こんちべんこう【困知勉行】
才能に恵まれない者が発憤し、ひたむきに努力を重ねること。人が踏み行うべき人倫の道を認識し実践していく三つの道程、「生知安行」「学知利行」「困知勉行」の第三。▽「勉行」はひたすら努力して実践すること。修養には先の三段階があるが、道が違うのみで結果は同じであるから才能の劣った者でも努力すべきことをいう語。
ごぎゅうぜんげつ【呉牛喘月】
過度におびえ恐れることのたとえ。また、疑いの心があると、何でもないものにまで恐れや疑いの気持ちをもつたとえ。暑い呉の地方の牛は月を見ても暑い太陽だと思い、喘あえぐ意から。▽「呉」は江南一帯の地。「喘」は息が切れて苦しそうに呼吸すること。「呉牛ごぎゅう、月つきに喘あえぐ」と訓読する。
さんがいむあん【三界無安】
この世は、苦労が多くて、少しも心が安まることがないということ。▽仏教語。「三界」は仏教の世界観で、衆生しゅじょうが生まれて、死に輪廻りんねする三つの領域、欲界よっかい色界しきかい無色界むしきかいのこと。「無安」は安穏さがない状態のこと。苦しみの多いこと。
ざしんけんたん【坐薪懸胆】
将来の成功や活躍のために、苦労をいとわず、つらい生活をじっと耐え忍ぶ意。つらい生活を耐えることで、敵愾心てきがいしんや闘志をかきたてること。もとは、復讐ふくしゅうのために耐え忍ぶこと。
しくはっく【四苦八苦】
非常に苦労すること。たいへんな苦しみ。もと仏教の語で、あらゆる苦しみの意。▽「四苦」は生しょう老・病・死の四つの苦しみ。「八苦」は「四苦」に愛別離苦あいべつりく(親愛な者との別れの苦しみ)、怨憎会苦おんぞうえく(恨み憎む者に会う苦しみ)、求不得苦ぐふとくく(求めているものが得られない苦しみ)、五蘊盛苦ごうんじょうく(心身を形成する五つの要素から生じる苦しみ)を加えたもの。
しっしんどんたん【漆身呑炭】
仇かたきを討ったり、復讐のために、どんな苦しみや苦労もいとわないこと。
しっぷうもくう【櫛風沐雨】
風雨にさらされながら、苦労して働くこと。また、世の中のさまざまな辛苦にさらされることのたとえ。▽「櫛風」は風に髪が櫛くしけずられること。「沐雨」は雨で髪が洗われること。「沐雨櫛風もくうしっぷう」ともいう。
しゅうくしんきん【愁苦辛勤】
思い悩んで憂え苦しむこと。また、その苦しみ。▽「愁苦」は憂え苦しむ。「辛勤」はつらくて憂い苦しむこと。また、苦労してつとめること。
しょうしんかんぜつ【焦唇乾舌】
唇や舌が乾くほどに辛苦すること。大いに焦燥すること。また、大いに言い争うことのたとえ。大いに焦るさまに用いられることもある。唇が焦げ舌が乾く意から。▽「唇くちびるを焦こがし舌したを乾かわかす」と訓読する。「乾舌焦唇かんぜつしょうしん」ともいう。「唇」は「脣」とも書く。
しょうとうらんがく【焦頭爛額】
事前の予防を考えた者を賞さず、末端の些末さまつなものを重視するたとえ。根本を忘れ、些末なことを重視するたとえ。また、処理に手こずりせっぱつまって苦労することのたとえ。火災を消すために頭の毛を焦がし、額にやけどをおった者が賞される意から。▽「焦」は、こがす。「爛額」は額が焼けただれること。「焦頭爛額を上客じょうかくと為なすか」の略。火災を予防する方法を教えた者は賞されず、火事が起きて、苦労して消火にあたった者だけが賞されることから。「頭あたまを焦こがし額ひたいを爛ただらす」と訓読する。「爛額焦頭らんがくしょうとう」ともいう。