[動ラ五(四)]
  1. 「やる」「おくる」の、その対象を敬っていう謙譲語。上位の人に差し上げる。献上する。「貢ぎ物を—・る」

  1. 動作対象への敬意を失い、「やる」「おくる」をからかっていう。「あだ名を—・る」

  1. 形だけある地位に就けて、敬意を払ったことにする。祭り上げる。「会長に—・って口出しをさせない」

  1. その動作を受ける人を主として、尊敬語として用いる。

    1. ㋐「飲む」「食う」の尊敬語。召し上がる。

      「壺なる御薬—・れ」〈竹取

    2. ㋑「着る」の尊敬語。お召しになる。

      「御袴着のこと、一の宮の—・りしに劣らず」〈桐壺

    3. ㋒「乗る」の尊敬語。お乗りになる。「乗り給ふ」より敬意が強い。

      「女御殿、対の上は一つに—・りたり」〈・若菜下〉

  1. (補助動詞)動詞の連用形に付いて謙譲の意を添え、その動作の及ぶ相手を敬う。…申し上げる。…さしあげる。「御神体を移し—・る」「よろしく願い—・ります」

[動ラ下二]使役の意が加わったもの。一説に、四段「奉る」と同義とも》
  1. 人を通して、差し上げる。差し上げさせる。

    1. 「小さき人して—・れたれば」〈かげろふ・中〉

  1. 使いの者を参上させる。使いを差し上げる。

    1. 惟光を—・れ給へり」〈若紫

[補説]は、未然形と連用形の用例しかないが、通常、下二段と認めている。

出典:青空文庫

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