ことば‐とがめ【言葉咎め】
相手の言葉じりをとらえてとがめること。「よう—をする。好かねえよう」〈滑・浮世風呂・二〉
言葉(ことば)なお耳(みみ)に在(あ)り
《「春秋左伝」文公七年から》以前聞いた言葉が、今でも鮮やかに耳に残っている。
言葉(ことば)な・し
なんと言ってよいかわからない。言いわけの言葉に窮する。「我が怠り思ひ知られて—・き心地するに」〈徒然・三六〉
言葉(ことば)に甘(あま)・える
相手の親切な申し出をそのまま受け入れる。多く、「お言葉に甘えて…」の形で用いる。「お—・えて先に帰らせていただきます」
言葉(ことば)に余(あま)・る
言葉では言い尽くせない。言葉では表せない。「感謝の気持ちは—・るほどです」
言葉(ことば)に花(はな)が咲(さ)・く
1 話が弾む。「ことばに花も咲きて声だかに笑うようにもなれば」〈一葉・花ごもり〉 2 話が弾みすぎて、けんか同然になる。
言葉(ことば)に花(はな)を咲(さ)か・す
1 「言葉に花が咲く1」に同じ。 2 言葉巧みに話す。言葉を飾る。「一々に—・せ理(ことわり)に玉を連ねて答へける...
ことば‐の‐あや【言葉の綾】
微妙な意味あいを表したり、事のついでに付け加えたりする、巧みな言葉の言い回し。「—でそう言ったまでだ」
ことば‐の‐いずみ【言葉の泉】
言葉が次から次へと限りなく出てくることを泉にたとえた語。「—も浅くなりにければ」〈栄花・駒競べの行幸〉 [補説]書...
ことばのいずみ【ことばの泉】
国語辞典。和装5冊、洋装1冊。落合直文編。明治31年(1898)刊。巻首に語法摘要を記し、固有名詞・方言・新語も含...
ことば‐の‐うみ【言葉の海】
言葉の数が多く、広大であることを海にたとえていう語。
ことばのうみをゆく【ことばの海をゆく】
国語学者、辞書編纂者の見坊豪紀によるエッセー。現代の日本語の変化について、長年にわたって新聞・雑誌・単行本から採集...
ことばのおだまき【詞の緒環】
江戸後期の国語学書。2巻。林国雄著。天保9年(1838)刊。本居宣長著「詞の玉緒(たまのお)」などの補正と、「てに...
ことばのかげのじゆう【言葉のかげの自由】
《原題、(スペイン)Libertad bajo palabra》メキシコの詩人・批評家、パスの初期詩集。1949年...
ことばのかよいじ【詞通路】
江戸後期の語学書。3巻。本居春庭(もとおりはるにわ)著。文政11年(1828)成立。動詞の自他の区別、掛け詞、動詞...
ことばのくずかご
国語学者、辞書編纂者の見坊豪紀によるエッセー。珍語・新語・流行語をはじめ、現代語用例収集の一端を紹介する。「言語生...
ことば‐の‐さき【言葉の先】
言い出し、または、言い続けようとする言葉の出はな。「相手の言わんとした—を取る」
言葉(ことば)の先(さき)を折(お)・る
口出しをして、人の話をさえぎる。「御用意よくば早お立ちと、申す言葉の先折って、輝国殿、何おっしゃる」〈浄・手習鑑〉
ことば‐の‐サラダ【言葉のサラダ】
⇒ワードサラダ1
言葉(ことば)の下(した)から
言い終わるか終わらないうち。言下に。「謝る—もう怒らせるようなことを言う」
ことば‐の‐すえ【言葉の末】
口走ったちょっとした言葉。言葉じり。「常世が—、まことか偽りか知らんためなり」〈謡・鉢木〉
ことば‐の‐その【言葉の園】
言葉の数が豊かなことを庭園の草木の多いのにたとえた語。詩苑(しえん)。「—に遊び、筆の海を汲みても」〈新古今・仮名序〉
ことばのたまのお【詞の玉緒】
江戸中期の語学書。7巻。本居宣長(もとおりのりなが)著。安永8年(1779)成立。「てにをは紐鏡(ひもかがみ)」の...
ことばのたまはし【詞玉橋】
江戸後期の語学書。2巻。富樫広蔭(とがしひろかげ)著。文政9年(1826)成立。品詞を言・詞・辞の3種類に大別し、...
