[動ワ五(ハ四)]特定の
相手に心ひかれて、その人を思い慕う。また、
特別な
人物や
場所などを強く慕う。恋する。「亡き妻を—・う」「
故郷を—・う」「昔を—・う」
[動ハ上二]《
本来は、時間的、空間的、心理的に離れてしまった
対象に思いが残り、それに心ひかれて嘆き悲しむ意。
上代は
助詞「に」をうけて、「…に恋う」の形で用いられた》
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1 に同じ。
「我が背子に—・ふれば苦し暇 (いとま) あらば拾 (ひり) ひて行かむ恋忘れ貝」〈万・九六四〉
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2 季節や植物などを賞美する。めでる。
「撫子 (なでしこ) がその花にもが朝な朝 (さ) な手に取り持ちて—・ひぬ日なけむ」〈万・四〇八〉
[補説]古くは上二段であるが、中世末期ごろから「千々のあはれは妻こふ鹿の音」〈
松の葉・三〉のように四段に
活用する例が見られる。また、
現代でも「この祖母を恋いる事を忘れて」〈
三重吉・
小鳥の巣〉のように上一段に
活用する例がまれに見られる。