おもい‐しら・す【思い知らす】
[動サ五(四)]「思い知らせる」に同じ。「身のほどを—・してやる」 [動サ下二]「おもいしらせる」の文語形。
おもい‐しら・せる【思い知らせる】
[動サ下一][文]おもひしら・す[サ下二]相手に、身に染みてわからせる。なるほどと悟らせる。「力の違いを—・せる」
おもい‐し・る【思い知る】
[動ラ五(四)]ある物事を身に染みて理解する。なるほどと悟る。「火事の恐ろしさを—・る」
おもい‐じに【思ひ死に】
思い続けて死ぬこと。「—して悪霊となりにけるにや」〈愚管抄・四〉
おもい‐す・ぐ【思ひ過ぐ】
[動ガ上二]思う気持ちがなくなる。忘れる。「—・ぐべき君にあらなくに」〈万・四二二〉
おもい‐すぐ・す【思ひ過ぐす】
[動サ四] 1 心に留めず、そのまま過ごす。「かたじけなき方も、心苦しさも、なべての様に—・してやみぬべき心もせね...
おもい‐すごし【思い過ごし】
思い過ごすこと。考えすぎ。「私の—でした」
おもい‐すご・す【思い過ごす】
[動サ五(四)] 1 余計なことまで考える。あれこれと考えすぎる。「つい、いらぬことまで—・す」 2 「思い過ぐす...
おもい‐す・つ【思ひ捨つ】
[動タ下二]捨てて顧みない。見捨てる。見放す。「うきものと、—・てつる世も」〈源・須磨〉
おもい‐すま・す【思ひ澄ます】
[動サ四] 1 心を静める。心を落ち着けて考える。「宮の中将、谷にむかひたる高欄に押しかかりて、—・したるに」〈狭...
おもい‐せ・く【思ひ塞く】
[動カ四]思いをせき止める。心を抑えつける。「—・く心のうちのしがらみも堪へずなりゆく涙川かな」〈千載・恋二〉
おもい‐そ・む【思ひ染む】
[動マ四]深く思い込む。強く決心する。「いとかりそめに入りし山の、やがて出でじとさへ—・みぬ」〈幻住庵記〉 [動マ...
おもい‐そ・む【思ひ初む】
[動マ下二] 1 思いはじめる。心にかけはじめる。「何となくあだなる花の色をしも心に深く—・むらむ」〈西行家集〉 ...
おもい‐たち【思い立ち】
思い立つこと。決心。「突然な岸本の—は反って見ず知らずの人々の好奇心を引いた」〈藤村・新生〉
思(おも)い立(た)ったが吉日(きちじつ)
何かをしようという気持ちになったら、その日が吉日と思ってすぐに始めるのがよい。思い立つ日が吉日。
おもい‐た・つ【思い立つ】
[動タ五(四)]あることをしようという考えを起こす。心を決める。「急に—・って出掛ける」
おもい‐た・つ【思い断つ/思い絶つ】
[動タ五(四)]思い切る。断念する。「伝道はしばらく—・っていたきょうこのごろ」〈蘆花・思出の記〉
思(おも)い立(た)つ日(ひ)が吉日(きちにち)
⇒思い立ったが吉日
おもい‐たの・む【思ひ頼む】
[動マ四]頼みに思う。当てにする。「大舟の—・むに」〈万・九〇四〉
おもい‐た・ゆ【思ひ絶ゆ】
[動ヤ下二]思い切る。あきらめる。断念する。「旅なれば—・えてもありつれど」〈万・三六八六〉
おもい‐たゆ・む【思ひ弛む】
[動マ四]心が緩む。油断する。「今はさりともと—・みたりつるに」〈源・葵〉
おもい‐たわ・む【思ひ撓む】
[動マ四]心がくじける。「ますらをの心はなしにたわやめの—・みて」〈万・九三五〉
思(おも)い出(だ)したように
とだえていた物事が急に起こるようす。「昔の友人から—手紙が来た」
おもいだし‐わらい【思い出し笑い】
[名](スル)以前にあったことを思い出して、ひとりで笑うこと。
おもい‐だ・す【思い出す】
[動サ五(四)] 1 過去のこと、忘れていたことを心によみがえらせる。「青春時代を—・す」「急用を—・す」 2 思...
おもいだすひとびと【思ひ出す人々】
内田魯庵の文壇回顧録。大正14年(1925)刊。明治期の文壇の人間模様をいきいきと描く。「二葉亭の一生」など、全1...
