[助動][べから|べく・べかり|べし|べき・べかる|べけれ|○]活用語の終止形、ラ変型活用語は連体形に付く。
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1 当然の意を表す。…して当然だ。…のはずだ。「地方路線のいくつかはやがて廃止されるべき運命にある」
「行成ならば裏書きあるべし。佐理ならば裏書きあるべからず」〈徒然・二三八〉
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2 適当・妥当の意を表す。…するのが適当だ。…するのがよい。「無責任な放言はすべきではない」
「あひ見ずは悲しきこともなからまし音にぞ人を聞くべかりける」〈古今・恋四〉
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3 可能の意を表す。…できるはずだ。…できるだろう。「今月中に目標に到達すべく努力している」
「わが子どもの、影だに踏むべくもあらぬこそ、口惜しけれ」〈大鏡・道長上〉
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4 (終止形で)勧誘・命令の意を表す。…してはどうか。…せよ。「明日は八時までに出勤すべし」
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5 義務の意を表す。…しなければならない。「この件については君が責任をとるべきだ」
「嶺 (みね) にてすべきやう教へさせ給ふ」〈竹取〉
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6 推量・予想の意を表す。…だろう。…しそうだ。
「この人々の深きこころざしは、この海にも劣らざるべし」〈土佐〉
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7 決意や意志を表す。→べい →べからず →べくして →べくもない →べみ →べらなり
「我はかくて閉ぢこもりぬべきぞ」〈更級〉
[補説]語源は「宜 (うべ) し」の音変化とする説が
有力で、
上代から
現代に至るまで広く用いられる。
当然または必然的にそうなることと
推量する意が
原義で、そこからいくつかの
意味に
分化した。なお、
現代では、
1・
2・
3・
4の
用法は、文語的表現の中で用いられることが多い。また、中世以降「べし」の
接続は複雑化し、上一段・下一段・上二段・下二段活用には、イ列音・エ列音に伴うものもみられる。