1. 五十音図サ行の第1音。歯茎の無声摩擦子音[s]と母音[a]とからなる音節。[sa]

  1. 平仮名「さ」は「左」の草体から。片仮名「サ」は「散」の初3画。

[補説]「さ」は古く[tsa](あるいは[ʃa][tʃa])であったかともいわれる。室町時代末にはすでに[sa]であった。
  1. ひだり。ひだりの方。

  1. 縦書きの文書で、左の方すなわち次に書いた事柄文句。「結果は—のとおり」

矢 (や) の古称

「荒し男のいを—手挟み向かひ立ち」〈・四四三〇〉

すこしばかり。いささか。

「その主観には—の詐りをも感じられなかったとは言え」〈里見弴・安城家の兄弟〉

  1. 物事物事の間の性質状態程度などの違い。へだたり。「大きな—をつける」「大した—はない」「世代間の—を感じる」

  1. ある数や式から他の数や式を引いて得られた結果の数や式。「一点の—で敗れる」⇔

杼 (ひ) 」に同じ。

[代]三人称の人代名詞。それ。そいつ。
  • 「—が髪を取りてかなぐり落さむ」〈竹取
[補説]副詞」、代名詞「」と同語源といわれる。
[副]すでにある事物状態などをうけて、それを指示する語。そのように。そう。
  • 「これのみは余りに深く我心に彫りつけられたれば—はあらじと思えど」〈鴎外舞姫
「おまへたちも、必ず—思 (おぼ) すゆゑ侍らむかし」〈更級

[感]

  1. 人を誘ったり、行動を促したりするときに発する語。さあ。「—、やろう」「—、どうしてくれる」

  1. 判断決断に迷ったり、せっぱつまったりしたときに発する語。さて。「—、どうしようか」「—、これは困った」

  1. 相手の言葉をおさえて、こちらが話そうとするときの語。「『この間お願いした件ですが』『—、そのことだが…』」

[終助]種々の語に付く。
  1. 自分判断主張確認しながら念を押す意を表す。「ぼくにだってできる—」

    1. 「お歴々にも負けることはおりない—」〈浄・鑓の権三

  1. 傍観的な、多少投げやりな調子で、あっさりと言い放す気持ちを表す。「好きなようにやればいいの—」「そう心配することはない—」

  1. 疑問語とともに用いて、質問反駁 (はんばく) ・難詰の意を表す。「行くって、どこへ行くの—」「男のくせに何—」「どうして黙っているの—」

  1. (多く「とさ」「ってさ」の形で)他人の話を説明したり、紹介したりする気持ちを表す。「昔々、竹取の翁 (おきな) という老人がいたと—」「彼も行くんですって—」

[間助]文中の種々の語に付いて、口調を整えながら、相手注意を引き留めようとする気持ちを表す。「でも—、ぼくは—、わかってるんだ」「それが—、どうもおかしいんだ」
    1. 「何がなくとも—、お久しぶりといふ句が有がたうごぜえます」〈滑・浮世風呂・四〉

[格助]方向の意を表す接尾語「さま」の音変化》名詞に付く。方向を表す。格助詞「へ」、または「に」に同じ。
    1. 追分 (おひわけ) の松屋—いかっしゃりました」〈洒・軽井茶話〉

[補説]は、近世初期、男性、ことに武士に多く用いられたが、後期には広く用いられるようになった。現在では男女ともに打ち解けた会話多用する。なお、昭和30年代に鎌倉の腰越小学校で語尾の「ネ・サ・ヨ」を使わない運動が始まり、一時全国に広がった。中世ごろから東国方言として知られていたが、現在でも東北地方などで用いられる。

[接頭]

  1. 名詞・動詞・形容詞に付いて、語調を整える。「—霧」「—迷う」「—まねし」

  1. 名詞に付いて、時期的に早く若々しい、また、5月の、という意を表す。「早」などの漢字が当てられることがある。「—乙女」「—苗」「—みだれ」

[接尾]

  1. 形容詞・形容動詞の語幹一部の助動詞の語幹に準じるものに付いて名詞をつくり、…の状態であること、…の程度であること、…の性質であることの意を表す。「つら—」「美し—」「静か—」「会いた—」

    1. 移動に関する動詞の終止形に付いて、…する時、…する折、…する場合などの意を表す。「帰る—」

      白菅真野の榛原行く—来—君こそ見らめ真野榛原」〈・二八一〉

    2. 方向を表す名詞に付いて、…の方という意を表す。

      「縦 (たた) —にもかにも横—も奴とそ我はありける主の殿戸に」〈・四一三二〉

    3. ㋒形容詞・形容動詞の語幹などに付いて、…なこと、…なことよという意を表す。

      「ももしきの大宮人の罷 (まか) り出て遊ぶ今夜 (こよひ) の月のさやけ—」〈・一〇七六〉

語素名詞に付いて接頭語的に用いられ、その物の幅が狭いという意を表す。「—物」「—織り」

さい

さく

ちゃ

しゃ

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