いちじふせつ【一字不説】
仏法の真理は奥深く、言葉で言い表すことはできないし、言葉を通して得られるものでもなく、自ら体得することによってのみ悟ることができるということ。釈迦しゃかが悟り得た境地を説くにも、直接実相を説き尽くすことはできず、真理は一字も説いていないという意から。▽仏教語。「不説一字ふせついちじ」ともいう。
きょうかすいげつ【鏡花水月】
はかない幻のたとえ。目には見えるが、手に取ることのできないもののたとえ。また、感じ取れても説明できない奥深い趣のたとえ。詩歌・小説などの奥深い味わいのたとえ。本来は、鏡に映った美しい花と水に映った美しい月の意。それらは目には見えても見るだけで、実際に手に取ることができないことからいう。▽「水月鏡花すいげつきょうか」ともいう。「鏡花水月法」はその物事をあからさまに説明しないで、しかもその物事の姿をありありと読者に思い浮かばせる表現方法。
こうせいふき【曠世不羈】
国や人などを長い間服従させることができなかったこと。また、長い間拘束することはできないこと。
さんがいむあん【三界無安】
この世は、苦労が多くて、少しも心が安まることがないということ。▽仏教語。「三界」は仏教の世界観で、衆生しゅじょうが生まれて、死に輪廻りんねする三つの領域、欲界よっかい色界しきかい無色界むしきかいのこと。「無安」は安穏さがない状態のこと。苦しみの多いこと。
しせいゆうめい【死生有命】
人が生まれたり死んだりすることは、天命によって定められたものであり、どうすることもできないということ。人の運命は、決められていて、変えることはできないということ。
しんじんいちにょ【身心一如】
仏教で、肉体と精神は一体のもので、分けることができず、一つのものの両面であるということ。▽「身心」はからだと心。「心身」とも書く。「一如」は真理はただ一つである意。「一」は不二、「如」は不異の意。異ならないこと。「心」は「しん」とも読む。
たいぼんぼうてん【戴盆望天】
頭に盆を載せたまま天を仰ぎ見ることはできないように、二つのことを一度に実現させることは無理であるというたとえ。よいことを二つ同時に兼備することはできないということ。
たいわくふかい【大惑不解】
自分の迷いを自覚できない凡人は、一生かかっても真理を悟ることはできないということ。また、大いに迷い惑って、疑問がなかなか解けないこと。
ちょうけいうかい【長頸烏喙】
長い頸くびととがった口先。▽「烏」はからす。このような人相をした人物はからすのように強欲・陰険で、苦労を共にすることはできても安楽を共にすることはできないという。中国春秋時代の越えつの国の范蠡はんれいが越王勾践こうせんについて言った言葉。
でんこうえいり【電光影裏】
人生は束の間であるが、人生を悟った者は永久に滅びることがなく、存在するというたとえ。▽「電光」は稲妻のこと、「影」は光の意。「電光影裏春風を斬きる(稲妻が春風を斬るようなもので、魂まで滅し尽くすことはできない)」の略。中国宋そうの僧祖元そげんを元げんの兵士が襲って殺そうとしたとき、祖元が唱えた経文の一句。