あんしゃほりん【安車蒲輪】
老人をいたわって、手厚くもてなすこと。また、賢人を優遇することにもいう。▽「安車」は座って乗るように仕立てた、蓋かさの低い老人や婦人の乗る小車。「蒲輪」は蒲がまの穂で車輪を包んで、振動をやわらげて乗り心地をよくしたもの。
いちげんいっこう【一言一行】
一つの言葉と一つの行為。ちょっとした言葉とちょっとした行い。ふとしたわずかな言行。
いちぼくなんし【一木難支】
ひとたび崩壊しかかると、一人の力ではどうすることもできないということ。▽「一木、大廈たいかの崩くずるるを支ささうる能あたわず」が常用句。「大廈」は大きな建物。大きな建物が崩れるときは、もはや一本の柱では支えられない、という意。「一木いちぼく支ささえ難がたし」と訓読する。
いちまいかんばん【一枚看板】
一座の代表的な役者のこと。また、多くの人の中で中心となる人物のこと。また昔、武家で中間ちゅうげんや小者に支給された着物を「かんばん」と呼んだことから、一着しかない衣服、人に見せられるような着替えのないこと。▽「一枚看板」は、歌舞伎かぶきで、出し物の演目(外題げだい)や主な役者の名や絵姿を、一枚の看板に書いて、劇場の前に掲げたことから出た語で、一枚の看板に名前ののるほどの役者の意から転じた。
いんじゅんこそく【因循姑息】
古い習慣ややり方にとらわれて改めようとせず、その場しのぎに終始するさま。▽「因循」は因より循したがう意から、しきたりにとらわれて改めようとしないこと。「姑息」は姑しばらく息をつく意から、一時の間に合わせのこと。
かいろこうり【薤露蒿里】
「薤露」「蒿里」は葬送のときにうたわれた挽歌ばんかの名。転じて、人の命のはかないことのたとえ。▽「薤露」は、にらの上におりた朝露の意。乾きやすく落ちやすいことから、人の命のはかなさのたとえ。「蒿里」はもと中国山東省の泰山の南にある山の名。人が死ぬとその魂がここに来るとされる。転じて、墓地の意。秦しん末の田横でんおうが漢の高祖劉邦りゅうほうに仕えるのを恥じて自殺したとき、悲しんだ門人が作ったという二編の楽府の詩に基づく。
かんこうどくちょう【寒江独釣】
雪の降る冬の川で一人釣りをすること。また、その人の姿。▽唐の柳宗元りゅうそうげんの「江雪こうせつ」の詩で詠うたわれたもの。多くの画題となっている。
がしろうひょう【画脂鏤氷】
内実がしっかりしていないのに外側、外面を飾っても無駄であるたとえ。また、苦労し努力しても効果のないたとえ。力を無用なところに用いること。あぶらに画えがき氷に彫刻する意から。▽「脂」はあぶら。「鏤」はほる、刻みつける意。「画」は「かく」とも読む。「氷」は「冰」とも書く。「脂あぶらに画えがき氷こおりに鏤(ちりば・きざ)む」と訓読する。
しゅうしゅぼうかん【袖手傍観】
手をこまねいて、ただ何もせずにそばで見ていること。特に重大な事態などに当然なすべき事があるのに、何もしないでいることを批判を込めて用いることが多い。▽「袖手」は袖そでの中に手を入れる。転じて、手をこまねいて何もしない意。「傍観」はかたわらでただ見ていること。「傍」は「旁」とも書く。
せきしだんけん【隻紙断絹】
文字を書いたわずかな紙や絹地。▽「隻紙」は紙切れ、「断絹」は絹地の切れ端。それらに貴重な文字の書かれたものをいう。