いしんでんしん【以心伝心】
文字や言葉を使わなくても、お互いの心と心で通じ合うこと。▽もとは禅宗の語で、言葉や文字で表されない仏法の神髄を、師から弟子の心に伝えることを意味した。「心こころを以もって心こころに伝つたう」と訓読する。
おんじょうしゅぎ【温情主義】
目下の者、下位の者に対して思いやりのある態度で接する考え方、方針。
かくぶつちち【格物致知】
物事の道理や本質を深く追求し理解して、知識や学問を深め得ること。『大学』から出た語で、大きく分けて二説ある。宋そうの朱熹しゅきは出典を「知を致いたすは物に格いたるに在り」と読んで、自己の知識を最大に広めるには、それぞれの客観的な事物に即してその道理を極めることが先決であると解釈する。一方、明みんの王守仁おうしゅじん(王陽明)は「知を致すは物を格ただすに在り」と読んで、生まれつき備わっている良知を明らかにして、天理を悟ることが、すなわち自己の意思が発現した日常の万事の善悪を正すことであると解釈している。他にも諸説ある。▽「致知格物ちちかくぶつ」ともいう。
きそくえんえん【気息奄奄】
息も絶え絶えで、今にも死にそうなさま。息をする力も弱く、今にも止まりそうな様子。転じて、広く事物などが今にも滅びそうな様子をいう。▽「気息」は呼吸、息づかい。「奄奄」は息が絶え絶えなさま。生気のないさま。「奄」は、おおう、ふさがる意。
しょうしせんばん【笑止千万】
非常にばかばかしいこと、おかしいこと。また、そのさま。また、いかにも気の毒なさまに用いられることもある。▽「笑止」はおかしいこと。ばかばかしいこと。また、気の毒なこと。「千万」は語の下に添えて、このうえなくその程度が高いことを表す。
じぼうじき【自暴自棄】
希望を失い、自分などどうなってもいいとやけくそになること。失望などのために投げやりな行動をして、自分を駄目にすること。また、そのさま。▽「自暴」はめちゃくちゃなことをして、自分自身のからだを損なうこと。「自棄」は自分で自分を見捨てること。
じゅうじゅうきんかい【十重禁戒】
仏道修行のうえで、菩薩(ぼさつ)の守らなければならない10の重要な戒律。顕教では、梵網経に説く、不殺・不盗・不淫・不妄語・不酤酒・不説四衆過・不自讃毀他・不慳惜加毀・不瞋心不受悔・不謗三宝の十戒...
ろうしょうふじょう【老少不定】
人間の寿命がいつ尽きるかは、老若にかかわりなく、老人が先に死に、若者が後から死ぬとは限らないこと。人の生死は予測できないものだということ。▽人生の無常をいう仏教語。「不定」は一定しないこと、決まった法則や規則がないこと。「少」は若い意。
ろうちょうかんえん【籠鳥檻猿】
自由を束縛されて、思い通りに生きられないもののたとえ。かごの中に閉じ込められた鳥と、おりに閉じ込められた猿の意から。▽不自由な生き方を強いられるこの二者は、白居易はくきょいとその友人の元禛げんしんを比喩ひゆして言ったもの。「檻猿籠鳥かんえんろうちょう」ともいう。
ろくどうりんね【六道輪廻】
この世に生きるすべてのものは、六道の世界に生と死を何度も繰り返して、さまよい続けるということ。▽仏教語。「六道」は生前の行為の善悪によって、死後に行き先が決まる六つの世界(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)。「輪廻」は、車輪が回転してきわまりないように、霊魂は不滅で死後また生まれ変わるという考え方。