無(な)き手(て)を出(いだ)・す
1 この上もない秘術を尽くす。「仲頼の主(ぬし)、なき手出(いだ)して遊ぶ」〈宇津保・嵯峨院〉 2 ありとあらゆる...
なき‐とよ・む【泣き響む/鳴き響む】
《「なきどよむ」とも》 [動マ四] 1 (泣き響む)人があたりにひびくように大声で泣く。泣き叫ぶ。「上下ゆすり満ち...
なき‐とよも・す【鳴き響もす】
[動サ四]鳴き声をあたりにひびかせる。「ほととぎす花橘の枝にいて—・せば花は散りつつ」〈万・一九五〇〉
なき‐どころ【泣(き)所】
1 打たれると泣くほど痛く感じる部分。また、急所。「弁慶の—」 2 弱み。弱点。「相手チームの—をつく」
なき‐どり【鳴(き)鳥】
鳴き声を聞くための飼い鳥。
なき‐な【無き名】
[連語]身に覚えのないうわさ。ぬれぎぬ。「—ぞと人には言ひてありぬべし心の問はばいかが答へむ」〈後撰・恋三〉
なき‐なき【泣き泣き】
[副]泣きながら。泣く泣く。「—身の上話をする」
無(な)きにしも非(あら)ず
ないわけではない。ないとは限らない。少しはある。「勝利の可能性は—だ」
無(な)きにな・す
ないものとする。数のうちに入れず、顧みない。「わが身を—・しても」〈源・賢木〉
なき‐ぬら・す【泣き濡らす】
[動サ五(四)]泣いて涙で衣服などをぬらす。「袖(そで)を—・す」
なき‐ぬ・れる【泣き濡れる】
[動ラ下一][文]なきぬ・る[ラ下二]泣いて涙で頰などがぬれる。「—・れた顔」
なき‐ね【泣(き)寝】
[名](スル)「泣き寝入り」に同じ。「ぐずりながら—する」
なき‐ねいり【泣(き)寝入り】
[名](スル) 1 泣いているうちに寝入ってしまうこと。泣き寝。「いつのまにか—した子供」 2 異議や不服はあるが...
なき‐の‐なみだ【泣きの涙】
涙を流して泣くこと。非常に悲しい思いをすること。「—で手放す」
なき‐はら・す【泣(き)腫らす】
[動サ五(四)]ひどく泣いて、まぶたをはらす。「目を赤く—・す」
なき‐ばい【泣(き)売】
詐欺(さぎ)の一。安い品物を持ち、路傍で泣きながら身の上話などをする役と、その話に同情したようなふりをして通行人の...
なき‐ひと【亡き人】
[連語]死んでしまってこの世にいない人。「—を悼む」
なき‐ふ・す【泣(き)伏す】
[動サ五(四)]悲しみのあまり、うつぶせになって泣く。「床に—・す」
なき‐ふ・る【鳴き旧る】
[動ラ上二]鳴き声を聞き慣れて珍しくなくなる。「—・りて後に語らへほととぎす老いて聞くべき初音ならずは」〈新千載・夏〉
なき‐ふる・す【鳴き旧す】
[動サ四]何度も鳴いて珍しさを感じなくさせる。「昔より—・しつつほととぎすいくその夏を声にたつらむ」〈古今六帖・六〉
なき‐ぶくろ【鳴(き)袋】
ホエザルなど猿ののどにある、袋状の共鳴器官のこと。喉嚢(こうのう)。
なき‐べそ【泣きべそ】
1 今にも泣きそうな顔になること。また、その顔。「—をかく」 2 「泣き虫」に同じ。「—の弟」
なき‐べんけい【泣き弁慶】
泣きながらも意地を張りとおすこと。また、その人。「母は去られていなれたで、—と申すなり」〈浄・忠臣蔵〉
なき‐ぼん【泣(き)本】
《「なきほん」とも》人情本の異称。主人公をことさら不遇に描いて、女性読者の悲涙を誘ったところからいう。
なき‐ぼくろ【泣き黒子】
目尻、または目の下にあるほくろ。このほくろのある人は涙もろいという。
なき‐まさ・る【泣き勝る】
[動ラ四]ますます激しく泣く。「いとど—・りて、あやにくなる気色なれば」〈狭衣・一〉
なき‐まど・う【泣き惑ふ】
[動ハ四]泣き悲しんで取り乱す。前後のわきまえもなく泣く。「さぶらふ人々の—・ひ、上も御涙のひまなく」〈源・桐壺〉
なき‐まね【泣(き)真似/鳴(き)真似】
1 (泣き真似)泣くまねをすること。そらなき。 2 (鳴き真似)動物の鳴き声をまねること。
なき‐みそ【泣(き)味噌】
「泣き虫」に同じ。
なき‐み・つ【泣き満つ/鳴き満つ】
[動タ四] 1 (泣き満つ)一座の人がみんな泣く。「迎への人々、まがまがしう—・ちたり」〈源・須磨〉 2 (鳴き満...
