なさけ【情け】
1 人間味のある心。他人をいたわる心。人情。情愛。思いやり。「武士の—」「浮き世の—」→御情(おなさ)け 2 男女...
情(なさ)けが仇(あだ)
同情や思いやりからしたことが、かえって相手のためにならないこと。
なさけ‐がお【情け顔】
情けがありそうな顔つき。「夕霧が—、半太夫が美しさ」〈浮・諸艶大鑑・八〉
なさけ‐ごかし【情けごかし】
情けがあるかのように振る舞って、実は自分のためにすること。「親切な介抱は—にこの金を取らうたくみであったるか」〈伎...
なさけ‐ごころ【情け心】
思いやりがある心。
なさけ‐しらず【情け知らず】
[名・形動] 1 思いやりのないこと。人情を心得ないこと。また、そのような人や、そのさま。「—な(の)悪党」「—な...
なさけ‐しり【情け知り】
人情をわきまえていること。男女の道に詳しいこと。また、その人。わけしり。「思ひの外なる—、寺には惜しやと」〈浮・五...
なさけ‐だ・つ【情け立つ】
[動タ四] 1 情けがありそうに振る舞う。「わざとならねど、—・ち給ふ若人は恨めしと思ふもありけり」〈源・藤裏葉〉...
なさけ‐どころ【情け所】
情事の急所。陰部、または男色での肛門をいう。
なさけ‐な・い【情け無い】
[形][文]なさけな・し[ク] 1 思いやりがない。無情である。すげない。「随分—・い、苛酷な事もためらわずにする...
なさけなさけ・し【情け情けし】
[形シク]情愛や思いやりが深い。「あはれ知るばかり—・しくのたまひ尽くすべかめれど」〈源・帚木〉
情(なさ)けに刃向(はむ)かう刃(やいば)なし
思いやりをもって接する人に対しては、だれも刃向かうことはできない。
なさけ‐の‐みち【情けの道】
人情の道。また、男女の道。恋の道。「—も浅からずちぎり給ひて」〈謡・夕顔〉
情(なさ)けは人(ひと)の為(ため)ならず
人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる、ということ。誤って、...
なさけ‐びと【情け人】
1 情愛の深い人。恋情を解する人。「業平様は—、年寄の心を哀み」〈浄・井筒業平〉 2 色を売る人。遊女。「ここに名...
なさけ・ぶ【情けぶ】
[動バ上二]情けがありそうな態度をする。「故少弐(せうに)の、いと—・び、きらきらしうものし給ひしを」〈源・玉鬘〉
なさけ‐ぶか・い【情け深い】
[形][文]なさけぶか・し[ク] 1 思いやりの心が強い。「—・い人」 2 情趣を理解する心が深い。「日ごろの御あ...
なさけ‐やど【情け宿】
男女の密会に利用される宿。あいびき宿。「雪の夜の—」〈浮・五人女・四〉
なさけ‐ようしゃ【情け容赦】
(多く下に打消しの語を伴って用いる)情けをかけて寛容にすること。思いやり。「—のない催促」「—もなく罰する」
なさけ‐らし・い【情けらしい】
[形][文]なさけら・し[シク]情が細やかそうである。「いろいろな灯火が、人懐っこい、—・い光をそれぞれに増してき...
情(なさ)けを売(う)・る
1 色を売る。売春をする。 2 損得を考えて、人に情けをかけておく。
情(なさ)けを掛(か)・ける
哀れみをかける。親切にいたわる。「不遇な友に—・ける」
情(なさ)けを交(か)わ・す
思いをかけ合う。愛し合う。「—・した仲」
情(なさ)けを知(し)・る
1 人情のこまやかさを知る。「旅に出て—・る」 2 色恋の道に通じる。情事を経験する。「—・る年ごろ」