いちえいいちじょく【一栄一辱】
人は社会の状況などによって、栄えることもあれば、恥辱にまみれることもあること。栄えているときは戒めとして、衰えているときは慰めの語として用いる。また、人の世のはかなさをいう。▽「辱」ははずかしめを受けること。「一」はあるときは、の意。
いんしょうしつだい【因小失大】
小さな利益にこだわり、かえって大きな損失を招くこと。▽「小しょうに因よりて大だいを失うしなう」と訓読する。
うむそうせい【有無相生】
有と無は、有があってこそ無があり、無があってこそ有があるという相対的な関係で存在すること。また、この世のものはすべて相対的な関係にあること。▽「相生」は互いに生じ合うこと。もとは、人間の価値観は要するに相対的なものであって絶対的なものではないのに、それを絶対的なものと錯覚して、万物を勝手に歪曲わいきょくして秩序立てている人間の愚かさと危うさを警告した『老子』の中の語。「有無うむ相生あいしょうず」と訓読する。
ひかつかいぎょく【被褐懐玉】
うわべは粗末だが、内にはすぐれた徳を備えているたとえ。すぐれた才能を表に現さず、包み隠しているたとえ。うわべは粗末な服を着ていながら、ふところに玉を隠している意から。▽「被」はまとう、「褐」は粗末な衣服の意。「懐」はふところにする意。「褐かつを被こうむり玉たまを懐いだく」と訓読する。
ひがいもうそう【被害妄想】
自分が他人から、ありもしない危害を受けていると思い込むこと。精神疾患にしばしば見られる。▽「妄想」は根拠もないのに、あることを真実と確信し、いくらその誤りを立証しても承知しないこと。もと、仏教語でよこしまな思いをいう。
ひけんしつえい【被堅執鋭】
堅固なよろいを身にまとい、鋭利な武器を持つこと。多く将軍が自ら前線で敵に当たる意に用いられた。▽「被堅」は堅いよろいを身につけること。「執鋭」は鋭い武器を持つこと。「被」は「披」とも書く。また「執」は「しゅう」とも読む。「堅けんを被こうむり鋭えいを執とる」と訓読する。
ひはつえいかん【被髪纓冠】
非常に急いでいること。たいへん急いで行動すること。▽「被髪」は髪を被こうむる意で、振り乱した髪の毛が頭にかぶさること。「纓冠」は冠のひもを結ぶ意。髪を振り乱したまま髪を束ねずに冠のひもを結ぶことから。
むねんむそう【無念無想】
一切の邪念から離れて、無我の境地に到達した状態。単に何も考えていないことを指すこともある。▽仏教語。「無念」は雑念を生じる心を捨て無我の境地に至ること。「無想」は心の働きがない意。「無想無念むそうむねん」ともいう。