[動サ五(四)]

  1. 酒をすすめる。「杯を—・す」

  1. ごく少量の液体をある部分にそそぎ入れる。「目薬を—・す」「ギヤに油を—・す」

  1. 液体をほかの液体容器の中へ少し、または少しずつ加え入れる。「花瓶に水を—・す」「吹きこぼれないように冷水を—・す」

  1. 補い加える。つぎ足す。「炭を—・して火気を強める」

  1. ある部分に色をつける。「紅 (べに) を—・す」

  1. しるしや訓点などをつける。「朱点を—・す」

  1. 火をともす。

    1. 「まづ紙燭 (しそく) —・して来 (こ) 」〈竹取

[可能]させる

[動サ五(四)]

  1. (差す)

    1. ㋐(「射す」とも書く)まっすぐに光が照り入る。光が当たる。「西日が—・す」

    2. ㋑潮が満ちてくる。また、水が増して入り込む。しみ込む。「潮が—・す」「氾濫した川の水が床下まで—・してきた」「井戸廃水が—・す」

    3. ㋒何かのしるし・気配などが自然と外に現れる。「ほおに血の気が—・す」「景気にかげりが—・す」

    4. ㋓ある種の気分・気持ちが生じる。きざしてくる。「眠けが—・す」「魔が—・す」「気が—・す(=気がとがめる)」

    5. 平熱より高くなる。熱が出る。「熱が—・す」

    6. ㋕枝や根が伸び広がる。草木が伸びて出る。「枝葉が—・す」

  1. (指す・差す)

    1. ㋐指などで目標とする物や場所方向を示す。指さす。「指で—・して教える」「後ろ指を—・される」「時計の針が七時を—・している」

    2. ㋑人や物をそれと決めて示す。指名する。また、密告する。「文中のそれは何を—・しますか」「生徒を—・して答えさせる」「犯人を警察に—・す」

    3. ㋒その方向へ向かう。目ざす。「南を—・して飛ぶ」

    4. ㋓物差しで寸法を測る。

      「縦横の寸法を—・してみた」〈三重吉・桑の実〉

    5. 指物を作る。

    6. 将棋で、駒を動かす。また、対局する。「将棋を—・す」「一局—・す」

    7. ㋖物を手で持って上げる。両手で高く上げる。「米俵を—・す」

    8. ㋗傘などをかざす。

    9. ㋘肩に担ぐ。になう。「駕籠 (かご) を—・す」

    10. ㋙舞で、手を前方に伸ばす。「—・す手引く手」

    11. ㋚相撲で、相手の脇の下に手を入れる。「右を—・す」

    12. 競馬などで、ゴールの直前先行するものを追い抜く。「—・して首の差で勝つ」

    1. ㋐雲などが、立ちのぼる。

      八雲—・す出雲の児らが黒髪は吉野の川の沖になづさふ」〈・四三〇〉

    2. ㋑さしつかえる。

      「ちとお寺に—・す事ある」〈浄・薩摩歌〉

[可能]させる
[補説]「指す」「差す」「射す」「刺す」「注す」「点す」「挿す」「鎖す」などと、いろいろに漢字が当てられるが、本来同一の語。

出典:青空文庫

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