おもい‐ちがい【思い違い】
[名](スル)間違えて思い込むこと。また、その事柄。勘違い。思い違え。「うっかり曜日を—していた」
おもい‐ちが・う【思い違う】
[動ワ五(ハ四)]「思い違える」に同じ。「らんぼうものと—・い、からめとらんとするにこそ」〈魯文・西洋道中膝栗毛〉...
おもい‐ちが・える【思い違える】
[動ア下一][文]おもひちが・ふ[ハ下二]実際と違うことを間違えて思い込む。考え違いをする。「明日を日曜だと—・え...
おもい‐つき【思い付き】
1 思いついたこと。ふと浮かんだ考え。「なかなかいい—だ」「—で行動されては迷惑だ」 2 いい考え。おもしろい着想...
おもい‐つ・く【思い付く】
[動カ五(四)] 1 ある考えがふと心に浮かぶ。考えつく。「いいアイデアを—・く」 2 忘れていたことを思い出す。...
おもい‐つつ・む【思ひ包む】
[動マ四]心の内が表にもれないようにする。つつしむ。「色に出でてはえあらず—・むことありて」〈宇津保・内侍督〉
おもい‐つづ・ける【思い続ける】
[動カ下一][文]おもひつづ・く[カ下二] 1 いつまでもそのことを思う。いつも考える。「亡き子を—・ける」 2 ...
おもい‐つの・る【思い募る】
[動ラ五(四)]思慕の情がますます強まる。「もう江口を自分の独占(もの)にしたというまでに—・って来た」〈近松秋江...
おもい‐つ・める【思い詰める】
[動マ下一][文]おもひつ・む[マ下二]そのことだけを深く考えて悩む。いちずに思い込む。「—・めた表情」
おもい‐つら・ぬ【思ひ連ぬ】
[動ナ下二]いろいろのことを思い続ける。「つつましくする事どもを—・ねて書きたるも」〈十六夜日記〉
おもい‐づま【思ひ妻/思ひ夫】
深く愛する妻、または夫。「奥山の岩本菅(いはもとすげ)の根深くも思ほゆるかも我(あ)が—は」〈万・二七六一〉
おもい‐で【思い出】
1 過去に自分が出会った事柄を思い出すこと。また、その事柄。「—にひたる」 2 あることを思い出すよすがになるもの...
おもいで【思ひ出】
北原白秋の叙情小曲集。明治44年(1911)刊。フランス印象派の影響を受けた作品群により注目を浴び、詩壇での地位を...
おもいでのき【思出の記】
徳冨蘆花の自伝的小説。明治33〜34年(1900〜1901)に発表。作者自身の生活体験に基づいた教養小説であり、同...
おもいで‐ばなし【思い出話】
昔の自分の体験・見聞を思い出してする話。回想談。
おもいで‐ぶか・い【思い出深い】
[形][文]おもひでぶか・し[ク]以前にあった事柄などが心に強くうかぶようである。「—・い場所」
おもいでをうるおとこ【思ひ出を売る男】
加藤道夫の戯曲。1幕。昭和26年(1951)「演劇」誌に発表。翌年、著者自身によりラジオドラマ化。舞台初演は昭和2...
おもい‐とじ・む【思ひ閉ぢむ】
[動マ下二]思うことをやめる。断念する。「さらに立ちかへらじと—・めて」〈源・若菜上〉
おもい‐とどこお・る【思ひ滞る】
[動ラ四]決心が鈍る。決断をためらう。「はかなき事に—・り」〈源・橋姫〉
おもい‐とどま・る【思い止まる】
[動ラ五(四)]しようと思っていたことをやめる。考えたすえ、やめにする。思いとまる。「脱会を—・る」
おもい‐とど・む【思ひ止む】
[動マ下二] 1 思い切る。あきらめる。「いみじからむ過ちを、さしあたりて見つけたりとも、えとがめ—・むべうもあら...
おもい‐とま・る【思い止(ま)る】
[動ラ五(四)] 1 思いとどまる。「旅行を—・る」 2 心が残る。心を残す。「捨てがたく—・る人はものまめやかな...
おもい‐と・る【思ひ取る】
[動ラ四] 1 悟る。わきまえる。理解する。「世の道理を—・りて、恨みざりけり」〈源・帚木〉 2 心に思い定める。...
おもい‐どおり【思い通り】
[名・形動]思っていたとおりになること。また、そのさま。「世の中は—にならないものだ」