[動タ五(四)]
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1 ある場所にまっすぐ縦になっている。
㋐足を伸ばしてからだを縦に支える。「通路に—・つ」
㋑草や木が地に生える。「街路樹が—・つ」
㋒長いものや高大なものが直立して位置する。「看板が—・つ」「電柱が—・つ」
㋓とがったものが突き刺さる。「とげが—・つ」「歯が—・たない」
㋔突き出た形のものが生じる。「霜柱が—・つ」
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2 座ったり横になったりしていたものが起き上がる。また、低い位置から高く上る。
㋐身を起こす。立ち上がる。「呼ばれたら—・ちなさい」
㋑伏せていたものが起きる。「髪の毛が—・つ」「鳥肌が—・つ」
㋒《「勃つ」と当てて書くこともある》(興奮により)陰茎や乳首などが固く大きくなる。
㋓煙や蒸気などが空中に上がり漂う。「土ぼこりが—・つ」
㋔鳥や虫などが飛び上がる。
「(昆虫ガ)ブンと鼻先へ—・って来たのを」〈風葉・青春〉
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3 身を起こしてその場を離れる。「席を—・つ」「手洗いに—・つ」
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4 (「起つ」とも書く)決意して事を起こす。奮起する。「反対運動に—・つ」
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5 戸や障子が閉じる。「雨戸が—・っている家」
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6 自然界の現象・作用が目立って現れる。
㋐雲・月などが空高くかかる。「虹が—・つ」「霞が—・つ」
㋑風・波などが起こる。「涼風が—・つ」「土用波が—・つ」
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7
㋐ある立場や状況に置かれる。「先頭に—・つ」「苦境に—・つ」
㋑重要な役目・地位につく。「教壇に—・つ」「証人に—・つ」「衆議院議員候補に—・つ」
㋒高位につく。「東宮に—・つ」
㋓目的をもってある場所に身を置く。「署名を求めて街頭に—・つ」
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8 度合いが強くなって明らかになる。
㋐はっきり耳目に認められる。「声が—・つ」「目に—・つ」
㋑世に知れ渡る。「うわさが—・つ」「人気が—・つ」
㋒はっきり示される。「あかしが—・つ」「値が—・つ」
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9 新しい季節が始まる。「秋—・つころのものがなしさ」
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10 事物が新たに設けられる。
㋐催しなどの場が開かれる。「市 (いち) が—・つ」
㋑理論などが新しくつくり示される。「新説が—・つ」
㋒目標などが定まる。「予定が—・つ」「見通しが—・たない」
㋓割り算で商が成り立つ。「六を二で割ると三が—・つ」
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11
㋐盛んに気泡が生じる。「泡が—・つ」
㋑湯などが沸く。「風呂が—・つ」
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12 感情が激する。たかぶる。「腹が—・つ」「気が—・つ」
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13 技能などがいちだんとすぐれる。「弁が—・つ」「腕の—・つ職人」
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14 物事が好ましい形で成り立ったり維持されたりする。
㋐目的にかなって使用価値がある。「役に—・つ」
㋑損なわれないで保たれる。「面目が—・つ」「暮らしが—・つ」
㋒筋道がきちんと通る。また、しっかりと成立する。「道理が—・つ」「義理が—・つ」「言い訳が—・たない」
㋓認められて世間を渡る。「小説家として—・つ」
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15 乗り物などがとどまって、ある場所を占める。
「雲林院、知足院などのもとに—・てる車ども」〈枕・二二二〉
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16 動詞の連用形のあとに付いて複合語をつくる。
㋐その状態が盛んであることを表す。「はやり—・つ選手」「湯が煮え—・つ」
㋑その動作がにわかであることを表す。「思い—・ったが吉日」
[動タ下二]「
た(立)てる」の文語形。