ばつざんがいせい【抜山蓋世】
山を引き抜くほどの強い力と、世をおおいつくすほどの
気力で、
強大な力と
圧倒するほどの
気力にあふれて、
勇壮なさま。
- 注記
- 「抜山」は、山を引き抜くこと。「蓋世」は、世の中をおおいつくすこと。「力は山を抜き、気は世を蓋おおう」の略で、「山やまを抜ぬき世よを蓋おおう」と読み下す。楚その項羽こううが、天下取りを争った漢の劉邦りゅうほうの軍に包囲され、寵愛ちょうあいする虞美人ぐびじんと最後の酒宴を設けたおりに、自分を奮い立たせるために作った詩。
- 出典
- 『史記しき』項羽こうう
- 用例
- 裁縫は知らざるも、庖丁はうちやうを学ばざるも、卿等が其美を以てすれば、天下にまた無き無上権を有して、抜山蓋世ばつざんがいせの英雄をすら、掌中に籠ろうするならずや、百万の敵も恐るゝに足らず、恐るべきは一婦人いつぷじんといふならずや、そもそも何を苦しんでか、紅粉を措おいてあくせくするぞ。〈泉鏡花・醜婦を呵かす〉