かんちゅうずいば【管仲随馬】
管仲が戦いの帰り道で道に迷ったとき、一度通った道を覚えているとされる老いた馬の知恵を借りようと、これを放ってそのあとに従い道を見出した故事。もと管仲のような知恵者ですら馬の知恵に頼るのに、人が聖人の知恵に頼らないことを戒めた語。のち転じて、先人の経験を尊重するたとえ。また、人には得意不得意があるたとえとして用いられることもある。
かんてんじう【旱天慈雨】
非常に困ったときに、もたらされる救いの手のたとえ。長い間待ち望んでいた物事が実現することのたとえ。
かんてんどうち【撼天動地】
活動がめざましいこと、人々を驚かすほどの大きな出来事のたとえ。また、音声がきわめて大きいことのたとえ。
かんのうとち【肝脳塗地】
むごたらしい死にざまや殺され方のこと。また、忠誠を誓って、どんな犠牲も惜しまないことのたとえ。死者の腹から内臓が飛び出し、頭が割られて脳味噌のうみそが出て泥まみれになっているさま。死者の肝臓や脳が泥まみれになっている意から。▽「肝脳」は肝臓と脳髄。「塗地」は土まみれになること。また転じて、戦いに負けるさま。「塗」はまみれる意。一般に「肝脳かんのう地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
かんばのろう【汗馬之労】
物事を成功させるためにあれこれ奔走する労苦のたとえ。
かんぽうのまじわり【管鮑之交】
互いによく理解し合っていて、利害を超えた信頼の厚い友情のこと。きわめて親密な交際のこと。▽「管」は春秋時代、斉の名宰相の管仲。「鮑」は鮑叔牙ほうしゅくが。単に鮑叔ともいう。管仲と若いときから仲がよく、仲を斉の桓公かんこうに推挙した。「交」は「こう」とも読む。
がいかんじてい【蓋棺事定】
人は死んではじめて、その評価が定まるということ。また、生前の評価は利害などがからんでいるので、あてにならないことのたとえ。
がいしゅういっしょく【鎧袖一触】
相手をたやすく打ち負かしてしまうたとえ。弱い敵人にたやすく一撃を加えるたとえ。鎧よろいの袖そでがわずかに触れただけで、敵が即座に倒れる意から。▽「鎧袖」は鎧の袖。「一触」はほんの少し触れること。
がいせいのさい【蓋世之才】
気力や能力、功績などが非常にすぐれていること。またそれをもつ人。その時代を覆い包むほどのすぐれた才能のたとえ。
がしろうひょう【画脂鏤氷】
内実がしっかりしていないのに外側、外面を飾っても無駄であるたとえ。また、苦労し努力しても効果のないたとえ。力を無用なところに用いること。あぶらに画えがき氷に彫刻する意から。▽「脂」はあぶら。「鏤」はほる、刻みつける意。「画」は「かく」とも読む。「氷」は「冰」とも書く。「脂あぶらに画えがき氷こおりに鏤(ちりば・きざ)む」と訓読する。