[動ラ五(四)]

  1. そのものの全体または部分位置が低い所から高い方へ動く。

    1. ㋐低い所から高い所に移る。「二階に—・る」⇔おりる

    2. ㋑物の位置が高い所へ移る。「遮断機が—・る」「幕が—・る」⇔さがるおりる

    3. ㋒物が動き進んで高い空間に移る。「火の手が—・る」「夜空花火が—・る」

    4. ㋓水上や水中から外に移る。「船から陸 (おか) に—・る」「風呂から—・る」

    5. 履物をぬいで家の中に入る。「座敷に—・る」

    6. ㋕(揚がる)遊女屋に入って遊ぶ。「妓楼 (ぎろう) に—・る」

    7. ㋖《御所が北にあったところから、京都の町で》北に行く。「新烏丸 (からすま) 通り竹屋町—・る」⇔さがる

  1. 所有者や高位の者の手元に収められる。

    1. 収益がある。「純益が—・る」

    2. ㋑(挙がる)検挙される。「犯人が—・る」

  1. 上の段階等級へ進む。「学校に—・る」「地位が—・る」⇔さがる

  1. 程度が高まる。

    1. ㋐他と比較して高い状態にある。「右肩が—・っている」⇔さがる

    2. ㋑今までより高い状態になる。「血圧が—・る」「気温が—・る」⇔さがる

    3. ㋒(「騰る」とも書く)値段が前より高くなる。「物価が—・る」⇔さがる

    4. ㋓いちだんと望ましい状態になる。「男ぶりが—・る」「腕前が—・る」

    5. ㋔声が高く発せられる。「歓声が—・る」

    6. ㋕勢いがつく。盛んになる。「意気が—・る」「調子が—・る」「気分が—・る」

    7. ㋖俗に、気分が高まる。興奮する。「—・る曲」

  1. 《血が頭にのぼる意から》のぼせて平常心を失う。「初舞台で—・る」

  1. 物事が終わりとなる。

    1. 完成する。仕上がる。「仕事が—・る」

    2. 双六 (すごろく) などで、駒が最終場所に進んで勝つ。また、トランプ・マージャンなどで役ができて勝つ。「役満で—・られた」

    3. ㋒雨がやむ。「夕立が—・る」

    4. ㋓その範囲内でまかなえる。「思ったより安く—・った」

    5. ㋔脈・乳・月経などが止まる。「つわりが—・る」

    6. ㋕魚・貝・虫などが死ぬ。草木が枯れる。「ウリの蔓 (つる) が—・る」

    7. ㋖すたれる。だめになる。「車のバッテリーが—・る」

  1. 人の目についたり、広く知られたりするようになる。

    1. ㋐掲げられる。「表彰の額が—・る」

    2. 有名になる。「名が—・る」

    3. ㋒(挙がる)表し示される。「証拠が—・る」

    4. 効果実績が現れる。「成果が—・る」

  1. (揚がる)揚げ物ができる。「天ぷらが—・る」

  1. 神仏や敬うべき人などに、ある行為がなされる。

    1. ㋐神仏に供えられる。「灯明が—・る」

    2. ㋑使用人として仕える。「お屋敷に—・る」⇔さがる

    3. ㋒「食う」「飲む」「吸う」の尊敬語。召し上がる。「先生は酒を少しも—・りません」

    4. ㋓「行く」「訪ねる」の謙譲語。参上する。「お話を伺いに—・ります」

  1. 10 昔へさかのぼる。

    1. 「なほ—・りての人には、あたるべくもあらじをや」〈・若菜下〉

  1. 11 馬が跳ねる。

    1. 「馬の—・りさわぐなどもいとおそろしう見ゆれば」〈・三〉

  1. 12 髪が逆立つ。

    1. 「汗のあゆれば、つくろひたてたる髪なども、みな—・りやしたらむとおぼゆ」〈・二七八〉

  1. 13 動詞の連用形のあとに付いて複合語をつくる。

    1. ㋐その動作が終わる意を表す。しおわる。「新聞が刷り—・る」

    2. ㋑いきつくところまでいっている状態を表す。すっかり…する。「晴れ—・る」「おどされて震え—・る」

    3. ㋒さげすみ、ののしる意を表す。しくさる。しやがる。

      「おおい、まち—・れ」〈滑・膝栗毛・五〉

[可能]あがれる
[用法]あがる・[用法]のぼる——「坂を上がる(登る)」「石段を上がる(登る)」「煙が上がる(昇る)」などでは相通じて用いる。◇「舞台に上がる」「座敷に上がる」などには「登る」は使わない。◇「山に登る」「木に登る」「はしごを登る」では「登る」を使う。◇「上がる」も「登る」も下から上への空間的移動であるが、「はしごを登って、屋根に上がった」「山道を登って、見晴らし台に上がった」などの例からもわかるように、「登る」は途中経過、経由する所を意識していう場合が多いのに対し、「上がる」は到達点ととらえることが多い。「煙が上がる」「煙が昇る」では相通じて用いられるが、「狼煙 (のろし) 」の場合は「狼煙が上がる」であって「狼煙が昇る」とはいわない。双六 (すごろく) の終着点は「あがり」であって「のぼり」ではない。

出典:青空文庫

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