ものなれ‐よ・る【物慣れ寄る/物馴れ寄る】
[動ラ四]なれ親しんで近くに寄る。なじむ。「我も人もいとあしかるべきことと思ひ知りて—・ることもなかりけり」〈源・匂宮〉
もの‐な・れる【物慣れる/物馴れる】
[動ラ下一][文]ものな・る[ラ下二] 1 物事になれる。熟練する。「—・れたようすの店員」 2 世事に通じる。世...
物(もの)に当(あ)た・る
物に突き当たるほど慌てふためく。「—・りて喜び給ふこと限りなし」〈今昔・二二・八〉
もの‐にくみ【物憎み】
にくみ嫌うこと。「かかる筋の—し給ひけり」〈源・浮舟〉
物(もの)に◦する
1 物事を完成させる。成し遂げる。また、成し遂げて自分のものにする。「作品を—◦する」「英会話を—◦する」 2 自...
物(もの)にな・る
1 物事が完成する。また、物事が成就する。「あの研究は—・りそうですか」 2 ひとかどの人物になる。「将来—・りそ...
物(もの)に似(に)◦ず
他に比べるものがない。たとえようもない。「かなしきこと—◦ず」〈大和・一四八〉
物(もの)にもあら◦ず
物の数でもない。問題にならない。「右の大臣(おとど)の御勢ひは—◦ず押され給へり」〈源・桐壺〉
ものによせておもいをのぶる‐うた【寄物陳思歌】
万葉集で相聞(そうもん)に属する歌の一類。ある物によせて間接的に心情を述べた歌。
もの‐ぬし【物主】
1 物の持ち主。また、多くの財産を持っている人。物持ち。 2 戦陣での部隊の長。
もの‐ねがい【物願ひ】
物事が成就するように願うこと。「苦しげなる御—かな」〈宇津保・藤原の君〉
もの‐ねたみ【物妬み】
あれこれと嫉妬(しっと)すること。「さすがに腹あしくて—うちしたる」〈源・若菜下〉
もの‐ねんじ【物念じ】
物事をこらえ忍ぶこと。がまんすること。「—してのどかなる人こそ、幸ひは見はて給ふなれ」〈源・浮舟〉
もの‐の【物の】
[連体]数を表す語の上に付けて、それがほんのわずかであることを表す。たかだか。せいぜい。「—三人もいれば十分だ」「...
ものの
[接助]《形式名詞「もの」+格助詞「の」から》活用語の連体形に付く。逆接の確定条件を表す。…けれども。…とはいえ。...
もの‐の‐あなた【物の彼方】
1 物のあちら。物の向こう側。 2 死後の世界。来世。のちの世。「—思う給へやらざりけるが」〈源・鈴虫〉
もの‐の‐あわれ【物の哀れ】
1 本居宣長が唱えた、平安時代の文芸理念・美的理念。対象客観を示す「もの」と、感動主観を示す「あわれ」との一致する...
もの‐の‐インターネット【物のインターネット】
⇒アイ‐オー‐ティー(IoT)
もの‐の‐おり【物の折】
何かの機会。また、ちょうどその機会。「—など、人のよみ侍らむにも、よめなどおほせられば」〈枕・九九〉
もの‐の‐かず【物の数】
1 (多く打消しの語を伴って用いる)数えたてるほど価値のあるもの。問題にすべきもの。「寒さなど—ではない」「—とも...
もの‐の‐きこえ【物の聞こえ】
世間の評判。世のうわさ。「—に憚りて常陸に下りしをぞ」〈源・関屋〉
もの‐の‐ぐ【物の具】
1 道具。調度品。「—をだにとらず、深くかくれにけり」〈宇治拾遺・九〉 2 武具。兵具。特に鎧(よろい)をいう。ま...
もの‐の‐け【物の怪/物の気】
人にとりついて祟(たた)りをする死霊・生き霊・妖怪の類。
もの‐の‐こえ【物の声】
鳥獣の声や楽器などの音色。「今めきたる—なれば」〈源・帚木〉
もの‐の‐こころ【物の心】
1 物事の道理。「予—を知れりしより、四十(よそぢ)あまりの春秋をおくれるあひだに」〈方丈記〉 2 物事の情趣。「...
