いんすいしげん【飲水思源】
物事の基本を忘れないという戒めの語。また、他人から受けた恩を忘れてはいけないという戒めの語。水を飲むとき、その水源のことを思う意から。▽「思源」は源のことを考える意。「水みずを飲のみて源みなもとを思おもう」と訓読する。
えんけいきょしょう【延頸挙踵】
人や事の到来を待ち望むこと。また、すぐれた人物の出現するのを待ち望むこと。首を長く伸ばし、つま先立って待ちわびる意から。▽「頸」は首。「踵」はくびす・かかと。「頸くびを延のべ踵くびすを挙あぐ」と訓読する。
えんぼくのけいちん【円木警枕】
苦労して懸命に勉学に励むたとえ。また、物事に精励して寝る間も惜しむこと。眠り込んでしまわないように、すぐ転んで目が覚めるようにした丸木の枕まくらの意から。▽「警枕」は眠り込まないようにした枕。軍中などで使われた。
えんめいそくさい【延命息災】
無事に長生きをすること。何事もなく長生きすることを願い祈る語。▽「息災」は災いをとめる意。転じて、からだにさわりのないこと、無事なこと。「息」はやむ、終わらせる意。「息災延命そくさいえんめい」ともいう。
えんりょきんゆう【遠慮近憂】
遠い将来のことまで見通した深い考えをもたないでいると、必ず手近なところに身にさし迫った心配事が起こること。▽「遠慮」は先々まで見通した深い考え、配慮のこと。「近憂」は身近に迫った心配事の意。「遠き慮おもんぱかり無ければ、必ず近き憂うれい有り」の略。
おうせつふか【応接不暇】
非常に多忙なことの形容。物事が後から後から起こって対応しきれないこと。また、忙しくて一人一人に対応できないこと。▽一般に「応接おうせつに暇いとまあらず」と訓読を用いる。
かくちにっしん【格致日新】
物事の道理や本質を追い求めて知識を深め、日々向上していくこと。▽「格致」は「格物致知」の略()。「日新」は日ごとに新しくなる、日ごとに向上する意。
かっかそうよう【隔靴掻痒】
痒かゆいところに手が届かないように、はがゆくもどかしいこと。思うようにいかず、じれったいこと。物事の核心や急所に触れず、もどかしいこと。靴を隔てて痒いところをかく意から。▽「掻」はかく、ひっかく。「痒」はかゆい。「痒」は「癢」とも書く。「靴くつを隔へだてて痒かゆきを掻かく」と訓読する。
かんざんじっとく【寒山拾得】
中国唐代中期の寒山と拾得の二人の高僧。二人とも奇行が多く、詩人としても有名だが、その実在すら疑われることもある。拾得は天台山国清寺こくせいじの食事係をしていたが、近くの寒巌かんがんに隠れ住み乞食こじきのような格好をした寒山と仲がよく、寺の残飯をとっておいては寒山に持たせてやったという。また、この二人は文殊菩薩もんじゅぼさつ、普賢ふげん菩薩の生まれ変わりといわれる。画題としてもよく用いられる。
がりょうてんせい【画竜点睛】
物事を完成するために、最後に加える大切な仕上げのたとえ。また、物事の最も肝要なところのたとえ。文章や話などで肝心なところに手を入れて、全体をいっそう引き立てるたとえ。▽「睛」はひとみ・目玉。転じて、物事の大切なところの意。一般には「画竜点睛を欠く」と用いることが多く、この場合は最後の仕上げが不十分で、肝心なところが欠けているため精彩がないことをいう。「竜りょうを画えがいて睛ひとみを点ず」と訓読する。「竜」は「りゅう」とも読む。