たぼうぜんだん【多謀善断】
よく考えて、物事を上手にさばき処置すること。▽「謀」は考えをめぐらすこと。「善断」はうまく処置すること。
だそうきょうだ【打草驚蛇】
草をたたいてその奥にいる蛇を驚かす意から、あるものを懲らしめることによって、他のものに警告するたとえ。後に、よけいなことをして、かえってつまらない災難を受けるたとえ。無用のことをしてかえって相手に警戒心を起こさせてしまうたとえ。▽「打草」は草をたたく、「驚蛇」は蛇を驚かす意。一般に「草くさを打うって蛇へびを驚おどろかす」と訓読を用いる。
ていじめんめい【提耳面命】
懇切に教え諭すこと。相手の耳を引き寄せ、口を近づけて言い聞かせ、面と向かって教え諭す意から。▽「提耳」は耳を引き上げ寄せること。「面命」は目前で言いつける、目の前で教え諭すこと。「耳みみを提ていして面まのあたりに命めいず」と訓読する。
なんかくらんすい【南郭濫吹】
実力のない者が、実力があるかのように見せかけて、みだりに高い地位にいることのたとえ。▽「南郭」は人名、「濫吹」は吹けもしない笛を勝手に吹くこと。「濫」は枠をはみ出てむやみに行うこと。
にがびゃくどう【二河白道】
極楽浄土に往生したいと願う人の、入信から往生に至る道筋をたとえたもの。▽仏教語。「二河」は南の火の川と、北の水の川。火の川は怒り、水の川はむさぼる心の象徴。その間に一筋の白い道が通っているが、両側から水火が迫って危険である。しかし、後ろからも追っ手が迫っていて退けず、一心に白道を進むと、ついに浄土にたどりついたという話。煩悩にまみれた人でも、念仏一筋に努めれば、悟りの彼岸に至ることができることを説いている。
はんかんくにく【反間苦肉】
敵の間者を使って敵情を知り、敵の仲を裂く「反間の計」と、自分の身を傷つけて、相手の信頼を得て密偵行為を行う「苦肉の計」のこと。敵をあざむき仲違なかたがいさせるために、自分の身を痛めつけて見せること。また、目的達成のためのあらゆる手段のこと。苦肉之計くにくのけい反間之計はんかんのけい
ばんぷふとう【万夫不当】
多くの人が立ち向かってもかなわないほどの剛強な人の形容。▽「万夫」は多くの人、無数の人。「当」はあたる、敵対する意。「不当」は相手にならない、かなわないこと。「万夫ばんぷ当あたらず」と訓読する。李白りはくの「蜀道難しょくどうなん」に「一夫関に当れば、万夫開く莫なし」とあるのは有名。
ひにくのたん【髀肉之嘆】
実力・手腕を発揮する機会に恵まれないのを嘆くこと。むなしく日々を過ごすことの嘆きをいう。▽「髀肉」はももの肉、「嘆」はため息をついて嘆く意。「髀」は「脾」、「嘆」は「歎」とも書く。
へんたんやくわん【偏袒扼腕】
激しく怒ったり悔しがったりして、感情を激しく高ぶらせること。▽「偏袒」は片肌を脱ぐこと。意気込む様子。「扼腕」は自分の片手でもう一方の腕を強く握りしめること。怒ったり悔しがったりするさま。「扼」は押さえつける意。
べんせいしゅくしゅく【鞭声粛粛】
相手に気づかれないように、静かに馬に鞭むち打つさま。▽頼山陽らいさんようの詩句「鞭声粛粛夜よる河かわを渡わたる」とあるのが有名。これは川中島の戦いで上杉謙信うえすぎけんしんが武田信玄たけだしんげんの機先を制すべく、夜に妻女山さいじょざんを下って、敵に気づかれないように馬にあてる鞭の音も静かに、千曲川ちくまがわを渡ったことを詠んだもの。