ぼえんだんちょう【母猿断腸】
はらわたがずたずたに断ち切れるほど、悲しみや苦しみ、怒りが激しいこと。
- 注記
- 「断」は、ずたずたにちぎれる。「腸」は、大腸。また、内臓のこと。「母猿ぼえん腸ちょうを断たつ」と読み下す。
- 故事
- 中国晋しんの時代、武将桓温かんおんが船で長江を航行中、一人の兵が小猿を捕らえた。それに気づいた母猿が鳴き声をあげながら岸辺づたいにいつまでも追いかけてきて、ついに追いつき、船に飛び移ってわが子を抱いたとたん、悲しみのあまりに死んでしまった。母猿の腹を裂いてみるとはらわたがずたずたにちぎれていた。桓温は怒り、その兵を解雇したという。
- 出典
- 『世説新語せせつしんご』黜免ちゅつめん
- 類語
- 九腸寸断 断腸之思