「か」の濁音。軟口蓋の有声破裂子音[ɡ]と母音[a]とから成る音節。[ɡa]ただし、現代共通語においては、一般に語頭以外では鼻音の頭音をもつ[ŋa]となる(これを鼻濁音の「が」ともいう)。
1 われ。自分。自我。「―の意識」
2 自分の意志や考えを言い張って、人の言葉に従わないこと。わがまま。「あくまでも―を張り通す」
3 《(梵)ātmanの訳》仏語。人間の個体そのもの。また、その個体の中心生命。
絵。絵画。
1 喜び祝うこと。祝い。「米寿の―」
2 勅撰 (ちょくせん) 和歌集の部立ての一。祝賀の歌をおさめる。
馬が引く車や駕籠 (かご) 。
1 動作・存在・状況の主体を表す。「山―ある」「水―きれいだ」「風―吹く」
「兼行 (かねゆき) ―書ける扉」〈徒然・二五〉
2 希望・好悪・能力などの対象を示す。「水―飲みたい」「紅茶―好きだ」「中国語―話せる」
「さかづき―たべたいと申して参られてござる」〈虎明狂・老武者〉
3 (下の名詞を修飾し)所有・所属・分量・同格・類似などの関係を示す。
4 (準体助詞的に用いて)下の名詞を表現せず、「…のもの」「…のこと」の意を表す。
「この歌はある人のいはく、大伴のくろぬし―なり」〈古今・雑上・左注〉
5 形容詞に「さ」の付いたものを下に伴って、それとともに感動を表す。…が…(であることよ)。
「塵泥 (ちりひぢ) の数にもあらぬ我ゆゑに思ひわぶらむ妹 (いも) ―かなしさ」〈万・三七二七〉
6 連体句どうしを結んで、その上下の句が同格であることを表す。…(なもの)であって…(なもの)。
「いとやむごとなき際 (きは) にはあらぬ―、すぐれて時めきたまふありけり」〈源・桐壺〉
7 (「からに」「ごとし」「まにまに」「むた」「やうなり」などの上に置かれ)その内容を示す。
「吹く風の見えぬ―ごとく跡もなき世の人にして」〈万・三六二五〉
1 単に前の句をあとの句へつなぐ意を表す。「すみません―、しばらくお待ちください」
「御むすめのはらに女君二人男君一人おはせし―、この君たちみな大人び給ひて」〈大鏡・道隆〉
2 相反する句をつなげる。けれども。「昼は暖かい―、夜はまだまだ寒い」「走りつづけた―、間に合わなかった」
「昔より多くの白拍子 (しらびゃうし) ありし―、かかる舞はいまだ見ず」〈平家・一〉
3 (推量の助動詞に付いて)それに拘束されない意を表す。「行こう―行くまい―、君の勝手だ」
1 言いさしの形で用いる。
㋐ある事柄の実現することを願う意を表す。「この風がやめばいい―」
㋑はっきり言うのをためらう意を表す。「こちらのほうがよろしいと思います―」
「なるほどさう聞きや、おまへのがほんまにもっともらしい―」〈滑・浮世風呂・二〉
㋒不審の意を表す。「おかしいな、八時に集合のはずだ―」
2 (多く体言や体言の下にののしる意の接尾語「め」を伴ったものに付いて)ののしりの感情を強める。「このあほうめ―」「あいつめ―」
「敵 (かたき) の回し者め―」〈伎・幼稚子敵討〉
3 (助詞「も」に付き、多くは下に感動の助詞「な」「も」などを伴って)感動を込め、実現できそうもない願望を表す。…があったらなあ。…であってほしいなあ。→もが →もがな
「あしひきの山はなくも―月見れば同じき里を心隔 (へだ) てつ」〈万・四〇七六〉
⇒か