こころ‐ひそか【心密か】
[形動][文][ナリ]自分の心の中だけでそっと思っているさま。人知れず。「—な期待」「—に思いを寄せる」
心(こころ)開(ひら)・く
心が晴れ晴れする。「ひさかたの月夜(つくよ)を清み梅の花—・けて我(あ)が思へる君」〈万・一六六一〉
心(こころ)広(ひろ)く体(たい)胖(ゆたか)なり
《「大学」から》心にやましいことがなければ、それにつれて身体もまたのびやかである。
こころ‐びょうし【心拍子】
歌いながら、心の中で拍子をとること。また、その拍子。「私の—で謡ひまするによって」〈虎寛狂・二千石〉
こころ‐ふか・し【心深し】
[形ク] 1 深く慎重に考えるさま。思慮深い。「いと—・くありがたき心ゆるびも侍らず」〈宇津保・蔵開下〉 2 情が...
こころ‐ぶと【心太】
[名] 1 テングサの別名。 2 ダイコンの別名。 3 ところてん。「盂蘭盆(うらぼん)の夜もすがら、—売ること然...
心(こころ)隔(へだ)・つ
心が打ち解けない。「人の—・つべくも物し給はぬ人ざまなれば」〈源・胡蝶〉
こころ‐ぼそ・い【心細い】
[形][文]こころぼそ・し[ク] 1 頼るものがなく不安である。「一人だけで行くのは—・い」「たくわえが—・い」⇔...
こころ‐まかせ【心任せ】
思いのままにすること。好きなようにすること。気まま。「—の旅」
こころ‐まさり【心勝り】
1 予想していたよりもすぐれていること。⇔心劣り。「—しぬべきことにも侍るなるかな」〈宇津保・内侍督〉 2 容姿よ...
こころ‐まち【心待ち】
[名](スル)心中で待ち望むこと。「—にしたデートの日」「合格の吉報を—する」
こころ‐まどい【心惑い】
[名](スル)心が迷うこと。途方に暮れること。心迷い。「突然の災難に、ただ—するばかりだ」
心(こころ)惑(まど)・う
とまどう。当惑する。「泣きて伏せれば、—・ひぬ」〈竹取〉
こころ‐み【試み】
1 ためしにやってみること。企て。「新しい—が実行に移される」 2 雅楽の試演。試楽。「—の日かく尽くしつれば、紅...
こころ‐みえ【心見え】
[名・形動ナリ]胸中を人に見透かされること。わざと心を人に見せるようにすること。また、そのさま。「世の常に思ふ別れ...
こころみ‐こう【試(み)香】
組香で、本香の前に、客がその日の主題に合わせた香の香りを確かめること。ためしこう。→本香
こころ‐みじか・し【心短し】
[形ク] 1 気が短い。気ぜわしい。せっかちである。「春の花、いづれとなくみな開け出づる色ごとに目を驚かぬはなきを...
こころ‐みだれ【心乱れ】
心の平静を失うこと。思慮分別を失うこと。「わづらふとのみ聞きわたるは、かやうの—にこそありけれ」〈夜の寝覚・一〉
こころみ‐に【試みに】
[副]はっきりしない事柄を確かめるために、やってみるさま。「—一口食べてみる」
こころみのユダヤコムプレックス【試みのユダヤ・コムプレックス】
青野聡の長編小説。昭和55年(1980)、雑誌「文学界」に連載。昭和56年(1981)刊行。
こころ・みる【試みる】
[動マ上一][文][マ上一]《心見る、の意》 1 実際に効力・効果などをためすために行う。ためしにやってみる。「実...
こころ・む【試む】
[動マ上二]《「こころみる」の上二段化。平安末期から現れる》 1 ためしてみる。「当家の浮沈をも—・むべしとこそ存...
こころ‐むき【心向き】
「心向け」に同じ。「鹿毛(かげ)なる馬のならびなき逸物(いちもつ)、乗り走り、—、又あるべしとも覚えず」〈平家・四〉
こころ‐むけ【心向け】
心の向け方。意向。また、気質。性質。心向き。「頼み聞こえ給ふ—など、らうたげに、若やかなり」〈源・胡蝶〉
心(こころ)咽(む)・す
悲しみで胸がいっぱいになる。「我妹子(わぎもこ)が植ゑし梅の木見るごとに—・せつつ涙し流る」〈万・四五三〉
こころ‐もうけ【心設け】
あらかじめ心の準備をすること。心構え。心積もり。「これもさるべきにこそは、と思ひゆるして—し給へり」〈源・総角〉
心(こころ)も心(こころ)なら◦ず
心が落ち着かず、気が気でない。「内の人々は、まして—◦ずあわたたしく」〈増鏡・北野の雪〉
こころ‐もち【心持(ち)】
[名] 1 心の持ち方。心がけ。気だて。「—のよい、素直な娘」 2 感じていることや思っていること。気持ち。気分。...
