はいぶつきしゃく【廃仏毀釈】
仏教排斥のための運動のこと。仏法を廃し、釈迦しゃかの教えを放棄する意。▽「釈」は釈迦のこと。「毀」は壊す、悪口をいう意。中国では南北朝時代から宋そう代の直前までに起こった四回の廃仏令「三武一宗の法難」、日本では明治政府の神仏分離令に基づく寺社排斥運動が有名。「仏ほとけを廃はいして釈しゃくを毀そしる」と訓読する。「排仏棄釈」とも書く。
ばんぷふとう【万夫不当】
多くの人が立ち向かってもかなわないほどの剛強な人の形容。▽「万夫」は多くの人、無数の人。「当」はあたる、敵対する意。「不当」は相手にならない、かなわないこと。「万夫ばんぷ当あたらず」と訓読する。李白りはくの「蜀道難しょくどうなん」に「一夫関に当れば、万夫開く莫なし」とあるのは有名。
ふうきりたつ【富貴利達】
富んで身分が高くなること。また、立身出世すること。▽「富貴」は財産があって身分が高いこと。「利達」は利益と栄達の意。
ふうりんかざん【風林火山】
戦いにおける四つの心構えを述べた語。風のように素早く動いたり、林のように静かに構えたり、火のような激しい勢いで侵略したり、山のようにどっしりと構えて動かない意。転じて、物事の対処の仕方にもいう。時機や情勢などに応じた動き方。▽「其その疾はやきこと風の如ごとく、其の徐しずかなること林の如く、侵掠しんりゃくすること火の如く、動かざること山の如し」の略。戦国時代の武将、武田信玄たけだしんげんが旗に大書し、旗印に用いたことで有名。
べんせいしゅくしゅく【鞭声粛粛】
相手に気づかれないように、静かに馬に鞭むち打つさま。▽頼山陽らいさんようの詩句「鞭声粛粛夜よる河かわを渡わたる」とあるのが有名。これは川中島の戦いで上杉謙信うえすぎけんしんが武田信玄たけだしんげんの機先を制すべく、夜に妻女山さいじょざんを下って、敵に気づかれないように馬にあてる鞭の音も静かに、千曲川ちくまがわを渡ったことを詠んだもの。
むけんじごく【無間地獄】
大悪を犯した者が、死後絶えることのない極限の苦しみを受ける地獄。仏教でいわれている八大地獄の八番目。▽仏教語。八大地獄とは、仏教で説かれているさまざまな地獄の中でも最も有名な八つの地獄のこと。等活とうかつ黒縄こくじょう衆合しゅごう叫喚きょうかん大叫喚・焦熱しょうねつ大焦熱・無間の八つをいう。「無間」は間断のないこと。「間」は「げん」とも読む。
ようわいき【用和為貴】
仲よくすることが、最も大切であるということ。人と人とが和合することの重要性をいう語。▽一般に「和わを用もって貴とうとし(貴たっとし)と為なす」と訓読を用いる。また「用」は「以」に同じ。聖徳太子が定めた「十七条憲法」の第一条にある有名な語。
りくとうさんりゃく【六韜三略】
中国の有名な兵法書『六韜』と『三略』。『六韜』は周の太公望呂尚りょしょうの作とされる。文・武・竜・虎こ豹ひょう犬の六巻。『三略』は前漢の功臣、張良ちょうりょうの師である黄石公こうせきこうの作とされ、上略・中略・下略の三巻。ただし、ともに後世の偽作という説もある。▽「韜」は弓袋の意で、兵法の奥義、戦略のこと。「略」ははかりごと・計略の意。
りゅうあんかめい【柳暗花明】
春の野が花や緑に満ちて、美しい景色にあふれること。また、花柳界・遊郭のことを指すこともある。▽「柳暗」は柳が茂って、その陰がほの暗くなること、薄暗い様子。「花明」は花が咲いて明るい色があふれること。春の山水の美しい景色を表現したもの。南宋陸游りくゆうの「山西さんせいの村むらに遊あそぶ」(詩)の「柳暗花明又一村りゅうあんかめいまたいっそん」の句は有名。