にじゅう。現代では、ふつう「ち」を伴って「はたち」の形で用いられるほか、「はたとせ」「はたえ」のように用いられる。

「指 (および) を屈 (かが) めて、十 (とを) 、―、三十 (みそ) 、四十 (よそ) など数ふるさま」〈・空蝉〉

スズキ目ハタ科の海水魚の総称。マハタクエキジハタアカハタなど。体は長楕円形でやや側扁し、口が大きく、えらぶたにとげが三つある。温・熱帯海域の岩礁にすむものが多く、日本近海産のものは美味。あら。

はたけ。「―に出る」「―作農業」

姓氏の一。
古代の渡来系氏族。伝承では、応神天皇の時に来朝した弓月君 (ゆづきのきみ) の子孫と称する。織物の生産に従事する秦部 (はたべ) を統率した。
  1. 布や紙などで作り、高く掲げて標識や装飾にするもの。大きさ・形・色・図案は種々で、ふつう一端をさおの端や綱などに結びつける。古くは、朝廷の儀式や祭礼の飾り、また、軍陣の標識として用いた。近世は、布帛 (ふはく) の側面に乳 (ち) をつけてさおに通した幟 (のぼり) がある。

  1. (幡)⇒ばん(幡)

  1. (端)物のふち・へり。ある場所のほとり。「道の―に車をとめる」「池の―」

  1. (傍・側)そば。かたわら。また、そばにいる人。第三者。「―で見て覚える」「―の目を気にする」

織物を織る道具。ふつう、動力化される以前の手機 (てばた) をいう。織機 (しょっき) 。また、それで織った織物。「機を織る」

魚のひれ。

「鵜川 (うかは) 立ち取らさむ鮎 (あゆ) のしが―は我にかき向け思ひし思はば」〈・四一九一〉

[副]

  1. 唐突に物を打ったりぶつけたりするさま。「はたとひざを打つ」

  1. 動作や状況が急に変わるさま。「はたと思い当たる」「はたと答弁に詰まる」

  1. 一点を見すえるさま。「はたとにらみつける」

  1. 完全に。まったく。すっかり。「はたと当惑する」

[副]

  1. あるいは。それとも。はたまた。「夢か、―幻か」

  1. さらにまた。そのうえまた。「野越え、山越え、―海を越え」

    1. 「かくては生けるかいもなし。―如何にして病の牀のつれづれを慰めてんや」〈子規・墨汁一滴〉

  1. ひょっとすると。

    1. 「さ雄鹿 (をしか) の鳴くなる山を越え行かむ日だにや君が―逢はざらむ」〈・九三五〉

  1. それはそれとして。こちらはこちらで。

    1. 「男破 (わ) れて、逢はむ、と言ふ。女も―、いと逢はじ、とも思へらず」〈伊勢・六九〉

  1. そうはいっても。とはいえ。

    1. 「しばし休らふべきに、―侍らねば」〈・帚木〉

  1. いうまでもなく。まして。

    1. 「女房共、いまいましきまで泣きあひたり。若君の乳母、―言ふべきやうなし」〈今昔・一九・九〉

  1. 思ったとおり。やはり。

    1. 「ひとへに魔王となるべく大願を誓ひしが、―平治の乱ぞ出で来ぬる」〈読・雨月・白峯〉

  1. 否定・疑問・感動などの表現を強める語。まったく。いったい。

    1. 「家のうちに足らぬことなど―無かめるままに」〈・帚木〉

    2. 「いで、あな悲し。かく―おぼしなりにけるよ」〈・帚木〉
[接尾]はい(杯)1」に同じ。
  • 「湯槽 (ゆぶね) に藁 (わら) を細々と切りて、一―入れて」〈宇治拾遺・三〉

出典:青空文庫