ういてんぺん【有為転変】
この世のすべての存在や現象は、さまざまな原因や条件によって常に移り変わるものであり、少しの間もとどまっていないこと。また、この世が無常で、はかないものであるたとえ。▽もと仏教語。「有為」は因縁(原因や条件)によって生じたこの世の一切の現象。「ういてんべん」とも読み、また音が転じて「ういてんでん」と読む場合もある。
ういむじょう【有為無常】
⇒ ういてんぺん(有為転変)
うえんろぎょ【烏焉魯魚】
文字の書き誤り。文字の造形が似ていて書き誤ること。「烏」と「焉」、「魯」と「魚」がそれぞれ字形が似ていて、誤りやすいことからいう。
うおうさおう【右往左往】
混乱しうろたえて、右に行ったり左に行ったりすること。また、混乱して秩序がないたとえ。▽「往」は行く意。「左」は「ざ」とも読む。「左往右往さおううおう」ともいう。
うかてんせい【雨過天晴】
悪かった状況や状態がよいほうに向かうたとえ。雨がやみ、空が晴れ渡り明るくなる意から。▽「晴」は「青」とも書く。「雨あめ過すぎて天てん晴はる」と訓読する。
うかとうせん【羽化登仙】
酒などに酔って快い気分になることのたとえ。天にも昇る心地。羽が生え仙人になって、天に昇る意から。▽「羽化」は羽が生えて、空を自由に翔かける仙人になること。「登仙」は天に昇って仙人になる意。
うきくさかぎょう【浮草稼業】
浮き草のようによりどころがなく、一つの場所に落ち着かない職業。
うきせいこう【雨奇晴好】
⇒ せいこううき(晴好雨奇)
うこうしゅんすう【禹行舜趨】
うわべをまねるだけで実質が伴っていないたとえ。聖天子とされる禹や舜の表面上の行動だけをまねして、実質的な聖人の徳を備えていないこと。禹のように歩き舜のように走って、聖人をまねるだけで実質がない意から。▽「禹」は舜に位を禅譲されて夏王朝の開祖となり、「舜」は尭ぎょうから天子の位を禅譲されたとされる人。いずれも中国古代伝説上の聖天子。「趨」は走る意。
うこさべん【右顧左眄】
右を見たり左を見たりして、ためらい迷うこと。また、まわりの情勢や周囲の思惑・意見を気にして、なかなか決断できないでいること。▽「顧」は気にかけて振り返る、気になって見る意。「眄」は気にかけて流し目でちらりと見ること。「左眄右顧さべんうこ」ともいう。
うごうのしゅう【烏合之衆】
規律も統制もなく、ただ寄り集まっているだけの集団。秩序のない人々の集まりや軍勢にいう。からすの集まりが無秩序でばらばらであることから。
うさいかんもく【于思睅目】
ひげが多く、目の大きなさま。
うしゅうのまじわり【烏集之交】
カラスががやがや集まる意から、噓うそが多く実体のない表面上だけの集まり。また、自己の利益だけを目的につきあう集団。
うそうむそう【有相無相】
仏語。姿・形をもっている存在と、姿・形によって現出させられた存在の本性。現象と真理。有象無象。
うぞうむぞう【有象無象】
数は多いが、種々雑多なくだらない人や物。ろくでもない連中のこと。多くの人々を卑しめていう。また、形があるものも、ないものもすべて。有形無形のすべて。▽もと仏教語。「象」はかたちの意。
うちこうさい【有智高才】
人並み外れて才智に恵まれていること。賢くて才能のあること。また、その人。
うちまたこうやく【内股膏薬】
あっちについたりこっちについたりして、節操のないこと。しっかりした意見がなくその時の気持ちで動くこと。また、そのような人をあざけっていう語。日和見ひよりみ。▽「内股」は股の内側。「膏薬」は練って作った外用薬。内股にはった膏薬が、動くたびに右側についたり左側についたりする意。「膏」は「ごう」とも読む。
うちょうてんがい【有頂天外】
このうえなく大喜びすること。また、たいそう喜んで夢中になり、我を忘れる様子。▽「有頂天」は、仏教で形ある世界の絶頂に位置する天。その有頂天よりさらに高く外に出る意。「有頂天」をさらに強めた語。
うつうつそうそう【鬱鬱葱葱】
樹木がうっそうと茂るさま。また、気の盛んに立ちのぼり、満ちるさま。
うつうつぼつぼつ【鬱鬱勃勃】
草木がこんもりと茂るさま。また、意気や生気に満ち満ちているさま。
うつにくろうほ【鬱肉漏脯】
一時しのぎのために、先の不利益や危険などをかえりみないこと。
うとそうそう【烏兎匆匆】
歳月のあわただしく過ぎ去るたとえ。▽「烏兎」は歳月・月日の意。太陽には三本足のからすが棲すんでおり、月にはうさぎが棲んでいるという古代中国の伝説による。「匆匆」は急ぐさま、あわただしいさま。「匆匆」は「怱怱」とも書く。
うひとそう【烏飛兎走】
⇒ とそううひ(兎走烏飛)
うみせんかわせん【海千河千】
「海千山千」に同じ。
うみせんやません【海千山千】
