いちいこうく【一意攻苦】
いちずに心身を苦しめて努力すること。▽「一意」はいちずに、一心にの意。「意」は心の意。「攻苦」は苦難と戦う、苦しい境遇と戦う意。
いちいせんしん【一意専心】
他に心を動かされず、ひたすら一つのことに心を集中すること。▽「一意」はいちずに、一つのことに心を注ぐこと。「専心」は心を一つのことに集中すること。「専」は「摶」とも書く。「意いを一いつにし心こころを専もっぱらにす」と訓読する。また、「専心一意せんしんいちい」ともいう。
いちいたいすい【一衣帯水】
一筋の帯のように、細く長い川や海峡。転じて、両者の間に一筋の細い川ほどの狭い隔たりがあるだけで、きわめて近接しているたとえ。▽「衣帯」は衣服の帯。細く長いたとえ。「水」は川や海などをいう。
いちいんいったく【一飲一啄】
鳥がちょっと飲み、ちょっとついばむように、人がおのれの分に安んじて多くを求めないことのたとえ。また、自然とともに自由に生きることのたとえ。
いちえいいちじょく【一栄一辱】
人は社会の状況などによって、栄えることもあれば、恥辱にまみれることもあること。栄えているときは戒めとして、衰えているときは慰めの語として用いる。また、人の世のはかなさをいう。▽「辱」ははずかしめを受けること。「一」はあるときは、の意。
いちおういちらい【一往一来】
行ったり来たりすること。行き来すること。▽「一…一…」は「あるときは…あるときは…」の意。
いちおくいっしん【一億一心】
日本国民全員が心を一つに合わせ、結束するということ。
いちがつさんしゅう【一月三舟】
仏道は一つであるのに、衆生しゅじょうの受け止め方で、種々の意味に解釈されるたとえ。止まっている舟から見る月は動かず、南へ行く舟から見る月は南に動き、北へ行く舟から見る月は北へ動くように見えるということ。▽「月」は「げつ」とも読む。
いちぎゅうめいち【一牛鳴地】
一頭の牛の鳴く声が聞こえる土地の意から、非常に近い距離のたとえ。また、のどかな田園風景の表現。
いちぎょうざんまい【一行三昧】
仏道修行のうち、一つの修行法に決めて、それに専念して励むこと。
いちげんいっこう【一言一行】
一つの言葉と一つの行為。ちょっとした言葉とちょっとした行い。ふとしたわずかな言行。
いちげんこじ【一言居士】
何事にも、必ず何かひとこと言わなければ気のすまない人のこと。▽「居士」は、もとは出家した僧侶そうりょではなく、在家で仏教に帰依する男子の称。わが国では男子が死んだ後、戒名の下につける称号。ここでは「一言抉こじるこじつける」を人名になぞらえていったもの。「言」は「ごん」とも読む。
いちごいちえ【一期一会】
一生に一度だけの機会。生涯に一度限りであること。生涯に一回しかないと考えて、そのことに専念する意。もと茶道の心得を表した語で、どの茶会でも一生に一度のものと心得て、主客ともに誠意を尽くすべきことをいう。▽千利休の弟子宗二の『山上宗二記やまのうえそうじき』に「一期に一度の会」とあるのによる。「一期」は仏教語で、人が生まれてから死ぬまでの間の意。
いちごいちじゅう【一伍一什】
事の始めから終わりまで。最初から最後まで全部もれなく、すべて。▽一から十までということで、すべての意。「一五一十」とも書く。
いちごうしょかん【一業所感】
仏語。人はいずれも、同一の善悪の業(ごう)ならば同一の果を得るということ。共業共果(きょうごうきょうか)。「—の身なれば、先世の芳縁も浅からずや」〈平家・三〉
いちごんいっく【一言一句】
ちょっとしたことば。ほんのひとこと。ことばを大切にすることのたとえ。
いちごんはんく【一言半句】
ほんの少しの言葉。ちょっとした言葉。ひとこと。▽「言」は「げん」とも読む。
いちごんほうおん【一言芳恩】
ちょっと声をかけてもらったことを忘れずに感謝すること。また、一声を賜った恩に感じてその人を主人と仰ぐこと。▽「芳恩」は人から受けた親切や恩義の敬称。ご恩・おかげの意。「言」は「げん」とも読む。
いちしんきげん【一新紀元】
新しい時代の始まり。古いことが終わりを告げ、新たな時代が始まる最初の年。▽「新紀元」は新時代の最初の年のこと。
いちじさんらい【一字三礼】
敬虔けいけんな態度で写経すること。また、そのような態度で写経せよという教え。▽写経するとき、一字書写するたびに、三度仏を礼拝したことからいう。
いちじせんきん【一字千金】
一字が千金もの大きな価値がある、立派な文字や文章。
いちじつさんしゅう【一日三秋】
一日顔をあわさないだけで、三年も過ぎ去ったような気がする。それほどに相手に対する情愛のほどが強いことのたとえ。
いちじつせんしゅう【一日千秋】
非常に待ち遠しいことのたとえ。ある物事や、人が早く来てほしいと願う情が非常に強いこと。一日が千年にも長く思われる意から。▽「千秋」は千年の意。「日」は「にち」とも読む。一般には「一日千秋の思いで待つ」と用いる。もと「一日三秋」から出た語。
いちじつのちょう【一日之長】
一日早く生まれた意。少し年長であること。転じて、ほんの少し経験があり、技能などが他よりわずかにすぐれていること。自分の経験・能力・技能などを謙遜けんそんしていう語。▽「日」は「にち」とも読む。
いちじつへんじ【一日片時】
①わずかの時。ちょっとの間。②ほんの一日。
