はな‐の【花野】
花の咲いている野。特に、秋草の咲く野。《季 秋》「極楽に行く人送る—かな/荷風」
はな‐の‐あに【花の兄】
《他の花に先立って咲くところから》梅のこと。「花の中にも始めなれば、梅花を—ともいへり」〈謡・難波〉
はな‐の‐あめ【花の雨】
桜の花に降りそそぐ雨。また、桜の咲くころの雨。《季 春》「風に汲む筧(かけひ)も濁り—/久女」
はな‐の‐あるじ【花の主】
花の咲いている木の持ち主。「植ゑて見し—もなき宿に知らず顔にて来ゐるうぐひす」〈源・幻〉
花(はな)の命(いのち)は短(みじか)くて苦(くる)しきことのみ多(おお)かりき
林芙美子が色紙などに好んで書いた短詩。女性を花にたとえ、楽しい若い時代は短く、苦しいときが多かったみずからの半生を...
はな‐の‐いろ【花の色】
1 花の色合い。「—はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」〈古今・春下〉 2 花染めの色。また、...
はなのうえのほまれのいしぶみ【花上野誉石碑】
浄瑠璃。時代物。10段。司馬芝叟(しばしそう)・筒井半平らの合作。天明8年(1788)江戸肥前座初演。幼児の敵討ち...
はなのうた【花の歌】
ビゼーのオペラ「カルメン」の第2幕でドン=ホセによって歌われるアリアの通称。冒頭の歌詞から「おまえの投げたこの花を...
はなのうみ【花の海】
石塚喜久三の短編小説集。昭和23年(1948)刊行。
はなのウルトラさんにんしゅう【花のウルトラ三人衆】
山中恒の児童文学作品。中学校を舞台に、超能力を持つ生徒会役員たちが活躍する学園ファンタジー。昭和49年(1974)刊行。
はな‐の‐えん【花の宴】
花を観賞しながら催す酒宴。特に、観桜の宴。《季 春》「嵯峨の院、—きこしめさむとて」〈宇津保・国譲下〉 源氏物語第...
はな‐の‐おう【花の王】
《花のなかで最もすぐれている意から》 1 牡丹(ぼたん)のこと。 2 桜のこと。
はな‐の‐おとと【花の弟】
《多くの花に遅れて咲くところから》菊のこと。「百草(ももくさ)の—となりぬれば八重八重にのみ見ゆる白菊」〈夫木・一四〉
はな‐の‐かお【花の顔】
1 咲いている花の姿。「昨日見し—とて今朝見れば寝てこそ更に色まさりけれ」〈後撰・春下〉 2 「はなのかんばせ」に...
はな‐の‐かがみ【花の鏡】
花の映っている池水などを、鏡に見立てていう語。「年を経て—となる水は散りかかるをや曇るといふらむ」〈古今・春上〉
はな‐の‐かくめい【花の革命】
⇒カラー革命
はな‐の‐かんばせ【花の顔】
花のように美しい顔。「—月の眉女子にして見まほしき優男(やさおとこ)」〈円朝・怪談牡丹灯籠〉
はな‐の‐が【花の賀】
春、花の咲くころに催す賀の祝い。「春宮の女御(にょうご)の御方の—に」〈伊勢・二九〉
はな‐の‐き【花の木】
ムクロジ科の落葉高木。本州中部にまれに自生。葉は浅く3裂し、秋に紅葉する。雌雄異株。春、葉に先だって濃紅色の花が咲...
はなのきょく【花の曲】
《原題、(ドイツ)Blumenstück》シューマンのピアノ曲。変ニ長調。1839年作曲。ウィーン滞在時に書かれた...
はな‐の‐くも【花の雲】
桜の花が一面に満開になるさまを、雲に見立てていう語。《季 春》「—鐘は上野か浅草か/芭蕉」
はな‐の‐くんし【花の君子】
《周敦頤「愛蓮説」から》ハスの花を賞していう語。
はな‐の‐こころ【花の心】
1 花に心があるものとしていう、その心。「うちはへて春はさばかりのどけきを—や何急ぐらむ」〈後撰・春下〉 2 花に...
