かっかそうよう【隔靴掻痒】
痒かゆいところに手が届かないように、はがゆくもどかしいこと。思うようにいかず、じれったいこと。物事の核心や急所に触れず、もどかしいこと。靴を隔てて痒いところをかく意から。▽「掻」はかく、ひっかく。「痒」はかゆい。「痒」は「癢」とも書く。「靴くつを隔へだてて痒かゆきを掻かく」と訓読する。
かんわきゅうだい【閑話休題】
それはさておき。ともかく。話が横道にそれたのを本筋に戻すときにいう語。主として文章中で用いる。▽「閑話」は暇にまかせてする無駄話のこと。「休題」は話すことをやめること。また、話題を転ずること。「閑」は「間」とも書く。
がしろうひょう【画脂鏤氷】
内実がしっかりしていないのに外側、外面を飾っても無駄であるたとえ。また、苦労し努力しても効果のないたとえ。力を無用なところに用いること。あぶらに画えがき氷に彫刻する意から。▽「脂」はあぶら。「鏤」はほる、刻みつける意。「画」は「かく」とも読む。「氷」は「冰」とも書く。「脂あぶらに画えがき氷こおりに鏤(ちりば・きざ)む」と訓読する。
がぞくせっちゅう【雅俗折衷】
風雅なものと卑俗なものを交ぜ用いること。また、文語体と口語体を適宜交ぜた文。小説などで、地の文は上品で優美な雅文、文語体を用い、会話文は口語体を用いるいわゆる雅俗折衷文のこと。▽明治時代初・中期に発達した。先駆けとして井原西鶴いはらさいかくなどがあり、坪内逍遥つぼうちしょうようなどが提唱した。
がんこうしゅてい【眼高手低】
目は肥えているが、実際の技能や能力は低いこと。知識はあり、あれこれ批評するが、実際にはそれをこなす能力がないこと。また、理想は高いものの実力が伴わないこと。▽「眼高めたかく手低てひくし」と訓読する。
きいんせいどう【気韻生動】
芸術作品に気高い風格や気品が生き生きと表現されていること。また、絵画や他の芸術作品などに、生き生きとした生命感や迫力があり、情趣にあふれていること。▽「気韻」は書画など芸術作品にある気高い趣。気品。「生動」は生き生きとしているさま。また、生き生きとして真に迫ること。中国六朝りくちょう時代、南斉なんせいの人物画の名手謝赫しゃかくが、『古画品録』の中で画の六法の第一に挙げたのに始まるといわれる。
きおうふきゅう【既往不咎】
過ぎてしまったことは、とやかくとがめだてしないこと。
きげんきこう【危言危行】
言語や行いを厳しくすること。また、言行を清く正しく保つこと。▽「危」は前者のとき、言動を厳しくして俗に従わない、また、厳正にする意。後者のとき、高くする、正しく気高くする意。よって前者は「言げんを危はげしくし行おこないを危はげしくす」、後者は「言げんを危たかくし行おこないを危たかくす」と訓読する。別な訓読もある。
きっくつごうが【詰屈聱牙】
[名・形動]《韓愈「進学解」から》文章や字句が堅苦しくて難解なこと。また、そのさま。「其角(きかく)、嵐雪(らんせつ)は人事を写さんとして端無く—に陥り」〈子規・俳人蕪村〉
きもうとかく【亀毛兎角】
この世にあり得ないもの、実在するはずがない物事のたとえ。もとは戦争の起こる兆しをいった。かめに毛が生え、うさぎに角が生える意から。▽「兎角亀毛とかくきもう」ともいう。