そで‐つけ【袖付け】
衣服の袖と身頃(みごろ)を縫いつけること。また、その部分。そでつき。
そでつけ‐ごろも【袖付け衣】
1 端袖(はたそで)のついた長袖の衣。「宮人の—秋萩ににほひ宜(よろ)しき高円(たかまと)の宮」〈万・四三一五〉 ...
そで‐つま【袖褄】
着物の袖と褄。また、服装。身なり。「うち解くる世なく、—うち乱れずつくろひ居たり」〈たまきはる〉
袖褄(そでつま)を引(ひ)・く
異性に言い寄る。「—・くにも、遠慮なく声高にして」〈浮・五人女・二〉
そで‐とめ【袖止(め)/袖留(め)】
1 江戸時代、男子の元服、または女子が成人に達したとき、振袖をその半分ほどの普通の袖丈に縮めること。また、その祝い...
そ‐で‐な・い【然で無い】
[形][文]そでな・し[ク] 1 いけない。悪い。また、そっけない。「余り憎いな、—・い為方だ」〈紅葉・金色夜叉〉...
そで‐なし【袖無し】
1 袖のついていない衣服。「—のワンピース」 2 「袖無し羽織」の略。《季 冬》「—を著て湖畔にて老いし人/虚子」
そでなし‐ばおり【袖無し羽織】
袖のない羽織。ちゃんちゃんこ。
袖(そで)に時雨(しぐ)・る
袖に時雨が降りかかる。袖に涙が落ちるたとえ。「我ながら思ふか物をとばかりに—・るる庭の松風」〈新古今・雑中〉
袖(そで)に縋(すが)・る
袖にとりついて哀れみを請う。助けを求める。「知人の—・って命をつなぐ」
袖(そで)に◦する
親しくしていた人をないがしろにする。冷淡にあしらう。「恋人を—◦する」
袖(そで)に露(つゆ)置(お)・く
露がかかって袖がぬれる。また、涙で袖がぬれる。「草の葉にあらぬたもとも物思へば—・く秋の夕暮れ」〈山家集・下〉
袖(そで)に湊(みなと)の騒(さわ)・ぐ
港に波が打ち寄せて騒ぐように、袖に涙がひどく流れる。「思ほえず—・ぐかなもろこし舟の寄りしばかりに」〈伊勢・二六〉
そで‐の‐あめ【袖の雨】
着物の袖をぬらす雨。悲しみの涙で袖がぬれることのたとえ。「またひとしきり—、晴間はしばしなかりけり」〈逍遥・桐一葉〉
そで‐の‐うめ【袖の梅】
悪酔いや二日酔いの薬。江戸新吉原の名物。
そで‐の‐うら【袖の浦】
着物の袖が涙にぬれているのを、浦に見立てていう語。「忍びねの涙たたふる—になづまず宿る秋の夜の月」〈山家集・中〉
そでのうら【袖の浦】
神奈川県鎌倉市、七里ヶ浜の別称。 山形県酒田市、最上川河口付近の海岸。[歌枕]「—のなみ吹きかへす秋風に雲の上まで...
そで‐の‐かみ【袖の紙】
女性が袂(たもと)などに入れておく携帯用のちり紙。
そで‐の‐きちょう【袖の几帳】
「袖几帳」に同じ。「—など取り捨てて、思ひなほり給ふめりし」〈枕・八二〉
そで‐の‐こ【袖の子】
《僧が托鉢(たくはつ)の際に袖を広げて布施米を受けたところから》稲の別名。「宇治山のすそのの小田の苗代にいくらかま...
そで‐の‐こおり【袖の氷】
涙にぬれた袖がこおること。悲しみに閉ざされた心のたとえ。「よそにても、思ひだにおこせ給はば、—も溶(と)けなむかし...
そで‐の‐しがらみ【袖の柵】
流れる涙を袖でせき止めること。袖を川をせき止めるしがらみに見立てていう語。「涙とまるまじきを、まして—せきあへぬま...
