けんいとんそく【牽衣頓足】
非常につらい別れを惜しむことの形容。もと出征する兵士の家族が、兵士の服にすがり引き留め、足をばたばたさせて別れを悲しむ意から。▽「牽衣」は服にすがり引っぱること。「頓足」は足をばたばたさせる。地団駄をふむ。「衣いを牽ひき足あしを頓とんす」と訓読する。
しらかわよふね【白河夜船】
正体もなく、ぐっすり寝こむこと。よく眠っていて、何も気づかないこと。▽「白河」は京都の地名。「河」は「川」、「船」は「舟」とも書く。また、「船」は「ぶね」とも読む。
しんけいげんび【身軽言微】
身分や地位が低く、こちらの言い分が重んじられないこと。▽「身軽」は身分が軽い、身分が低い意。「微」は卑しいこと。身分が卑しいために言葉が軽んじられること。「身み軽かるくして言げん微いやし」と訓読する。
じょうこしゃそ【城狐社鼠】
君主や権力者のかげに隠れて、悪事を働く者のたとえ。城や社という安全なところに巣くって、悪さをするきつねやねずみの意から。▽「城狐」は城に棲すむきつね。「社」は土地神を祭るやしろ。「社鼠城狐しゃそじょうこ」ともいう。
じんらいふうれつ【迅雷風烈】
激しい雷と猛烈な風。事態が急激に変わるさま。行動が素早いさま。▽「迅雷」は天地をとどろかす激しい雷鳴。「風烈」は激しく吹く風で、「烈風」に同じ。
せいざんいっぱつ【青山一髪】
はるか遠くに山が見える様子。▽遠くに見える山が地平線と一つになって、まるで一本の髪の毛のように見えることからこう表現される。また、水平線を形容することもある。
せいしにくこつ【生死肉骨】
窮地にあるときに助けてくれた人の大恩のこと。また、恵みや施しの非常に深いこと。落ち目の人を救い上げること。死んだ者を生き返らせ、しかばねの白骨に肉をつける意から。▽「死しを生いかして骨ほねに肉にくす」と訓読する。
せいしはいそ【斉紫敗素】
知者が事を行えば災いを福に変じ、失敗を成功に転じることのたとえ。斉の国でもてはやされた紫色の絹も、もとは粗末な古い白絹を染め直したものであるの意から。▽「斉紫」は中国戦国時代の斉の国で産出した紫色の布地。「敗素」は古い白絹。敗素を紫地に染めただけで、斉紫は値段が十倍にもなったといわれる。
せいちあんこう【生知安行】
生まれながらにして人の踏み行うべき道をよく知り、考えることなく心のままにそれを行うこと。聖人の境地。▽「生知」は学ばなくても生まれながらに人の道を知ること。「安行」は心のままに行うこと。何の努力もなしに人の道を行う意。
たいきしょうよう【大器小用】
大きな器を小さなことに用いるということから、大人物につまらない仕事をさせること。すぐれた才能の持ち主でありながら、低い地位にしか用いられないこと。人材の用い方が当を得ていないことのたとえ。▽「大器」は大きな器量。また、偉大な人物のこと。