あくせんくとう【悪戦苦闘】
非常な困難の中で、苦しみながら一心に努力をすること。強敵に死にものぐるいで苦しい戦いをすることからいう。▽「悪戦」は不利な状況の中で強敵に苦戦すること。
あんそうしゅうは【暗送秋波】
目でこっそりと情を伝えること。こっそりと色目を使うこと。また、表ではうまく立ち回り陰で悪だくみをすること。▽「暗」はひそかに、こっそりの意。「秋波」は流し目・色目。美人のまなざしは秋の波のように涼しげであることからいう。「暗あんに秋波しゅうはを送おくる」と訓読する。
いちじさんらい【一字三礼】
敬虔けいけんな態度で写経すること。また、そのような態度で写経せよという教え。▽写経するとき、一字書写するたびに、三度仏を礼拝したことからいう。
いったいぶんしん【一体分身】
一つの物事をもとにして、そこから分かれ出たいくつかの物事。一つのものからいくつかに分かれること。また仏教で、諸仏菩薩しょぶつぼさつが衆生しゅじょうを救うために、さまざまに化身して出現すること。▽後者は「いったいふんじん」とも読む。
うえんろぎょ【烏焉魯魚】
文字の書き誤り。文字の造形が似ていて書き誤ること。「烏」と「焉」、「魯」と「魚」がそれぞれ字形が似ていて、誤りやすいことからいう。
えきせいかくめい【易姓革命】
王朝の交代のこと。天子の徳がなくなれば天命が別の姓の天子に改まり変わるという中国の政治思想。▽昔の中国では、天子は天命によって決まると信じられ、天子にその徳がなくなれば天命は他の人に代わり下ると信じられており、また一王朝は同じ血統(姓)で続いていくが、王朝交代の際には王室の姓が変わることからいう。「姓せいを易かえ命めいを革あらたむ」という意。
きょうかすいげつ【鏡花水月】
はかない幻のたとえ。目には見えるが、手に取ることのできないもののたとえ。また、感じ取れても説明できない奥深い趣のたとえ。詩歌・小説などの奥深い味わいのたとえ。本来は、鏡に映った美しい花と水に映った美しい月の意。それらは目には見えても見るだけで、実際に手に取ることができないことからいう。▽「水月鏡花すいげつきょうか」ともいう。「鏡花水月法」はその物事をあからさまに説明しないで、しかもその物事の姿をありありと読者に思い浮かばせる表現方法。
きょうけいのせい【薑桂之性】
年老いてますます剛直なことのたとえ。また、特有の性質は簡単には変わらないたとえ。▽「薑」はしょうが。「桂」は肉桂にっけい(にっき)。ともに古くなってもその辛さを失わず、辛さを増すことからいう。
ぎゅうしゅうばぼつ【牛溲馬勃】
つまらないものや、役に立たない無用なもののたとえ。「牛溲」は牛の小便。「馬勃」は馬のくそ。一説に「牛溲」は下等な薬草のおおばこ。利尿作用があるという。「馬勃」は腐った木などに生えるきのこの類のほこりだけ。できものに効くといわれる。いずれも些細ささいなものであるからいう。「溲」は「そう」とも読む。また、「勃」は「渤」とも書く。
ぎょもくえんせき【魚目燕石】
外観は似ているが、内実は似ても似つかない価値のないもののたとえ。本物と紛らわしい偽物のたとえ。また、本物と偽物が紛らわしいたとえ。▽「魚目」は魚の目玉。「燕石」は燕山(河北省)の石。ともに珠玉に似てはいるが、偽物であり無価値であることからいう。