[名]
  1. (方方)「人々」の敬称。かたたち。「お世話になった—」

  1. あちこちの貴人の部屋

    1. 「あまたの御—を過ぎさせ給ひて」〈桐壺

  1. いろいろの方角場所。また、いろいろの方面事柄。あちらこちら。ほうぼう。あれこれ。

    1. 「男君達はみな、…—に流され給ひて」〈大鏡時平

[代]尊敬の意を含んだ二人称の人代名詞。本来複数をさすが、単数にも用いる。
  1. あなたがた。みなさん。

    1. 「—は定めて聞き及ばせ給ひたる事も候ふらん」〈太平記・五〉

  1. あなた。

    1. 「—のお名をば何と申すぞ、と問へば」〈虎清狂・鈍根草〉

[副]
  1. いろいろなことをするさま。あれこれ。さまざま。なにやかや。

    1. 「私の御事をし給はむと、—劣らずしつらはれて」〈宇津保・沖つ白浪

  1. いろいろの所へ向かうさま。あちこち。ほうぼう。

    1. 「—に鳴きてわかれし群鳥 (むらどり) の古巣にだにも帰りやはする」〈風雅・雑下〉

  1. いろいろのことを考え合わせるさま。いずれにしても。どっちみち。

    1. 「かれと言ひこれと言ひ—難治の様にて候」〈平家・一〉

[接]二つ以上事実状態併存することを表す。一方で。さらに。
    1. 「代々武道の御心がけ深くおわしまし、—、歌道茶事までも」〈鴎外・興津弥五右衛門の遺書

[接尾]
  1. 動作性の意をもった名詞に付いて、二つの動作を兼ねて行う意を表す。…のついでに。…がてら。…を兼ねて。「食後運動散歩する」「墓参帰省する」「ご挨拶—お礼まで」

  1. 物事を表す名詞に付いて、そのことがあれやこれやとあっての意を表す。

    1. 「そんな事—で、私の著訳書は…古風な人の気に入る筈はない」〈福沢福翁自伝

[補説]は多く「旁」と書く。また、1は「旁旁」とも書く。

出典:青空文庫

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