの宝物のこと。
かたくのきょう【火宅之境】
火事になった家。煩悩ぼんのう(悩み)に満ちたこの世のたとえ。
かりょうびんが【迦陵頻伽】
美しい声のたとえ。また、声の非常に美しいもののたとえ。あるいはヒマラヤ山中にいる想像上の鳥の名で、まだ殻にあるときに美しい声で鳴くともいい、極楽浄土にすみ、比類なき美声で鳴く想像上の鳥ともいう。浄土曼陀羅じょうどまんだらの絵などでは上半身は美女、下半身は鳥の姿で描かれている。▽仏教語。梵語ぼんごkalavinkaの音写で、仏典では「好声鳥」「逸音鳥」「妙声鳥」などと訳されており、この鳥の比類のない美声を仏の声にたとえている。
かんざんじっとく【寒山拾得】
中国唐代中期の寒山と拾得の二人の高僧。二人とも奇行が多く、詩人としても有名だが、その実在すら疑われることもある。拾得は天台山国清寺こくせいじの食事係をしていたが、近くの寒巌かんがんに隠れ住み乞食こじきのような格好をした寒山と仲がよく、寺の残飯をとっておいては寒山に持たせてやったという。また、この二人は文殊菩薩もんじゅぼさつ、普賢ふげん菩薩の生まれ変わりといわれる。画題としてもよく用いられる。
がっしょうれんこう【合従連衡】
その時の利害に従って、結びついたり離れたりすること。また、その時勢を察して、巧みにはかりごとをめぐらす政策、特に外交政策のこと。もとは中国戦国時代、蘇秦そしんの合従策と張儀ちょうぎの連衡策のことをいう。▽「従」は縦たての意。「合従」は南北に連なった趙ちょう魏ぎ韓かん燕えん斉せい楚その六国が、縦の連合をして強国秦しんに対抗する策で、蘇秦が提唱した。「衡」は横の意。「連衡」はこの六か国が秦とおのおの横に同盟を結んで、国を維持しようとした策で、張儀の政策。「従」は「縦」とも書く。
がりょうてんせい【画竜点睛】
物事を完成するために、最後に加える大切な仕上げのたとえ。また、物事の最も肝要なところのたとえ。文章や話などで肝心なところに手を入れて、全体をいっそう引き立てるたとえ。▽「睛」はひとみ・目玉。転じて、物事の大切なところの意。一般には「画竜点睛を欠く」と用いることが多く、この場合は最後の仕上げが不十分で、肝心なところが欠けているため精彩がないことをいう。「竜りょうを画えがいて睛ひとみを点ず」と訓読する。「竜」は「りゅう」とも読む。