はなのこし‐づき【花残(し)月】
⇒はなのこりづき(花残月)
はな‐の‐こみち【花の小道】
スペインの都市コルドバの、メスキータ北側に広がるユダヤ人街の路地の一。家々の白壁に花の鉢植えが飾られていることからの名。
はなのこり‐づき【花残(り)月】
陰暦4月の異称。花残し月。《季 夏》
はな‐の‐ころも【花の衣】
1 はなやかな衣服。「みな人は—になりぬなり苔の袂よかわきだにせよ」〈古今・哀傷〉 2 花染めの衣服。「降る雪にさ...
はな‐の‐ごしょ【花の御所】
《庭園に多くの名花を植えたところから》足利将軍家の邸宅。花亭。花営。→室町殿(むろまちどの)
はな‐の‐さ【鼻の差】
競馬で、ごくわずかな着差。また、勝負事の、わずかの差。鼻差。「—で逃げきる」
はな‐の‐さいしょう【花の宰相】
芍薬(しゃくやく)のこと。牡丹(ぼたん)を花の王というのに対する。
はな‐の‐さかり【花の盛り】
1 花の盛んに咲いていること。また、そのころ。花盛り。 2 女性の、若く容姿の美しい年ごろ。花盛り。
はな‐の‐さき【鼻の先】
1 鼻の先端。鼻の頭。はなさき。「—で笑う」 2 すぐ目の前。目前。「目的地はすぐ—にある」 3 あさはかな知恵。...
はな‐の‐さきがけ【花の魁】
多くの花に先がけて咲くこと。また、その花。特に、梅の花を指していう。
はなのさき‐ぢえ【鼻の先知恵】
「鼻の先3」に同じ。「—にて、大方に生まれつきし娘自慢」〈浮・一代女・四〉
はな‐の‐ざ【花の座】
⇒花の定座(じょうざ)
はな‐の‐した【鼻の下】
鼻と口との間の部分。また、口のこと。
鼻(はな)の下(した)が長(なが)・い
女性に甘い。色香に迷いやすい。好色である。「女性に言い寄られて—・くなる」
鼻(はな)の下(した)が干上(ひあ)が・る
収入がなく、生活ができなくなる。口が干上がる。「不景気で—・る」
鼻(はな)の下(した)の建立(こんりゅう)
寺社などで寄進を集めるのは、僧侶や神官の生活のためであるということ。「人道の道徳のと云うが頭巾を取れば皆鼻の下喰う...
はな‐の‐したひも【花の下紐】
花のつぼみが開くことを、下紐の解けることにたとえていう語。はなのひも。「ふして思ひ起きてながむる春雨に—いかにとく...
鼻(はな)の下(した)を伸(の)ば・す
好色そうな顔つきをする。女性に甘いようすについていう。鼻の下を長くする。「女性に優しくされてつい—・す」
はな‐の‐じょうざ【花の定座】
連歌・連句で、一巻(ひとまき)のうち、花の句を詠みこむ箇所。歌仙では、初裏(しょうら)の11句目と名残(なごり)の...
はな‐の‐すがた【花の姿】
1 花の咲くありさま。「秋霧の晴れて曇ればをみなへし—ぞ見え隠れする」〈古今・雑体〉 2 花のように美しい姿。「空...
はなのたに‐こくりつこうえん【花の谷国立公園】
《Valley of Flowers National Park》インド北部、ウッタラカンド州にある国立公園。ヒマ...
はな‐の‐たもと【花の袂】
1 はなやかな衣服。また、その袂。「いつしかもかへつる—かな時にうつるはならひなれども」〈長秋詠藻・中〉 2 花を...
はな‐の‐たより【花の便り】
1 花が咲いたという音信。花便り。 2 花が咲いたついで。「とふ人もあらじと思ひし山里に—に人め見るかな」〈拾遺・春〉
はな‐の‐てら【花の寺】
《境内に桜の多いところから》京都市西京区にある勝持寺(しょうじじ)の異称。
はな‐の‐とぼそ【花の枢】
花が一面に咲いて家をふさいでいるようすを戸や扉にたとえていう語。「これやこの憂き世の外の春ならむ—のあけぼのの空」...
はなのなまえ【花の名前】
向田邦子の短編小説。夫婦間のすれ違いを描く。昭和55年(1980)発表。同年、「かわうそ」「犬小屋」とあわせ第83...
はなのノートルダム【花のノートルダム】
《原題、(フランス)Notre-Dame-des-Fleurs》ジュネによる小説。女装の男娼を主人公とする詩的散文...