長い年月にさまざまな経験を積んで、世の中の裏も表も知り尽くしていて悪賢いこと。また、そういうしたたかな人。▽「海に千年、山に千年」の略。海に千年、山に千年棲すみついた蛇は竜になるという言い伝えから。
うむそうせい【有無相生】
有と無は、有があってこそ無があり、無があってこそ有があるという相対的な関係で存在すること。また、この世のものはすべて相対的な関係にあること。▽「相生」は互いに生じ合うこと。もとは、人間の価値観は要するに相対的なものであって絶対的なものではないのに、それを絶対的なものと錯覚して、万物を勝手に歪曲わいきょくして秩序立てている人間の愚かさと危うさを警告した『老子』の中の語。「有無うむ相生あいしょうず」と訓読する。
うやむや【有耶無耶】
はっきりしないさま。曖昧あいまいなさま。また、いいかげんなさま。あるかないか、はっきりしない意。▽「耶」は疑問の助字。「有りや無しや」の意。
うゆうせんせい【烏有先生】
《漢の司馬相如が「子虚賦」の中で、亡是(むぜ)公とともに仮設した人物であるところから》架空の人物。
うよきょくせつ【紆余曲折】
道や川などが曲がりくねること。また、種々込み入っていて複雑なこと。事情が込み入っていて解決に手間どること。▽「紆余」は道などがくねり曲がるさま。「曲折」は折れ曲がること。転じて、込み入った事情。
うろそうせつ【雨露霜雪】
さまざまな気象の変化のこと。また、人生のさまざまな困難のたとえ。
うんうふざん【雲雨巫山】
男女の交わり。また、密会のこと。
うんえんかがん【雲烟過眼】
雲やかすみが目の前を過ぎ去ってとどまらないように、物事に深く執着しないたとえ。物事に心をとめないで淡泊なたとえ。また、物事の過ぎ去ってとどまらないことのたとえ。▽「雲烟」は雲とかすみ。雲とけむり。「過眼」は目の前を過ぎ去ること。「烟」は「煙」とも書く。「過眼雲烟かがんうんえん」ともいう。
うんえんかがん【雲煙過眼】
《蘇軾「宝絵堂記」から》雲や煙がたちまち過ぎ去ってしまうように、物事を長く心に留めないこと。物事に執着しないこと。
うんえんばんり【雲烟万里】
はるかかなたをたなびく雲や霞かすみ。非常に遠く離れていることのたとえ。
うんえんひどう【雲煙飛動】
①書・画・文章などの筆の勢いが、ひきしまって力強いこと。②色の鮮やかなこと。③山水画のすばらしいさま。
うんえんひょうびょう【雲烟縹渺】
雲やかすみがはるか遠くたなびくさま。▽「雲烟」は雲とかすみ。「縹渺」は遠くかすかなさま。ぼんやりしてかすかなさま。「烟」は「煙」、「渺」は「緲」「眇」とも書く。
うんかのまじわり【雲霞之交】
俗世を超えた交友。
うんがいそうてん【雲外蒼天】
雨雲の上には青空が広がっている。今ある苦難もやがて去って良いことがあるだろうというたとえ。
うんきんせいふう【運斤成風】
非常に巧みですばらしい技術のこと。また、それをもつ職人。手斧ておのを振るって風を巻き起こす意。▽「運斤」は斧を振るうこと。「斤」は手斧の意。「成風」は風を起こすこと。風を起こすほど勢いよく振りまわす意。「斤きんを運めぐらし風かぜを成なす」と訓読する。
うんこううし【雲行雨施】
雲が空に流れ動いて雨が降り、万物をうるおして恩恵を施すこと。また、天子の恩恵が広く行き渡るたとえ。天下が太平であることのたとえ。▽「雲くも行ゆき雨あめ施ほどこす」と訓読する。
うんごうむしゅう【雲合霧集】
雲や霧が集まりわくように、多くのものが集まって来ること。
うんさんむしょう【雲散霧消】
雲が散り霧が消え去るように、あとかたもなく消えてなくなること。
うんしゅうむさん【雲集霧散】
雲や霧が集まり散っていくように、多くのものが集まっては消えていくこと。
うんしょうむさん【雲消霧散】
⇒ うんさんむしょう(雲散霧消)
うんしんげっせい【雲心月性】
名声や利益を求めず、雲や月のように清らかな心や性質をもつ人のこと。
うんじょうげつべつ【雲壌月鼈】
両者があまりにも異なっていること。天と地、月とすっぽんのように違いすぎる意から。▽「雲壌」は天地の意。「月鼈」は月とすっぽんの意。
うんじょうりょうへん【雲蒸竜変】
英雄や豪傑などのすぐれた人物が、時運に乗じて出現し活躍すること。雲がわき起こり竜りゅうが勢いを増して、変幻自在に活動する意から。▽天に昇る竜は雲を呼び起こし、その勢いをさらに増すという。「雲蒸」は雲がわき起こること。「竜」は「りゅう」とも読む。
うんすいあんぎゃ【雲水行脚】
僧が全国各地をめぐりながら修行すること。また一般に、人が行方を定めず思うままに旅すること。
うんちゅうはっかく【雲中白鶴】
世俗を超越した高尚な境地にいる人。高潔な人。
うんでいのさ【雲泥之差】
天の雲と地の泥の差の意から、きわめてかけ離れていること、へだたりのはなはだしいことのたとえ。