ことば‐の‐つゆ【言葉の露】
1 言葉の美しいこと、また、はかないことを露にたとえていう語。「—のたまづさの、心の花も色添ひて」〈謡・井筒〉 2...
ことばのないこいうた【言葉のない恋歌】
《原題、(フランス)Romances sans Paroles》ベルレーヌの詩集。1874年刊行。4部構成で21編...
ことばのないせかい【言葉のない世界】
田村隆一の第2詩集。昭和37年(1962)刊行。翌昭和38年(1963)、第6回高村光太郎賞受賞。
ことば‐の‐はし【言葉の端】
話の中のちょっとした言葉。言葉じり。「—から大体のようすは推察できる」
ことば‐の‐はな【言葉の花】
1 美しい言葉。華やかに飾った言葉。「なほざりの—のあらましを待つとせし間に春も暮れぬる」〈風雅・雑上〉 2 和歌...
ことば‐の‐はやし【言葉の林】
言葉の数が多いことを林にたとえた語。詞林。「—も老木になりて、花の思ひも忘れにけり」〈栄花・駒競べの行幸〉
ことば‐の‐はり【言葉の針】
言葉の中にこめられた悪意や敵意。「仁者を貶(さみ)する—」〈浄・浦島年代記〉
ことば‐の‐ひっぱなし【言葉の引っ放し】
言葉のはしばし。「どこやら—、残る所が武士形気」〈浄・宵庚申〉
ことばのやちまた【詞八衢】
江戸中期の語学書。2巻。本居春庭(もとおりはるにわ)著。文化5年(1808)刊。動詞の活用の種類、活用形の整備、活...
言葉(ことば)は国(くに)の手形(てがた)
言葉のなまりは通行手形のように、その人の生まれ育った国を表す。
言葉(ことば)は心(こころ)の使(つか)い
心に思っていることは自然と言葉にあらわれるということ。「—と申せば、これらの人の胸のうち、つたなくさわがしくこそ覚...
言葉(ことば)は立居(たちい)を表(あらわ)す
《「立居」は、日常の動作》話し方に、その人の人格・性行までもが表れる。
言葉(ことば)は身(み)の文(あや)
《「春秋左伝」僖公二四年から》言葉はその人の品位を表すということ。
ことば‐へん【言葉偏】
⇒言偏(ごんべん)
ことば‐よせ【詞寄せ】
連歌・俳諧で、詠作上必要な用語を集め、注釈を加えた作法書。
ことば‐ろん【言葉論】
口げんか。口論。言葉争い。「夜前妻(め)ぢゃ者と—をいたしたれば」〈狂言記・貰聟〉
言葉(ことば)を返(かえ)・す
1 返事をする。「—・す間もない」 2 相手の言うことに従わず、口答えをする。「お—・すようですが」
言葉(ことば)を掛(か)・ける
かるく話しかける。また、それと意識して話しかける。「ねぎらいの—・ける」「—・けるタイミングを失う」
言葉(ことば)を飾(かざ)・る
巧みな言葉遣いをする。特に、巧みな言い回しで偽りを言う。
言葉(ことば)を交(か)わ・す
互いに話し合う。ちょっと話をする。「初めて彼女と—・した」
言葉(ことば)を下(さ)・ぐ
へりくだった言葉遣いをする。言葉を低くする。「家来ともいはん武士(もののふ)に手をさげ—・げ髪の」〈浄・関八州繋馬〉
言葉(ことば)を番(つが)・う
口約束する。口約する。契る。「—・うた、諍(あらが)ふなと言ひ捨てて引き返す」〈浄・傾城酒呑童子〉
言葉(ことば)を尽(つ)く・す
ありったけの言葉を使って、さまざまに言う。「—・して説得に当たる」
言葉(ことば)を濁(にご)・す
はっきり言わないで、あいまいに言う。口を濁す。「—・して本心を明かさない」 [補説]文化庁が発表した「国語に関する...
言葉(ことば)を残(のこ)・す
1 のちのちのために言っておく。「斯道(しどう)の先達(せんだつ)が—・している」 2 言うべきことを、全部言わな...
言葉(ことば)を呑(の)・む
感動や驚きのために、また、相手の気持ちを察して、言おうとしたことが言えなくなる。「相手のあまりの変わりように—・む」