ときこつらく【兎起鶻落】
野うさぎが巣穴から素早く走り出したり、はやぶさが急降下して獲物を捕らえたりする様子。転じて、書画や文章の勢いがあることのたとえ。▽「鶻」は、はやぶさ。
とくぎょぼうせん【得魚忘筌】
魚を捕ってしまうと、その道具の筌やなのことなど忘れてしまうということ。転じて、目的を達すると、それまでに役立ったものを忘れてしまうことのたとえ。▽「筌」は水中に沈めて魚を捕る竹かごのこと。一般に「魚うおを得えて筌せんを忘わする」と訓読を用いる。
とこのうしん【吐故納新】
古いものを捨て、新しいものを取り入れること。▽「吐故」は古いものを吐き出すこと。「納新」は新しいものを入れること。「故ふるきを吐はきて新あたらしき納いる」と訓読する。
としくほう【兎死狗烹】
うさぎが死んでしまえば、それを捕らえるのに用いられた猟犬は不必要となって、煮て食べられてしまう意。戦時に活躍した武将は、ひとたび太平の世となると、用なしとして殺されてしまうことをたとえた言葉。また、後に広く、利用価値があるときだけ用いられ、無用になると捨てられてしまうことのたとえ。▽一般に「兎うさぎ死しして狗いぬ烹にらる」と訓読を用いる。
とそううひ【兎走烏飛】
歳月のあわただしく過ぎ去るたとえ。月日の速く過ぎるたとえ。▽「烏」は日(太陽)、「兎」は月を意味し、転じて、月日・歳月のたとえ。太陽に三本足のからすがすみ、月にうさぎがすむという中国古代の伝説による。「烏飛兎走うひとそう」ともいう。
とたんのくるしみ【塗炭之苦】
耐えがたい苦痛。またきわめて厳しく、苦しい境遇にあるたとえ。
とつげんびんこう【訥言敏行】
徳のある人は、口数は少なく、行動に敏速であるものだということ。▽「訥言」は口べたの意。「敏行」は行いを敏速にすること。「言げんに訥とつにして行おこないに敏びんなり」と訓読する。
となんほうよく【図南鵬翼】
大事業や海外進出を企てることのたとえ。大きな志のたとえ。▽「図南」は南の海(南冥なんめい)に行くことをはかる意。「鵬」はおおとり。
とまつししょ【塗抹詩書】
幼児のこと。また、幼児のいたずらのたとえ。幼児は大切な詩書でもかまわずに塗りつぶしてしまうことから。▽「塗抹」は塗り消すこと。「詩書」は儒教の重要な古典である『詩経』と『書経』のこと。「詩書ししょを塗抹とまつす」と訓読する。
とりょうのぎ【屠竜之技】
竜を葬る技。竜は架空の動物であるから、そんな技を磨くのは無意味であるということ。転じて、立派な学問を学んで身につけても、実際に役に立たなくては無意味であるたとえ。