いつやのらん【乙夜之覧】
天子が読書すること。読書の大切さをいうたとえ。
いとんのとみ【猗頓之富】
巨万の富、莫大ばくだいな財産のたとえ。
いばしんえん【意馬心猿】
煩悩ぼんのうや情欲・妄念のために、心が混乱して落ち着かないたとえ。また、心に起こる欲望や心の乱れを押さえることができないたとえ。心が、走り回る馬や騒ぎ立てる野猿のように落ち着かない意から。▽仏教語。「意」は心。「心猿意馬しんえんいば」ともいう。
いびちんたい【萎靡沈滞】
物事の働きや動きが衰え、活気や勢いがなくなってしまうこと。▽「萎靡」は、草木などがなえしぼむこと。「沈滞」は沈みとどこおること。いずれも活気がなくなるたとえ。「萎」は「委」とも書く。
いへんさんぜつ【韋編三絶】
何度も繰り返し、熱心に本を読むことのたとえ。また、学問に熱心なことのたとえ。▽「韋編」は文字を書いた木札(木簡という)や竹の札(竹簡という)を皮のひもで綴つづった古代中国の書物。「三絶」は三度断ち切れる意。また、何度も断ち切れる意。「三」は三度の意と数の多いことを表す場合とがある。「韋編いへん三みたび絶たつ」と訓読する。
いぼくのしん【移木之信】
政治を行うものは、人民から信頼されるにたる人物であることを明らかにすべきであるということ。転じて、約束を実行することのたとえ。
いもんのぼう【倚門之望】
子の帰りを待ちわびる親の情のたとえ。子を思う親の愛情が切実なたとえ。特に母親の愛情についていう。門に寄りかかって望み待つ意から。▽「倚」は寄りかかる意。「望」は遠くを見やる意。
いろどうき【異路同帰】
異なった方法でも、同じ結果になるたとえ。道筋はそれぞれに違っても、行きつく先は同じである意から。▽「路」は道。方法のたとえ。「帰」は帰着。目的のたとえ。「路みちを異ことにして帰きを同おなじうす」と訓読する。
いんかいせんい【飲灰洗胃】
心の奥底から悔い改めて再出発すること。心底から改心するたとえ。灰を飲んで胃中の汚れをきれいに洗い清める意から。▽「灰はいを飲のんで胃いを洗あらう」と訓読する。
いんかんふえん【殷鑑不遠】
身近な失敗例を自分の戒めとせよというたとえ。また、自分の戒めとなるものは、近くにあることのたとえ。▽「殷」は古代中国の国の名。「鑑」は鏡で、手本の意。中国の古代王朝は夏(商ともいう)から始まり、殷、周と続く。殷王朝の戒めとなるよい見本は遠くに求めなくても、すぐ前代の夏王朝の暴政による滅亡があるという意。戒めとなる失敗の前例は遠くに求めずとも、身近にあるからこれを戒めとせよということ。一般に「殷鑑いんかん遠とおからず」と訓読を用いる。