いっしそうでん【一子相伝】
学問や技芸などの秘伝や奥義を、自分の子供の一人だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないこと。▽「相伝」は代々伝えること。
いへんさんぜつ【韋編三絶】
何度も繰り返し、熱心に本を読むことのたとえ。また、学問に熱心なことのたとえ。▽「韋編」は文字を書いた木札(木簡という)や竹の札(竹簡という)を皮のひもで綴つづった古代中国の書物。「三絶」は三度断ち切れる意。また、何度も断ち切れる意。「三」は三度の意と数の多いことを表す場合とがある。「韋編いへん三みたび絶たつ」と訓読する。
うやむや【有耶無耶】
はっきりしないさま。曖昧あいまいなさま。また、いいかげんなさま。あるかないか、はっきりしない意。▽「耶」は疑問の助字。「有りや無しや」の意。
おんせいていせい【温凊定省】
親孝行をすること。冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるように気を配り、夜には寝具を整え、朝にはご機嫌をうかがうこと。子が親に仕えて尽くすべき心がけを説いたもの。▽「凊」はすずしい意。「定」は寝具を整え、快適に安眠できるよう配慮すること。「省」はかえりみる意で、安否を問う、ご機嫌うかがいをすること。
かくぶつちち【格物致知】
物事の道理や本質を深く追求し理解して、知識や学問を深め得ること。『大学』から出た語で、大きく分けて二説ある。宋そうの朱熹しゅきは出典を「知を致いたすは物に格いたるに在り」と読んで、自己の知識を最大に広めるには、それぞれの客観的な事物に即してその道理を極めることが先決であると解釈する。一方、明みんの王守仁おうしゅじん(王陽明)は「知を致すは物を格ただすに在り」と読んで、生まれつき備わっている良知を明らかにして、天理を悟ることが、すなわち自己の意思が発現した日常の万事の善悪を正すことであると解釈している。他にも諸説ある。▽「致知格物ちちかくぶつ」ともいう。
がんぶつそうし【玩物喪志】
無用なものを過度に愛玩して、本来の志を見失ってしまう意で、枝葉末節なことにこだわり、真に学ぶべきことや学問の本質を見失うこと。また、自分の好みで、珍しいものなどを過度に愛好して正しい心を失うこと。▽「玩」はもてあそぶ、むさぼる意。「喪」は失う意。「物ものを玩もてあそべば志こころざしを喪うしなう」と訓読する。
きょくがくあせい【曲学阿世】
学問の真理にそむいて時代の好みにおもねり、世間に気に入られるような説を唱えること。真理を曲げて、世間や時勢に迎合する言動をすること。▽「曲学」は真理を曲げた正道によらない学問。「阿世」は世におもねる意。「阿」はへつらいおもねる意。「阿世曲学あせいきょくがく」ともいう。
ぐんぎまんぷく【群疑満腹】
心が多くの疑問でいっぱいになること。また、多くの人がみな疑いの心を抱くこと。▽「群」は多いこと。また、多くの人の意。「群疑ぐんぎ、腹はらに満みつ」と訓読する。
けいせつのこう【蛍雪之功】
苦労して学問に励むこと。▽「蛍雪」は蛍の光と雪明かり。
けいてんあいじん【敬天愛人】
天を敬い人を愛すること。▽「敬天」は天をおそれ敬うこと。「愛人」は人をいつくしみ愛すること。西郷隆盛さいごうたかもり(号は南洲なんしゅう)が学問の目的を述べた語として有名。