こうぼくしかい【槁木死灰】
身も心も生気がまったくなく、何の働きもしないたとえ。無欲で無心なさま。▽「槁木」は枯れ木。からだが枯れ木のように静止して不動なことの形容。「死灰」は燃え尽きて、火の気のない灰。心が火の気のない灰のように無心なことの形容。いずれも生気や活気のないさま。
こうもうへきがん【紅毛碧眼】
赤い髪の毛、青い眼の人の意で、西洋人を指す。▽「紅毛」は江戸時代、オランダ人についての呼称。ポルトガル人やスペイン人を南蛮人と呼んだのに対する呼称。のち、一般に西洋人を指すようになった。「碧」はみどり・あお・あおみどり色のこと。西洋人の目の色の形容。「碧眼紅毛へきがんこうもう」ともいう。
こくしょくてんこう【国色天香】
牡丹ぼたんのこと。また、非常に美しい人の形容。▽「国色」は国中で第一の美しい色。また、国一番の美人。「天香」は天のものかと思うばかりの妙たえなる香り。すばらしい香りの意。「天香国色てんこうこくしょく」ともいう。出典に引用された李正封りせいほうの詩句「国色朝あしたに酒を酣たのしみ、天香夜に衣を染む」による。
こふくげきじょう【鼓腹撃壌】
太平の世の形容。太平で安楽な生活を喜び楽しむさま。善政が行われ、人々が平和な生活を送るさま。満腹で腹つづみをうち、足で地面をたたいて拍子をとる意から。▽「鼓腹」は腹つづみをうつこと。「壌」は土・地面。「撃壌」は地面をたたいて拍子をとること。一説に木製の履物を遠くから投げて当てる遊びの名ともいう。「腹はらを鼓こし壌つちを撃うつ」と訓読する。「撃壌鼓腹げきじょうこふく」ともいう。
こぼくかんがん【枯木寒巌】
世俗に超然とした悟りの境地のたとえ。枯れた木と冷たい岩の意から。仏教、特に禅宗で「枯木」「寒巌」を、情念を滅却した悟りの境域にたとえる。また、情味がなく冷淡で取っつきにくい態度・性質などのたとえに用いられることもある。▽「巌」はいわお。高く大きな石。「寒巌枯木かんがんこぼく」ともいう。
さんこうすいちょう【山高水長】
山が高くそびえ、川が長く流れるさま。高潔な人の功績や徳望が崇高で、長く人に仰がれることの形容。また、人の品性が高大で高潔なことの形容に用いられることもある。▽「山高」は山がどっしり高くそびえる意で、功績や徳望の高さを人から仰がれるたとえ。「水長」は川の水が絶えることなく流れる意で、長く尽きることのないたとえ。「山やまのごとく高たかく水みずのごとく長ながし」と訓読する。
さんぺいじまん【三平二満】
十分ではないが、少しのもので満足し、心穏やかに過ごすこと。▽「三」「二」はともに、数の少ないことを示す。また、別意で、額・鼻・下顎したあご(三つ)が平らで、両方の頬ほお(二つ)が膨れている顔、おかめ・おたふくのことをいう。「二」は「に」とも読む。
しくはちがい【四衢八街】
大きな通りが四方八方に通じた大きな町。交通などの便がよく、にぎわう町の形容。▽「衢」「街」は、ともに四方に通じる道。
しっぷうどとう【疾風怒濤】
激しい風と荒れ狂う波の意。また、時代が激しく変化することの形容。▽「怒濤」は荒れ狂い逆巻く波。ドイツ語「シュトルム‐ウント‐ドラング」の訳語で、十八世紀後半ゲーテらを中心に展開された文学革新運動をいう。
しでんいっせん【紫電一閃】
事態の急激な変化の形容。研ぎ澄まされた剣をひと振りするとき、一瞬ひらめく鋭い光の意から。▽「紫電」は研ぎ澄まされた剣をひと振りするときにひらめく鋭い光。「一閃」は一瞬のひらめき。さっとひらめくこと。