いちだくせんきん【一諾千金】
信義が厚く、裏切ることのないたとえ。また、約束を重んじなければならないたとえ。いったん承諾したら、それは千金にも値するほどの重みがあるということ。▽「一諾」はひとたび承知して引き受けること。
いぶけいぶん【緯武経文】
学芸と武術の両方を重んじて、政治の土台にすること。文武の両道を兼ねた政治の理想的姿。武を横糸に文を縦糸にして、美しい布を織る意から。▽「緯」は横糸。「経」は縦糸。「武ぶを緯いにし文ぶんを経けいにす」と訓読する。「経文緯武けいぶんいぶ」ともいう。
えんまんりゅうらん【衍曼流爛】
はびこり広がること。多く悪などがはびこることにいう。▽「衍曼」は限りなく広がりはびこるさま。蔓延まんえんするさま。「流爛」は布しき散る、散り散りにはびこる意。「曼」は「漫」とも書く。
こんりんならく【金輪奈落】
「金輪際こんりんざい」に同じで、物事の極限、きわまるところ。また、どこまでも、とことん。また絶対に、断じての意。▽仏教語。「金輪」は大地の下に三つの層(三輪)があり、風輪・水輪の上にあるとされる、大地のはるか下の金輪の底の意。「奈落」は地獄のこと。
せいしはいそ【斉紫敗素】
知者が事を行えば災いを福に変じ、失敗を成功に転じることのたとえ。斉の国でもてはやされた紫色の絹も、もとは粗末な古い白絹を染め直したものであるの意から。▽「斉紫」は中国戦国時代の斉の国で産出した紫色の布地。「敗素」は古い白絹。敗素を紫地に染めただけで、斉紫は値段が十倍にもなったといわれる。
たんかつせんけつ【短褐穿結】
貧しい人や卑しい人の着る衣服。貧者の粗末な姿の形容。▽「短褐」は短い荒布でできた着物。「穿結」は破れていたり、結び合わせてあったりすること。
はいぶつきしゃく【廃仏毀釈】
仏教排斥のための運動のこと。仏法を廃し、釈迦しゃかの教えを放棄する意。▽「釈」は釈迦のこと。「毀」は壊す、悪口をいう意。中国では南北朝時代から宋そう代の直前までに起こった四回の廃仏令「三武一宗の法難」、日本では明治政府の神仏分離令に基づく寺社排斥運動が有名。「仏ほとけを廃はいして釈しゃくを毀そしる」と訓読する。「排仏棄釈」とも書く。
ふいのまじわり【布衣之交】
身分や地位などにこだわらない、心からの交わり。また、庶民同士、身分の低い者同士の付き合い。出世前の付き合い。▽「布衣」は布で作った衣服。一般庶民の着物。転じて、官位のない人の意。平民・庶民のこと。「交」は「こう」とも読む。
へんぷくしゅうしょく【辺幅修飾】
体裁を繕うこと。また、うわべや外見を飾り見栄を張ること。布の縁をかがって、ほころびのないようにする意から。▽「辺幅」は布地のへり、縁。転じて、外見の意。「修飾」は繕い飾ること。「辺幅へんぷくを修飾しゅうしょくす」と訓読する。「修飾辺幅しゅうしょくへんぷく」ともいう。
りょうらきんしゅう【綾羅錦繍】
上質の素材を用い、刺繍を数多く施した美しい衣服。また、きらびやかな衣服を身につけること。▽「綾」はあや絹、「羅」は薄絹、「錦」はにしき、「繍」は刺繍をした織物で、いずれも高貴な人が着る美しい衣服のこと。