たじょうぶっしん【多情仏心】
人や物事に対して情の多いことが、仏の慈悲の心であるという意。また、情が多く移り気だが、無慈悲にはなれないこと。
だんがいぜっぺき【断崖絶壁】
切り立ったがけ。非常に危機的な状況のたとえとして用いられることもある。▽「断崖」「絶壁」はともに非常に険しいがけのこと。
ちがいほうけん【治外法権】
国際法上、他国領域の中で、その国の法律や裁判権の行使を受けない特権。転じて、ある人がある特定の事柄において、他人の支配や規則などによる拘束を受けないでいられる特殊な立場。
ちへいてんせい【地平天成】
世の中が平穏で、天地が治まること。▽「地平」は地の変動がなく、世の中が平穏に治まること。「天成」は天の運行が順調で、万物が栄えることをいう。▽「地ち平たいらかに天てん成なる」と訓読する。「内平外成ないへいがいせい」とともに、年号の「平成」の出典とされる語。
ちょうかせきかい【朝過夕改】
自分の過ちをすぐ改めること。また、その改め方の迅速な様子。▽「朝過」は朝に犯した過ち。「夕改」はその日の夕方までに改めること。「朝~夕(暮)~」の形は期間の短いことのたとえによく用いられる。「朝あしたに過あやまちて(過あやまてば)夕ゆうべに改あらたむ」と訓読する。
てんいむほう【天衣無縫】
物事に技巧などの形跡がなく自然なさま。天人・天女の衣には縫い目がまったくないことから、文章や詩歌がわざとらしくなく、自然に作られていて巧みなこと。また、人柄が飾り気がなく、純真で無邪気なさま、天真爛漫らんまんなことをいう。また、物事が完全無欠である形容にも用いられることがある。▽「天衣」は天人・天女の着物。「無縫」は着物に縫い目のないこと。「無縫天衣むほうてんい」ともいう。
てんちげんこう【天地玄黄】
天は黒色であって、地は黄色であるということ。また、四つのものの順序を示すのに用いる言葉。▽「玄」は、黒色の意。書写の練習によく用いられた『千字文せんじもん』の第一句。
とうこうかしゅ【刀耕火種】
山林を伐採し、火を放って草木を焼き払い、そこに種をまく意。焼畑農業のこと。▽古来、山地で行われた農法で、広く原始的な農業形態の意味でも用いられる。
としくほう【兎死狗烹】
うさぎが死んでしまえば、それを捕らえるのに用いられた猟犬は不必要となって、煮て食べられてしまう意。戦時に活躍した武将は、ひとたび太平の世となると、用なしとして殺されてしまうことをたとえた言葉。また、後に広く、利用価値があるときだけ用いられ、無用になると捨てられてしまうことのたとえ。▽一般に「兎うさぎ死しして狗いぬ烹にらる」と訓読を用いる。
ないゆうがいかん【内憂外患】
国内の心配事と、外国との間に生じるやっかいな事態。内にも外にも憂慮すべき問題が多いこと。▽「内」は国内、「外」は国外、「憂」「患」はともに憂えるの意。もとは国内外に解決すべきやっかいな問題が山積みしていることを表したが、現在では会社組織などの様子を表すときにも広く用いられる。