もの‐の‐さとし【物の諭し】
神仏のお告げ。また、前兆としての怪異・天変地異。「おほやけに—しきりてもの騒がしきこと多かり」〈源・明石〉
もの‐の‐し【物の師】
学問・芸能などを専門として教える人。特に、歌舞音曲の師。「都の—といふ限りは迎へとりつつ」〈宇津保・吹上上〉
もの‐の‐じょうず【物の上手】
芸能の名人。芸道の達人。「況や守(かみ)、本より—にて」〈今昔・二八・四〉
もの‐の‐ついで【物の序で】
何かをするおり。何かの物事のついで。「—に調べてみる」
もの‐の‐な【物の名】
1 物事の名称。ぶつめい。 2 和歌・連歌・俳諧で、ある事物の名称を、意味に関係なく詠み込むもの。「あしひきの山た...
もの‐の‐ね【物の音】
楽器の音。音楽。「—を聞きて、天人のくだり給へるにやあらむ」〈宇津保・俊蔭〉
もの‐の‐はじめ【物の初め】
物事の最初。発端。「—に、罪にあたりて」〈源・須磨〉
もの‐の‐はずみ【物の弾み】
ちょっとした成り行き。そのときの勢い。「—で本音を言ってしまう」
もの‐の‐ふ【武士/物部】
1 武勇をもって主君に仕え、戦場で戦う人。武人。武者。兵(つわもの)。もののべ。 2 (「物部」と書く)古代、朝廷...
もの‐の‐ふし【物の節】
近衛府の舎人(とねり)で、特に雅楽に長じた者。春日祭・賀茂祭などに奉仕した。「—ら、ひきて参りたり」〈宇津保・祭の使〉
もののふ‐の【武士の】
[枕] 1 文武の官が属する氏は数が多いところから、「八十(やそ)」およびその複合語に、また「い(五十)」と同音を...
もののふ‐の‐みち【武士の道】
武士として守らなければならない道。武士道。
もの‐の‐べ【物部】
律令制で、囚獄司・衛門府・市司(いちのつかさ)に所属し、刑罰の執行などに当たった下級職員。
もののべ【物部】
上代の氏族の一。姓(かばね)は連(むらじ)で、大伴氏とともに大和朝廷の軍事・警察をつかさどった大豪族。6世紀後半、...
もののべ‐じんじゃ【物部神社】
島根県大田市にある神社。祭神は物部氏の祖とされる宇摩志麻遅命(うましまじのみこと)。石見(いわみ)国一の宮。
もののべ‐の‐おこし【物部尾輿】
欽明朝の大連(おおむらじ)。朝鮮政策の失敗を攻撃して大連大伴金村を引退させた。また、仏教の受容に当たり、中臣鎌子(...
もののべ‐の‐もりや【物部守屋】
[?〜587]敏達・用明朝の大連(おおむらじ)。尾輿の子。排仏を主張して蘇我馬子と対立。用明天皇の死後、穴穂部皇子...
もの‐の‐ほん【物の本】
1 その方面についての事柄が書かれている本。「—によると」 2 本の総称。書物。「東京の—など書く人達は」〈左千夫...
もののほんしつについて【物の本質について】
《原題、(ラテン)De Rerum Natura》ローマの哲学詩人ルクレティウスによる教訓詩。紀元前1世紀頃の作。...
もの‐の‐まぎれ【物の紛れ】
1 物事の忙しさなどにとりまぎれること。「—につい忘れてしまった」 2 人目に隠れてひそかに事を行うこと。特に、男...
もの‐の‐みごと【物の見事】
(副詞的に用いて)きわめてあざやかに行われるさま。たいそう見事なさま。「予想が—に的中する」「—に失敗した」
もの‐の‐め【物の芽】
萌え出るいろいろの植物の芽。《季 春》「—のあらはれ出でし大事かな/虚子」
もの‐の‐よう【物の用】
なんらかの役。「—にも立たない男」
もの‐は
[連語]《名詞「もの」+係助詞「は」》活用語の連体形に付く。接続助詞的に用いられ、文末は多く「けり」で結ばれる。…...
物(もの)は言(い)いよう
同じことでも言い方によって、よくも悪くも印象が変わる。