げっかひょうじん【月下氷人】
仲人、媒酌人のこと。また、男女の縁を取り持つ人のこと。
- 注記
- 「月下老人」と「氷人」を合わせたことば。どちらも古代中国の伝説で男女の仲を取り持ったことから。
- 故事
- 「月下」は、月下老人の略。中国唐の時代、韋固いこという独り者が旅先の宋城そうじょうで月夜の晩に出会った老人のこと。赤い縄でつながれているという韋固の将来の妻を予言し、その通りになったという。「氷人」は、氷上人の略。中国晋しんの時代、索紞さくたんという占いの名人に令狐策れいこさくという者が、氷の上に立って氷の下の人と話をしたという夢の判断を求めたところ、「君が結婚の仲介をするという前兆である」と述べた。予言通りその後、令狐策は大守たいしゅの依頼で、その息子のために仲人をすることになり、めでたく婚姻が成り立ったという。
- 出典
- 『続幽怪録ぞくゆうかいろく』、『晋書しんじょ』芸術・索紞
- 用例
- 時雄は芳子の師として、此の恋の証人として一面月下氷人の役目を余儀なくさせられたのであつた。〈田山花袋・蒲団〉