ぼうようほろう【亡羊補牢】
失敗したあとで、慌てて改善するたとえ。あとのまつり。また、失敗したあとで、すぐに手当てをすれば、災いや過ちを大きくしないですむたとえ。羊が逃げたあとで、その囲いを修繕する意から。▽「羊ひつじを亡うしないて牢ろうを補おぎなう」と訓読する。
ぼんのうぼだい【煩悩菩提】
悟りの障害となる人間の迷いの煩悩も、そのまま悟りにつながるきっかけとなること。悟りも悟りの実現を妨げる煩悩も、永久不変の真如しんにょの現れであり、人間の本性であるから、本来別のものでなく、二つは一体であるということ。また、迷いがあって初めて悟りもあるという意。▽大乗仏教の言葉。「煩悩」は心身を悩ます欲情の心の働きの意。「菩提」は一切の迷いのない悟りに至る境地の意。「煩悩即そく菩提」の略。
むいしぜん【無為自然】
人の手を加えないで、何もせずあるがままにまかせること。▽老子や荘子そうしの思想を指す言葉。「無為」は何もせず、人の手を加えないこと。「自然」は人間の手が加わっていないもともとの姿の意。あるがまま。
むてかつりゅう【無手勝流】
戦わずに、策略で相手に勝つこと。また、その方法。また、師伝によらず、自分で勝手にきめた流儀。自分勝手にやること。また、そのやり方。自己流。無手で勝つ流儀の意から。▽「無手」は手に武器・道具などを持たないこと。剣客塚原卜伝つかはらぼくでんが渡し舟の中で、武者修行者から真剣勝負をいどまれたとき、相手を小洲に上がらせ、自分は上がらずに竿さおで船を突き放し、「戦わず勝つ、これが無手勝流だ」と言って血気の勇を戒めた逸話から。
めんぺきくねん【面壁九年】
一つのことに忍耐強く専念して、やり遂げることのたとえ。長い間わき目もふらずに努力を続けることのたとえ。▽「面壁」は壁に向かって座禅を組むこと。「九年面壁くねんめんぺき」ともいう。
ゆうゆうかんえい【優游涵泳】
ゆったりとした心のままに、じっくりと学問や芸術を深く味わうこと。▽「優游」はゆったりしていること。伸び伸びとしてこせつかないこと。「涵泳」は水にひたり泳ぐ意で、ひたり味わうこと。「游」は「遊」とも書く。
ゆうゆうじてき【悠悠自適】
のんびりと心静かに、思うまま過ごすこと。▽「悠悠」はゆったりと落ち着いたさま。「自適」は自分の思うままに楽しむこと。「悠悠」は「優遊」「優游」とも書く。
らいらいせせ【来来世世】
《「来世」のそれぞれの字を重ねて意味を強めた語》来世のまた次の来世。生まれかわり死にかわって繰り返される長い未来。未来永劫(えいごう)。「—の迷ひなり」〈浄・嫗山姥〉
らんざつむしょう【乱雑無章】
物や事柄がばらばらのまま整理されていないこと。無秩序のまま放置されていること。▽「無章」は筋道が立たないこと。「章」は筋道・秩序の意。「乱雑らんざつにして章しょう無なし」と訓読する。
りゅうりょくかこう【柳緑花紅】
美しい春の眺めの形容。また、本来の自然のままで手を加えていないこと。