なき‐むし【泣(き)虫】
ちょっとしたことにもすぐ泣くこと。また、その人。泣き味噌。泣きべそ。
なき‐め【泣(き)女】
「なきおんな」に同じ。
なき‐もの【亡き者/無き者】
[連語]死んでこの世にいない者。死者。死人。「—となる」
亡(な)き者(もの)に◦する
この世にいない者にする。殺す。「政敵を—◦しようと謀る」
なき‐や・む【泣き止む/鳴き止む】
[動マ五(四)] 1 (泣き止む)泣くことをやめる。「赤ん坊がなかなか—・まない」 2 (鳴き止む)鳥獣・虫などが...
なきょう‐だい【奈教大】
「奈良教育大学」の略称。
なき‐よ【無き世】
[連語]死んだあとの世。死後。「—を思ひの数々に」〈謡・小督〉
なきよ‐がたり【無き世語り】
死後のうわさ話。死後の評判。「—も恥づかしとて」〈謡・実盛〉
なき‐より【泣(き)寄り】
悲しいことのあるときに、親しい者が集まって互いに慰め合ったり助け合ったりすること。「親(しん)は—、他人は食い寄り」
な‐きり【菜切(り)】
1 野菜を切ること。 2 「菜切り包丁」の略。
なきり‐すげ【菜切菅】
カヤツリグサ科の多年草。林下に群がり生え、高さ30〜60センチ。葉は細長く、秋、穂をまばらにつける。
なきり‐ぼうちょう【菜切(り)包丁】
野菜などを切るのに用いる、刃が薄くて幅が広く、先のとがっていない包丁。菜刀(ながたな)。なっきりぼうちょう。
なき‐りゅう【鳴(き)竜】
天井や床、平行な壁の間などで手をたたくと、多重反響現象によって、特有の残響が聞こえるもの。天井に竜を描いた日光輪王...
なき‐わ【泣き輪】
《はめるのに泣きたいほど苦労するところから》桶や樽のいちばん底にはめる、たが。「鮎のすし桶—が切れて」〈胆大小心録〉
なき‐わかれ【泣(き)別れ】
[名](スル) 1 泣き泣き別れること。嘆き悲しみながら別れること。「父親と—する」 2 俗に、一緒にしておくべき...
なき‐わか・れる【泣(き)別れる】
[動ラ下一][文]なきわか・る[ラ下二]泣きながら別れる。泣く泣く別れる。「恋人と—・れる」
なき‐わた・る【鳴(き)渡る】
[動ラ五(四)]鳥などが鳴きながら飛んでゆく。「雁が—・る」「暁の潮満ち来れば葦辺には鶴(たづ)—・る」〈万・三六二七〉
なき‐わ・ぶ【泣き侘ぶ】
[動バ上二]わびしがって泣く。思い悩んで泣く。「我のみや世をうぐひすと—・びむ人の心の花と散りなば」〈古今・恋五〉
なき‐わめ・く【泣き喚く】
[動カ五(四)]わめきながら泣く。泣き叫ぶ。「だだをこねて—・く」
なきわらい
土岐哀果(土岐善麿の号)の第1歌集。明治43年(1910)刊行。ローマ字の3行書きによる実験的歌集で、朝日新聞に石...