しのば・せる【忍ばせる】
[動サ下一][文]しのば・す[サ下二] 1 人に知られないよう隠し持つ。ひそかに入れておく。「懐に短刀を—・せる」...
しのび【忍び】
1 隠れたりして、人目を避けること。人に知られないように、ひそかに物事をすること。→お忍び 2 がまんすること。こ...
しのび‐あい【忍び逢い】
男女が人目を避けてこっそりあうこと。密会。
しのび‐あ・う【忍び逢う】
[動ワ五(ハ四)]思いあう男女が、人目を避けて会う。
しのび‐あし【忍び足】
人に気づかれないように、そっと歩くこと。「抜き足差し足—」
しのび‐あみがさ【忍び編み笠】
遊里に通う者などが顔を隠すためにかぶった編み笠。しのびがさ。
しのび‐ありき【忍び歩き】
「しのびあるき」に同じ。「かかる—も難かるべきを、かかるついでならでは、えたちよらじ」〈源・蓬生〉
しのび‐あり・く【忍び歩く】
[動カ四](貴人などが)他人に知られないように、こっそりと出歩く。「わりなく—・かむほども心づくしに」〈源・宿木〉
しのび‐あるき【忍び歩き】
身分の高い人などが、他人に知られないように隠れて出歩くこと。微行。おしのび。しのびありき。
しのび‐い・る【忍び入る】
[動ラ五(四)]人目につかないようにこっそりはいり込む。忍び込む。「敵地に—・る」
しのび‐おとこ【忍び男】
1 女が内緒で情を通じている男。隠し男。「—の方へでもまゐったのかと」〈鳩翁道話・三〉 2 ひそかに売淫する男。「...
しのび‐おんな【忍び女】
1 男が内緒で情を通じている女。隠し女。 2 ひそかに売淫する女。私娼。「舟子の瀬枕、—ある所ぞかし」〈浮・一代男・三〉
しのび‐かご【忍び駕籠】
人目を忍んで駕籠に乗ること。また、その駕籠。特に、遊里通いにいう。
しのび‐がえし【忍び返し】
盗賊や敵が忍び込むのを防ぐため、塀などの上に先端のとがった竹・木・鉄棒などを並べ立てたもの。
しのび‐がき【忍び垣】
垣の一種。高さ2メートルほどで上・中・下段に分かれ、上段を建仁寺垣、中段を葭(よし)作りとして透かし窓などを設け、...
しのび‐がた・い【忍び難い】
[形][文]しのびがた・し[ク]がまんしたり耐えしのんだりすることができない。「座視するには—・いものがある」
しのび‐くぎ【忍び釘】
「隠し釘」に同じ。
しのび‐ぐるま【忍び車】
人目を避けて車に乗って行くこと。また、その車。「影恥づかしきわが姿、—を退(ひ)く潮の」〈謡・松風〉
しのび‐こ・む【忍び込む】
[動マ五(四)]こっそりと人目につかないようにして中に入る。忍び入る。「部屋に—・む」
しのび‐こ・む【忍び籠む】
[動マ下二]深く包み隠す。「今まで—・められたりけるをなむ、かへりて後めたき心なりと思ひぬる」〈源・薄雲〉
しのび‐ごえ【忍び声】
他人に聞こえないようにひそひそ話す声。しのびね。
しのび‐ごと【忍び言】
ひそひそ話。内緒話。さざめごと。「ありつる—どもの、御耳とまりつるや交りたりつらむ」〈狭衣・四〉
しのび‐ごと【忍び事】
他人に知られないようにする事柄。隠しごと。内緒ごと。「かかる御—により、山里の御歩(あり)きもゆくりかに思したつな...
