いいきのき【異域之鬼】
外国にいて、祖国に帰れずに死ぬこと。また、その魂。▽「異域」は外国、「鬼」は死者の魂の意。本来は他国に魂がとどまり、遺骸いがいも祖国に帰れないことを指した。
かいりきらんしん【怪力乱神】
奇怪なこと、力わざのこと、秩序を乱すようなこと、神秘的なこと。また、怪しく不思議で人知ではかり知れないもののこと。▽「怪」は奇怪なこと、不思議なこと。「力」は武勇伝や暴力のこと。「乱」は道徳に反すること。「神」は鬼神、普通の人が認知できない神霊・霊魂のこと。「力」は「りょく」とも読む。
きこくしゅうしゅう【鬼哭啾啾】
悲惨な死に方をした者の浮かばれない亡霊の泣き声が、恨めしげに響くさま。転じてものすごい気配が漂い迫りくるさま。▽「鬼哭」は浮かばれない霊魂が声を上げて泣き悲しむこと。「啾啾」はしくしくと泣く声の形容。
きしゅつでんにゅう【鬼出電入】
現れたり消えたりがすばやく、目にとまらないこと。また、出没が奔放自在で予測できないこと。鬼神のように足跡がなく自在で、稲妻のように速やかに出没する意から。
きめんぶっしん【鬼面仏心】
表面は怖そうだが、内心はとてもやさしいこと。また、そのような人。鬼のように怖そうな顔に、仏のようなやさしい心の意から。
ぎしんあんき【疑心暗鬼】
疑いの心があると、なんでもないことでも怖いと思ったり、疑わしく感じることのたとえ。疑いの深さからあらぬ妄想にとらわれるたとえ。疑いの心をもっていると、いもしない暗闇くらやみの亡霊が目に浮かんでくる意から。▽「疑心」は疑う心。「暗鬼」は暗闇の中の亡霊の意。「疑心暗鬼を生ず」の略。「暗」は「闇」とも書く。
ぎゅうきだしん【牛鬼蛇神】
妖怪や鬼神。もとは怪しげでとりとめがなく、幻のような作風・作品のたとえ。どうにも奇妙でしまりがないさま。また、邪よこしまなことをするさまざまな悪人のたとえ。さらに容貌ようぼうの醜いたとえとして用いられることもある。▽「牛鬼」は頭が牛の形をした鬼神・怪物のこと。転じて、容姿が醜いたとえ。「蛇神」は顔が人で身体が蛇の姿をした神。
しんこうきふ【神工鬼斧】
人間の技とは思えない、精巧でち密な工芸品や美術品のこと。鬼神きじんが斧おのをふるって、作品を作り上げたようだという意味。神わざ。名人芸。
せんさいきさい【仙才鬼才】
他の人に比べて飛び抜けてすぐれた才能。▽「仙才」は仙人のような才能。仙人は人間界を離れて神通力を得た人。「鬼才」は人間業とは思えないようなずば抜けた才能のこと。もとは唐の詩人の李白を仙才、李賀を鬼才と称した。
ひゃっきやこう【百鬼夜行】
悪人どもが時を得て、勝手に振る舞うこと。また、多くの人が怪しく醜い行為をすること。▽「百鬼」はいろいろな妖怪ようかいのこと。「夜行」は暗夜に列をなして歩き回ること。多くの化け物が、夜中に行列をつくって歩き回る意から。「行」は「ぎょう」とも読む。