そで‐の‐しぐれ【袖の時雨】
「袖時雨(そでしぐれ)」に同じ。「野山のけしき、まして—をもよほしがちに」〈源・椎本〉
そで‐の‐しずく【袖の雫】
袖にかかる涙。「よそにふる人は雨とも思ふらむ我が目にちかき—を」〈和泉式部集・上〉
そで‐の‐した【袖の下】
人目につかないように袖の下から贈る物。内密に贈る品物や金銭。そでした。わいろ。「—を使う」「—を握らせる」
そで‐の‐つゆ【袖の露】
袖にかかる露。袖が涙にぬれるたとえ。「暮れかかるむなしき空の秋を見ておぼえずたまる—かな」〈新古今・秋上〉
そで‐の‐ふち【袖の淵】
涙が流れて袖をぬらすことを、淵にたとえていう語。「年月の恋もうらみもつもりては昨日にまさる—かな」〈式子内親王集〉
そで‐の‐みなと【袖の湊】
ひどく泣いて袖がぬれるのを、絶えず波の打ち寄せる港にたとえた語。「かげなれて宿る月かな人知れずよなよなさはぐ—に」...
そでのみなと【袖湊】
古く福岡市の那珂川下流域の入海にあった港。唐船でにぎわっていたが慶長年間に埋没した。
そで‐の‐わかれ【袖の別れ】
男女が互いに重ね合った袖を解き放して別れること。きぬぎぬの別れ。「白たへの—は惜しけども思ひ乱れて許しつるかも」〈...
そで‐の‐わたり【袖の渡り】
宮城県石巻市北上町橋浦にあったという渡し場。[歌枕]「みちのくの—の涙川心のうちにながれてぞすむ」〈相模集〉
そではぎさいもん【袖萩祭文】
浄瑠璃「奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)」の三段目切(きり)の通称。雪中、娘お君に手を引かれて、父母の住む門口...
そで‐はば【袖幅】
衣服の袖の幅の寸法。洋服では平面に広げた袖の横幅、和服では袖口から袖付けまでの長さ。
そで‐はん【袖判】
古文書で、文書の袖(右側空白部)に署した花押。
そで‐ばしら【袖柱】
本柱の左右に立てた補強用の小柱。
そで‐びしゃ【袖飛車】
将棋で、飛車を定位置から1筋だけ左に移す戦法。
そで‐びょうぶ【袖屏風】
袖で物を覆い隠すこと。袖を屏風に見立てていう語。「時子は机の上で—をして」〈白鳥・泥人形〉
そで‐ふくりん【袖覆輪】
袖口がすり切れるのを防ぐために別布でくるみ縫いにしたもの。
袖(そで)振(ふ)り合(あ)うも多生(たしょう)の縁(えん)
道で人と袖を触れあうようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものだ。袖すり合うも多生の縁。→多生の縁 [補...
そでふり‐ぐさ【袖振草】
ススキの別名。
袖(そで)振(ふ)・る
1 別れを惜しんだり、愛情を示したりするために、袖を振る。「白波の寄そる浜辺に別れなばいともすべなみ八度(やたび)...
そでふる‐やま【袖振山】
奈良県の吉野山の勝手明神の裏山。天武天皇が吉野宮で琴を奏して「少女(をとめ)ども少女さびすと唐玉を袂に纏(ま)きて...
そで‐ぶき【袖袘/袖𧘱】
着物の袖口を、裏布が表布より出た形に仕立てたもの。また、その部分。そでぐるみ。→袘(ふき)
そで‐べい【袖塀】
門の両側にある低い塀。
そで‐ぼそ【袖細】
直垂(ひたたれ)の一種。動きやすいように袖を細く詰めて作った上着。
袖(そで)纏(ま)き干(ほ)・す
《「纏き干す」は、共寝の枕にして乾かすこと》共寝して、涙に濡れた袖を乾かす。
そで‐まく【袖幕】
劇場の舞台左右の端に下がっている幕。
そで‐まくら【袖枕】
着ている着物の袖を枕とすること。また、その袖。「せきあへず涙にぬるる—かわかずながら幾夜へぬらん」〈夫木・三二〉
そで‐まくり【袖捲り】
[名](スル)衣服の袖をまくり上げること。うでまくり。
そで‐みやげ【袖土産】
袖に入れて持参する手軽な土産。手土産。「扇三本—」〈浄・手習鑑〉