むしむじゅう【無始無終】
始めも終わりもなく、限りなく続いていること。生ある者があの世からこの世へと生まれ、苦しみを味わい、再び死んであの世へ戻っていくという輪廻りんねが無限であること。▽仏教語。「始終」を分けて、それぞれに「無ない」をつけた語。「始はじめ無なく終おわり無なし」と訓読する。「終」は「しゅう」とも読む。
むねんむそう【無念無想】
一切の邪念から離れて、無我の境地に到達した状態。単に何も考えていないことを指すこともある。▽仏教語。「無念」は雑念を生じる心を捨て無我の境地に至ること。「無想」は心の働きがない意。「無想無念むそうむねん」ともいう。
むりおうじょう【無理往生】
無理に自分の言動を押しつけ、承知させること。▽「無理」は強引に物事を行うこと。「往生」は、本来は「圧状」と書く。「圧状」は人を脅して、むりやり書かせた文書のこと。
めいてつほしん【明哲保身】
聡明そうめいで道理に明るい人は、危険を避け身を安全に保つ意。また、本来の意味とは異なり、「保身」の意味が誤解されて、自分の身の安全だけを考え、要領よく生きるという意味で使われることもある。▽「明哲」は賢くて物事の道理に明るいこと。また、その人やそのさま。「明哲めいてつ身みを保たもつ」と訓読する。
もうきふぼく【盲亀浮木】
会うことが非常に難しいこと、めったにないことのたとえ。また、人として生まれることの困難さ、そしてその人が仏、または仏の教えに会うことの難しさのたとえ。▽大海中に棲すみ、百年に一度だけ水面に浮かび上がる目の見えない亀かめが、漂っている浮木のたった一つの穴に入ろうとするが、容易に入ることができないという寓話ぐうわによる。「盲亀浮木に値あう」の略。
ゆいがどくそん【唯我独尊】
この世で、自分ほど偉いものはいないとうぬぼれること。釈迦しゃかが生まれたときに七歩歩き、一方で天を指し、他方で地を指して唱えたという言葉と伝えられる。この世の中で自分より尊いものはいないという意味。▽「天上天下てんげ唯我独尊」の略。「唯我」はただ自分のみということ。「独尊」は自分だけが一人尊いということ。
らっかろうぜき【落花狼藉】
物が散乱すること。また、女性に乱暴な行為に及ぶこと。▽「落花」は花が散って地面に落ちたもの。「狼藉」は無秩序に散らかったさま。おおかみが寝た跡は草が乱れていることから生まれた語。花びらが乱れ散った様子をいう。また、花を女性に見立てて、女性に乱暴をはたらく意をも表す。
りょうぎんこしょう【竜吟虎嘯】
同じ考えや心をもった者は、相手の言動に気持ちが通じ合い、互いに相応じ合うということ。また、人の歌声や笛・琴の音などが、あたかも竜やとらのさけび声が天空にとどろき渡るように響くことをいう。▽「吟」は鳴き声をあげる、「嘯」はほえること。竜が声をあげれば雲がわき起こり、とらがうなれば風が生ずるといわれる。「竜りょう吟ぎんじ虎とら嘯うそぶく」と訓読する。「竜」は「りゅう」とも読む。
りょうさいろくよう【量才録用】
人がもっているすぐれた才能をよく見はからって、その能力を十分に生かす地位に登用すること。▽「量才」は才能を量ること、「録用」は採用する意。
りょくりんはくは【緑林白波】
泥棒・盗賊のこと。また、その潜伏場所をいう。▽中国新の王莽おうもうが天下を支配していたとき、緑林山に無頼の徒が立てこもり、そこを拠点にして強盗を働いていた。また、後漢ごかんの時代に張角ちょうかくを主領とし、頭に黄色の布切れをつけた黄巾こうきんの賊が白波谷を拠点として乱を起こしたことから、このような表現が生まれた。