こころ‐もちい【心用ゐ】
心の遣い方。心配り。「才(ざえ)の際(きは)もまさり、—男々しく」〈源・藤裏葉〉
こころ‐もと【心元】
胸もと。心臓のあたり。「夫の刀を抜くままに、—にさしあて」〈平治・下〉
こころ‐もとな・い【心許無い】
[形][文]こころもとな・し[ク] 1 頼りなく不安で、心が落ち着かないさま。気がかりだ。「子供たちだけでは—・い...
心(こころ)焼(や)・く
(「焼く」が四段活用の場合)胸を焦がす。心を悲しみもだえさせる。「冬ごもり春の大野を焼く人は焼き足らねかも我(あ)...
こころ‐やさし・い【心優しい】
[形][文]こころやさ・し[シク]心立てが素直である。やさしく思いやりがある。「—・い兄」
こころやさしきはんぎゃくしゃたち【心優しき叛逆者たち】
井上光晴の小説。東京の若者群像を、それぞれの一人称で描いた作品。昭和48年(1973)刊行。
こころ‐やす・い【心安い】
[形][文]こころやす・し[ク] 1 親しみやすく気がおけない。遠慮がない。気心がわかっている。「—・い間柄」 2...
こころやす‐だて【心安立て】
親しいのをいいことにして遠慮しないこと。「—からのいつもの毒舌だったが」〈中島敦・弟子〉
こころ‐やすめ【心休め】
心配や苦労などを忘れて、のんびりすること。気休め。
こころ‐やまし・い【心疚しい/心疾しい】
[形][文]こころやま・し[シク] 1 良心がとがめるさま。うしろめたい。「言われてみれば、十分に—・いものがあっ...
心(こころ)病(や)・む
1 思い悩む。苦にする。「人知れぬわが通ひ路の…と詠めりければ、いといたう—・みけり」〈伊勢・五〉 2 怒る。恨む...
こころ‐やり【心遣り】
ふさいだ気持ちを晴らすこと。憂さ晴らし。「発病後は…俳諧や将棋の本なぞをあけて、朝夕の—としている」〈藤村・夜明け前〉
こころやり‐どころ【心遣り所】
心を慰める所。気晴らしをする所。「いかならむ仏の国にかは、かやうの折ふしの—を求めむと見えたり」〈源・匂宮〉
こころ‐ゆかし【心行かし】
心が晴れるようにすること。気晴らし。心ゆかせ。「此油画を見るのが一個(ひとつ)の—に思われて」〈紅葉・多情多恨〉
こころ‐ゆか・し【心床し/心懐し】
[形シク]なんとなく心が引かれる。奥ゆかしい。「いかなる人やらん、—・し」〈浄・川中島〉
こころ‐ゆき【心行き】
1 心の向かい方。心の持ち方。 2 満足して気が晴れること。「思ふ事なく—増して」〈狭衣・一〉 3 俳諧で、貞門の...
こころ‐ゆ・く【心行く】
[動カ五(四)]思い残すことがないほど十分に満足する。気がすむ。現在では、多く「こころゆくばかり」「こころゆくまで...
こころゆく‐ばかり【心行く許り】
[副]「心行く迄(まで)」に同じ。「休日を—楽しむ」
こころゆく‐まで【心行く迄】
[副]十分満足するまで。思う存分。心ゆくばかり。「—本を読む」
こころ‐ゆるび【心弛び】
1 気持ちが緩むこと。油断。「夜昼おはしますめれば、ある人々も—せず、苦しうのみわぶめるに」〈源・少女〉 2 気持...
こころ‐よ・い【快い】
[形][文]こころよ・し[ク] 1 気持ちよく感じられる。さわやかだ。「—・い海風」「—・い音色」 2 (連用修飾...
こころ‐ようい【心用意】
あらかじめ、ある物事に対する対応の仕方を考えておくこと。心の準備。心構え。「質問された場合の—をしておく」