いちじふせつ【一字不説】
仏法の真理は奥深く、言葉で言い表すことはできないし、言葉を通して得られるものでもなく、自ら体得することによってのみ悟ることができるということ。釈迦しゃかが悟り得た境地を説くにも、直接実相を説き尽くすことはできず、真理は一字も説いていないという意から。▽仏教語。「不説一字ふせついちじ」ともいう。
いちじほうへん【一字褒貶】
文章を書くさいに、わずか一字を使い分けることで、人をほめたり、けなしたりすること。
いちじゅういっさい【一汁一菜】
非常に粗末な食事のたとえ。汁物もおかずも一品の食事の意から。▽「菜」はおかずの意。
いちじゅのかげ【一樹之陰】
見知らぬ人が一本の木の下で雨宿りするのも、前世からの因縁で、この世の人と人との出会いは、みなこのように前世からの因縁であるということ。
いちじょういちげ【一上一下】
あるいは上り、あるいは下ること。上げたり、下げたりすること。転じて、その場に応じて適切に処理するたとえ。▽「一…一…」は「あるいは…し、あるいは…する」の意。もと宇宙の精気が絶えず循環運行し、少しも停滞しないことをたとえた語。
いちじょうのしゅんむ【一場春夢】
人生の栄華が、きわめてはかなく消えてしまうことのたとえ。ひとときだけの短い春の夜に見る夢の意から。▽「一場」はその場かぎり、ほんのわずかの短い間の意。
いちじりゅうこう【一時流行】
その時々の社会が好む嗜好しこうに応じた一時的な新しさのこと。
いちじんほっかい【一塵法界】
仏語。きわめて小さなちりの中にも、法界、すなわち宇宙全体が備わっているということ。
いちぞくろうとう【一族郎党】
血のつながりのある者と、その従者や家来。また、家族や関係者の全員、有力者とその周りにいる利益を同じくする者をもいう。▽「郎党」は家臣の意で、「ろうどう」とも読み、また「郎等」とも書く。
いちだいけっしん【一大決心】
生涯に何度もないような重大な決意。
いちだくせんきん【一諾千金】
信義が厚く、裏切ることのないたとえ。また、約束を重んじなければならないたとえ。いったん承諾したら、それは千金にも値するほどの重みがあるということ。▽「一諾」はひとたび承知して引き受けること。
いちだんのわき【一団和気】
和らぎ、なごやかな雰囲気。親しみやすい態度。また、無原則に他人に合わせて、表面的に和らいでいるように見せることを卑しんでいうこともある。▽「一団」は一つのまとまった、ひとかたまりの意。
いちどくさんたん【一読三嘆】
すばらしい詩文などを読んで、非常に感銘を受けること。また、そのような詩文や本のたとえ。一度読んで幾度も感嘆する意から。▽「三」は幾度もの意。
いちにんとうせん【一人当千】
非常に大きな力や実力があること。きわめて勇気のあること。一人の力が千人の力にも匹敵する意から。▽「千」は「ぜん」とも読む。「一人いちにん、千せんに当あたる」と訓読する。
いちねんつうてん【一念通天】
どんなことでも、ひたすら信じて念じ続ければ、必ず天に通じて、成し遂げられるということ。
いちねんほっき【一念発起】
それまでの考えを改め、あることを成し遂げようと決意し、熱心に励むこと。また、今までの気持ちを改めて仏道に入り、悟りを開こうと固く決心すること。▽もと仏教語。「一念」はひたすら思い込むこと。「一」はひたすらの意。
いちばくじっかん【一暴十寒】
少しだけ努力して、あとは怠けることが多いたとえ。気が変わりやすく、ちょっと努力するだけで怠けることが多いたとえ。また、あるところで努力して、あるところでそれを打ち破るたとえ。一日目にこれを日ひに曝さらして暖めたかと思うと、次の十日これを陰で冷やす意から。▽「暴」は「曝」と同じで、日に曝して暖める意。「十寒一暴じっかんいちばく」ともいう。
いちばつひゃっかい【一罰百戒】
一人の罪や過失を罰することで、他の多くの人々が同じような過失や罪を犯さないよう戒めとすること。一つの罰で百人の戒めにする意から。
いちびょうそくさい【一病息災】
病気もなく健康な人よりも、一つぐらい持病があるほうが健康に気を配り、かえって長生きするということ。▽「息災」は健康であること、身にさわりのないこと。
いちぶいちりん【一分一厘】
ごくわずかであること。少しも。
いちぶしじゅう【一部始終】
始めから終わりまで。物事の最初から最後までの詳しい事情すべて。もとは一部の書物の最初から最後までの意。
いちぼうせんけい【一望千頃】
一目でかなたまで広々と見渡されること。見晴らしのよいたとえ。また、広々として見渡される美しい景色のたとえ。▽「一望」は広々した眺めを一目で見渡すこと。「頃」は面積の単位で、一頃は約百八十二アール。
いちぼうせんり【一望千里】
ひと目で千里を見渡せる意から、広々として見晴らしのよいことの形容。
いちぼうむぎん【一望無垠】
一目でかなたまで広々と見渡されること。見晴らしのよいたとえ。また、広々として見渡される美しい景色のたとえ。▽「無垠」は果てしないこと。「垠」は地の果て。「一望いちぼう垠はて無なし」と訓読する。
いちぼくいっそう【一木一草】
一本の木や一本の草まですべての意から、そこにあるすべてのもののこと。また、わずか一本の木と一本の草の意から、きわめてわずかなもののたとえ。▽「一草一木いっそういちぼく」ともいう。