1. 五十音図ヤ行の第5音。硬口蓋と前舌との間を狭めて発する半母音[j]と母音[o]とから成る音節。[jo]

  1. 平仮名「よ」は「與」の略体「与」の草体から。片仮名「ヨ」も「與」の略体「与」の末3画から。

[補説]「よ」は、また、「きょ」「しょ」「ちょ」などの拗音音節を表すのに、「き」「し」「ち」などの仮名とともに用いられる。現代仮名遣いでは、拗音の「よ」は、なるべく小書きにすることになっている。

《「節 (よ) 」と同語源。時間空間の、限られた区間の意》

  1. 人の一生生涯。また、寿命。年齢。「わが—の終わり」

  1. 一人の支配者、または一つの系統政体に属する支配者が政権維持している期間時代。「明治の—」「武家の—」

  1. 家督をついでその家を治める期間。また、その治める権利や立場。「息子の—になる」「—を譲る」

  1. 仏教で、過去現在未来のそれぞれの期間。前世・現世・来世のそれぞれ。「あの—」「この—」

  1. 出家した人の住む世界に対して、凡俗の住む世界。俗世間。「—に背く」

  1. 人が互いにかかわりあって生きていく場。世の中。社会世間。「浮き沈みは—の習い」「新しい思想を—に広める」

  1. 社会での境遇。特に、時運に乗って栄えること。「—を時めくタレント」

  1. その時の社会の流れ。時勢。「—はまさにコンピューター時代だ」

  1. 生活していくこと。なりわい。「—の営み」「—を過ごす」

  1. 10 ある期間時期機会

    1. 「二条の后の宮まだ帝にも仕うまつり給はで、ただ人におはしましける—に」〈大和・一六一〉

  1. 11 国家。国。また、世界

    1. 国王の仰せ言を、まさに—に住み給はむ人の、承り給はでありなむや」〈竹取

  1. 12 男女の仲。恋情

    1. 「むげに—を思ひ知らぬやうにおぼほれ給ふなん、いとつらき」〈・帚木〉

  1. し。よっつ。よつ。声に出して数をかぞえるときの語。「ひ、ふ、み、—」

  1. し。よっつ。よつ。多く、名詞の上に付いて用いる。「—次元」「—方 (も) 」

  1. そのほか。それ以外。「—の儀」「—は知らず当面のことを考えよう」

  1. あまって残ったもの。残り。あまり。残余。「—は追って通知する」

  1. (「…の余」の形で)多く数量を表す語に付いて、その数量をわずかに上まわる意を表す。「五年の—を経て完成する」

  1. 数を表す語に付いて、その数より少し多い意を表す。おおよその数を示してその端数漠然という場合に用いる。…あまり。「二十—年の労苦

日没から日の出までの間。よる。「—が明ける」「—が更ける」

えだ。一説に、花びらとも。

「この花の一—の内に百種 (ももくさ) の言 (こと) そ隠 (こも) れるおほろかにすな」〈・一四五六〉

竹・アシなどの茎の節 (ふし) と節との間。

[代]一人称の人代名詞。わたくし。われ。現代では改まった文章や演説などで用いる。
  • 「—が執らんとする倫理学説の立脚地を」〈西田・善の研究

[感]

  1. 相手に呼びかけたり、訴えたりするときに発する語。「—、元気かい」

  1. 男性目上の人の呼びかけに答えて言う語。

    1. 「人の召す御いらへには、男は『—』と申し、女は『を』と申すなり」〈著聞集・八〉

[終助]文末の種々の語に付く。
  1. 判断主張感情などを強めて相手に知らせたり、言い聞かせたりする意を表す。「気をつけるんだ—」「ひとりで行ける—」

    1. 「われこそ山だち(=山賊)—と言ひて」〈徒然・八七〉

  1. (命令表現や禁止助詞「な」に付いて)願望・依頼禁止の意を強めて表す。「乱暴はよしな—」「はやく来い—」

    1. 「今秋風吹かむ折ぞ来むとする。待て—」〈・四三〉

  1. 疑問を表す語に付いて)相手をなじる意を表す。「しゃべったのはだれ—」「何—、この子は」

  1. 推量の助動詞「う」「よう」に付いて)勧誘・ねだり・投げやりの意を表す。「早く行きましょう—」「わたしなど眼中にないんでしょう—」

[補説]現代語では、終止形に付く場合、男性語としてはその終止形に直に下接するが、女性語では「のよ」「わよ」「ことよ」「てよ」などの形で、また、名詞、形容動詞の語幹に付いて、用いられることが多い。
[間助]文中の種々の語に付く。
  1. 呼びかけの意を表す。「おおい、雲—」「田中君—、手をかしてくれないか」

    1. 「少納言—香炉峰の雪いかならむ」〈・二九九〉

  1. 語調を整えたり、強めたりする意を表す。「それなら—、君は—、どうする」

    1. 「されば—、なほけ近さは、とかつおぼさる」〈・若菜上〉

  1. 感動詠嘆の意を表す。…(だ)なあ。

    1. 「あら思はずや、あづまにもこれ程優なる人のありける—」〈平家・一〇〉

[補説]2は、現代語では多く「だよ」「ですよ」の形で使われる。なお、「だ」「です」を省いて用いると、「もしもよ」「かりによ」のような仮定を表す言い方は別として、「さ」に比して粗野な感じを伴う。長音形の「よう」はいっそうその感が強い。なお、古語の一段活用・二段活用やサ変・カ変動詞の命令形語尾の「よ」も、もともとは間投助詞の「よ」で、中古以降は「…よ」の形が一般化したため、「よ」を含めて命令形と扱うようになった。
[格助]《上代語》名詞、活用語の連体形に付く。
  1. 動作作用起点を表す。…から。

    1. 「狭井河 (さゐがは) —雲立ち渡り畝火山 (うねびやま) 木の葉さやぎぬ風吹かむとす」〈・中・歌謡

  1. 動作移動・経由する場所を表す。…を通って。

    1. 「ほととぎすこ—鳴き渡れ灯火 (ともしび) を月夜 (つくよ) になそへその影も見む」〈・四〇五四〉

  1. 比較基準を表す。…より。

    1. 「雲に飛ぶ薬食 (は) む—は都見ばいやしき我が身またをちぬべし(=若返ルニ違イナイ)」〈・八四八〉

  1. 動作作用手段方法を表す。…によって。…で。→ゆりより

    1. 「浅小竹原 (あさじのはら) 腰なづむ空は行かず足—行くな」〈・中・歌謡

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