とうけんがけい【陶犬瓦鶏】
形ばかり立派で、実際の役に立たないもののたとえ。▽「陶犬」は陶製の犬。「瓦鶏」は素焼きの鶏。犬には夜の番をする、鶏には夜明けを告げるという役目があるが、作り物ではその役目を果たすことができないことから。「瓦鶏陶犬がけいとうけん」ともいう。
とうしょうりふ【桃傷李仆】
桃が傷つき、兄弟分のスモモが倒れることから、兄弟が互いに反目して、相争うことのたとえ。
とかくきもう【兎角亀毛】
⇒ きもうとかく(亀毛兎角)
としゅせきけい【斗酒隻鶏】
一斗の酒と一羽の鶏。転じて、亡き友人を哀悼し述懐すること。▽「斗酒」は一斗の酒。「隻」は鳥を数える単位。昔、一斗の酒と一羽の鶏は死者を祭るのに用いたもので、もと、魏ぎの曹操そうそうが友人の橋玄きょうげんの墓を祭ったときに作った文にこの語を用いたことから。
とまつししょ【塗抹詩書】
幼児のこと。また、幼児のいたずらのたとえ。幼児は大切な詩書でもかまわずに塗りつぶしてしまうことから。▽「塗抹」は塗り消すこと。「詩書」は儒教の重要な古典である『詩経』と『書経』のこと。「詩書ししょを塗抹とまつす」と訓読する。
なむさんぼう【南無三宝】
仏に帰依きえを誓って、救いを求めること。また、突然起こったことに驚いたり、しくじったりしたときに発する言葉。「南無三なむさん」ともいう。▽前者の意は仏教語。「南無」は経典きょうてんや仏などの名の前につけて、それに対する絶対的帰依を誓う言葉。「三宝」は仏と仏の教えと教えを広める僧のことで、これを仏・法・僧という。救いを求めることから後者の意味が加わった。
なんせんほくば【南船北馬】
全国を忙しく旅行すること。また、絶えず旅をしてせわしないこと。▽「南船」「北馬」は中国の交通手段。南は川が多いので船が用いられ、北は山が多く、馬をよく用いた。そうした移動手段に絶えず乗っていることから、頻繁に旅をする意。
なんばんげきぜつ【南蛮鴃舌】
外国人の意味の分からない言葉を、さげすんでいう言葉。▽「南蛮」は南方の人をさげすんで言う語。「鴃舌」はもずの鳴く声。また、もずが鳴き合うように騒ぎ合って、意味が分からないことのたとえ。南方の人の話す調子は、北方の人にはもずが鳴いているかのようにやかましく聞こえ、何を言っているのか分からないと感じられていたことから。
にそくさんもん【二束三文】
売値が非常に安いこと。いくら売っても、もうけが出ないほどの安値で売ること。投げ売り。▽昔、金剛草履(藁わらや藺いなどで作られた大形で丈夫な草履)は、二足でわずか三文の値段で売られていたことから。「束」は「足」とも書く。
にっきょげっしょ【日居月諸】
君臣、君主とその夫人、父と母などのたとえ。また、月日が流れ去ること。▽「居」「諸」はともに句末に置いて語調を整える字。「日よ月よ」と呼び掛けている。「日」と「月」は、ともに天に輝き下界を照らしていることから、君主と夫人にたとえられる。のち、日付の月日の意味をもたせるようになった。一般に「日ひや月つきや」と訓読を用いる。