[助動][れ|れ|る|るる|るれ|れよ]四段・ナ変・ラ変動詞の未然形に付く。
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1 受け身の意を表す。…れる。
「あたの風吹きて、三つある舟、二つは損はれぬ」〈宇津保・俊蔭〉
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2 可能の意を表す。…することができる。
「酔 (ゑ) ひのすすみては、忍ぶることもつつまれず」〈源・竹河〉
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3 自発の意を表す。自然と…られる。つい…られてくる。
「秋来 (き) ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」〈古今・秋上〉
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4 軽い尊敬の意を表す。…れる。…なさる。→ゆ[助動] →らる
「かの大納言、いづれの船にか乗らるべき」〈大鏡・頼忠〉
[補説]中古になって
発達した語で、
近世まで広く用いられた。
1の
用法のときはラ変動詞には付かず、無生物が受け身の
主語になることはきわめて少ない。
2は、鎌倉時代ごろまでは、多く打消しや打消しとなる
反語を伴って不可能の意を表す。なお、
2・
3の
用法には命令形がなく、
4は平安時代以降、盛んに用いられた。口語形「れる」。