しのび‐ごと【誄】
《「偲び言」の意。上代は「しのひこと」》死者の生前の功徳をたたえて哀悼の意を述べる言葉。誄詞(るいし)。るい。
しのび‐ごま【忍び駒】
三味線の駒の一種。脚の部分が長く、その両端を胴のふちにかけて用いる。弦の振動が胴皮に伝わらないので弱音になる。
しのび‐さんじゅう【忍び三重】
歌舞伎下座音楽の一。三味線のみで演奏する効果音楽で、暗やみでの静かな探り合いの場面などに用いる。ひぐらし三重。
しのび‐しのび【忍び忍び】
[副]人目を忍んで。「—帝の御妻(みめ)をさへあやまち給ひて」〈源・須磨〉
しのび‐じ【忍び路】
人目に触れないように隠れ忍んで行くこと。また、その道。「—を雲ゐのよそにめぐらして」〈謡・蝉丸〉
しのび‐ずきん【忍び頭巾】
忍び歩きのときかぶる頭巾。特に、遊里に通うときかぶる頭巾。
しのび‐だ【忍び田/陰び田】
⇒隠田(おんでん)
しのび‐ぢょうちん【忍び提灯】
1 貴人が夜忍んで外出するときに用いた替え紋付きの提灯。 2 「強盗(がんどう)提灯」に同じ。
しのび‐づま【忍び夫/忍び妻】
1 (忍び夫)人目を忍んで契った男。忍びの夫(つま)。「—帰らむ跡もしるからじ降らばなほ降れ東雲(しののめ)の雪」...
しのび‐で【忍び手/短手】
《「しのびて」とも》音の出ないように打つ柏手(かしわで)。神式の葬祭で行う。
しのび‐どころ【忍び所】
1 隠れすむ所。人目を忍んで通う所。「いといたく色めき給ひて、通ひ給ふ—多く」〈源・紅梅〉 2 懐かしく思い起こさ...
しのび◦ない【忍びない】
[連語](多く「…にしのびない」の形で)がまんできない。たえられない。「捨てるには—◦ない」「聞くに—◦ない話」
しのび‐なき【忍び泣き】
[名](スル)声を抑えて泣くこと。人に知られないように泣くこと。
しのび‐な・く【忍び泣く】
[動カ五(四)]ひそかに泣く。人目をはばかって声を抑えて泣く。「枕に顔をうずめて—・く」
しのび‐に【忍びに】
[副]ひそかに。こっそり。「人を—相知りて、逢ひがたくありければ」〈古今・恋四・詞書〉
しのび‐ね【忍び音】
1 小声。また、ひそひそ声。「忽ち—にアッと叫びながら」〈二葉亭訳・あひゞき〉 2 忍び泣きの声。「—に泣く」 3...
しのび‐の‐お【忍びの緒】
1 兜(かぶと)の緒の近世の称。 2 烏帽子(えぼし)の中につけて落ちないように髪に結ぶひも。
しのび‐の‐じゅつ【忍びの術】
「忍術(にんじゅつ)」に同じ。
しのび‐の‐もの【忍びの者】
「忍者(にんじゃ)」に同じ。
しのび‐び【忍び火】
音のしないように打つ切り火。
しのび‐めつけ【忍び目付】
武家時代、ひそかに各地を巡察し、事情を主家に報告した役。しのびまわり。
しのび‐もとゆい【忍び元結】
外部から見えないように結ぶ元結。
しのび‐やか【忍びやか】
[形動][文][ナリ]人目をはばかって、ひそかに行うさま。動作などが静かで、人目に立たないさま。「—な足音」「秋の...
しのび‐やつ・す【忍び窶す】
[動サ四]人目を忍んで、目立たない姿になる。「馬四つ五つひかせていみじう—・したれど」〈源・玉鬘〉
しのび‐よ・る【忍び寄る】
[動ラ五(四)]気づかれないように、そっと近づく。「枕元にそっと—・る」「背後に—・る黒い影」「—・る秋の気配」
しのびよるこいはくせもの【忍夜恋曲者】
歌舞伎舞踊。常磐津(ときわず)。宝田寿助作詞、5世岸沢式佐作曲。天保7年(1836)江戸市村座初演。平将門の娘、滝...
しのび‐わらい【忍び笑い】
[名](スル)人に気づかれぬように、声を抑えて笑うこと。「くすくすと—する」